凝視​サプラーイズ驚き


穏やかな休日の朝、

居間のテレビは既に点いていた。




何気なく目に入った

娘を亡くしたお父さんのドキュメンタリー。





お二人はとても仲の良い親子だったそう。





娘が居なくなってしまった悲しみと

娘がいないこの世界を生きて行かなければならない現実。




行き場のない思いを語るお父さん。





三重県のどこだかで

遺骨を貝に移植し真珠を作って

ブローチやアクセサリーにしてくれるところがあるらしい。




お父さんが真珠を作る様子をやっていた。



出来た真珠で

ブローチを作った。


トンボが真珠を掴んでいるブローチ

前にしか進まないというトンボ。



娘さんを感じながら

前を向いて生きて行く。



お父さんの覚悟と

晴れやかな顔が印象的だった。





そんな映像を観ていた時

母の悲鳴が響いた。


「見て!これ!」




居間のサイドボードにコップをしまっていて

発見したティシュペーパーに包まれた謎の物体。





「これ、お父さんのだよね?

歯が入ってる!」



治療されていたであろう歯。



詰め物も取れ

歯は削られ半分無くなってる。




立派な歯根付きの虫歯。




「出たよ不安意外性の男あせる


「未だにサプライズを仕掛けて来るか!」




このテレビ番組を見ている時に

絶妙なタイミングで現れた歯。



もしやあの歯で真珠を作っては?

ということなのだろうか不安





テレビでは真珠作りの担当者が


「娘さん、素直な方だったんですね。

こんなに丸い綺麗な形になって。」


と、コメントしてたけど




もし父ちゃんの歯歯で作ったら

デカイは、イビツだはで

個性的な真珠になっただろうね。



父ちゃんの生き様そのままじゃん指差し






「これさ、ゴミに捨てる訳にもいかないね。」と、母。



「骨壷に入れようか?」と、弟。



「いや、骨壷開けるのもどーよ?」と私。



「上の歯なら縁の下。

下の歯なら屋根に投げるって言うけど、

どこの歯か分からないもんな。」と、弟。






それは、

丈夫な歯が生えるのを願うためにやるヤツだよね?



既にこの世に居ない父ちゃんの歯

願掛けたってしょうがないよね?





プチ会議の結果、見つけてしまった母が

庭の何処かに埋めることにした。




子供の頃の金魚の墓を思い出す





ホントの墓もまだ出来ていないのに

先に歯の墓か不安父ちゃんそう来たか。





私は処理に困るような物は

取っておかないようにしよう

と、固く誓った秘密



居なくなっても尚

父ちゃんから学ぶこと、まだまだ多いな笑い