少し前に書いた、彦根城に行った時のお話です。
三回目の彦根城下散策。
もしかして、パパからすぐに迎えに来てと連絡があるかもしれない事を思うと、ゆっくりとお店でお茶する事も、おいしそうなドリンクのテイクアウトを楽しむ気にもなれず、しばらくはメインストリートを歩きましたが、三度目ともなればすぐ終了。
駐車場前に戻りました。
でも、まだ連絡なさそう。
メインストリートと逆方向へ歩く事にしました。
まもなく、道の端に町の歴史的な説明が書いてある看板があったので、じっくり読み、読み終わった後、また引き返そうか、もう少し先まで足を延ばそうか思案。
もう少し歩く事に決めて、歩き出したすぐその先に、本屋さんらしきお店を発見。
すぐに、寺内町の緑の小道さんを思い出したほど、よく似た佇まい。
数組の親子連れが、中にいるのが見えました。
小さな子と同伴でないアラフィフは、場違いな気がしたけれど、たぶん、まだ「迎えに来て。」の連絡は来そうにないし。と入ってみました。
お店の前に絵本が並べてありますが、店内も絵本や子供向けの本がたくさん。
ああ、ほんとに緑の小道さんの親戚のような空気感。
親子連れのお邪魔にならないように、こっそり入り、一回りして、そおっと出ました。(文章にすると、こそ泥の表現)
お店の引き戸を閉めて、ふと足元を見ると、数冊の絵本の入ったカゴがありました。
ここなら、誰かの邪魔にならず見る事が出来る。しゃがんで中を見ると、高校時代の私と親友が大好きだった、、黒井健さんの画集「オン・ザ・ロード」があるではありませんか!
16歳だった私と親友は、ポエマーでした。
学校の図書室で見つけたその画集の虜になり、好きな絵に、それぞれポエムを書きました。
そんな愛した画集と再会するなんて、なんという巡り合わせ!
これが神社仏閣だと、「呼ばれた」と言われる現象だよなあと、めぐり合わせに不思議な力を感じました。
どうしようかな、連れて帰ろうかな、値段にもよるけど…おいくら?
カゴの中全品200円
二百円!?迷うまもない。
他にもう一冊見つけて2冊持ち、レジに並ぶ。
店主さんは、私の好きな系統の小説に出てくる女性主人公のような雰囲気を持った、素敵な人。
二百円です。
?
疑問に思いながら、ひとまず二百円を払う。
本を受け取り、外に出る。
もう一度、本のあった場所を確認する。
やっぱり、このカゴの中は一冊二百円なのだ。
引き返す。
百円のカゴのものだと、勘違いされていたらしい。良かった。
車に戻り、お店の名前で検索してみる。
チロル書房。
アメブロはなく、インスタをメインにされている。
店主さんは、幼稚園の先生だとか、地元にあった本屋さんの跡に移転されてきたとか、セール中だという情報を知った。
もしかしたら、もう行く事はないかもしれません。
でも、ちょっぴり不思議な物語の主人公になって、時間の狭間の町にあるお店に迷い込み、学生時代の自分を見かけたような、そんなロマンチックな気分を味わえたのでした。