-cloudy-
勢い余って、ついに私は先生に好きと言ってしまった。しまいには、先生の彼女になりたい、とまで言ってしまった。
「うん。ありがとう。嬉しいよ。でも、俺、まだ捕まりたくないからなあ」
突然生徒に変なこと言われても冷静な先生。こういうところで相手は大人だということを感じる。優しい顔で笑ってる。でもどこか困った様子。
「いや、すみません。何でもないです」
そういって体育館から逃げ出してしまった。ああ、明日からどうしよう。
幸運なことに、翌日私は風邪をひいた。熱がある。先生に会わなくていい。熱にうなされてつらいのに、ほっとしている自分がいる。
どうして、あんなことを言ってしまったのだろう。きっと昨日から熱にうなされてたんだわ。
-ピロリン
メールだ。クラスメイトの紗那子が心配して送ってくれたみたい。
『佳奈ー、大丈夫??佳奈が学校休むなんて珍しいね。さっきの休み時間に、バド部の先生がクラスに来たよー、佳奈に会いにきたみたいだったよ!会えなくって残念だったね!お大事にね!!』
紗那子…。彼女は、私が先生に思いを寄せていることを知っている。でも昨日の事は知らないから…。それにしてもどうして先生が教室に…?
なんだかんだ考えているうちに、寝てしまったみたい。気が付いたらもう朝だった。もう熱は下がったみたい。もう学校に行かなくちゃ。
朝食をとり、準備をして、家を出る。今日の天気は曇りだ。
いつも通り学校に向かう。今日は朝練はやめて、倉庫を整理しよう。まだ、少し頭が痛いかも。うっすらたまったほこりを吸いながら思う。いつもみんながきれいにしてくれているから、あまりやること無いな。ちょっとだけほこりを払って、やっぱりあとは練習しよう。体を動かさないと調子が狂う。掃除を終え、壁に向かってサーブの練習をしようとした時だった。
「樋口、かぜじゃないのか」
「あっ。お、おはようございます…」
どんな顔して会えばいいのかわからなかったのに、こんな登場のしかたはずるい。ああ、頭がクラクラする。
「病み上がりなんだから、今日くらいゆっくりしなさい」
声を出すと泣いてしまいそうだから、返事でさえすることができない。
「ああ、それとおとといの事だけど…」
ダメ。聞きたくない。この思いは自分の中だけのものにしておくはずだったのに。フラれたくないよ…。
「おとといの事は何でもないです!本当にすみません!忘れてください」
そう言って私はまた逃げ出してしまった。
このままじゃ、どんどん気まずくなっていく。もうどうしたらいいの…。
空いっぱいに広がる雲も、もう涙をこらえきれなそう。
