僕の本当の母さんは
僕がまだ幼い頃にいなくなったんだ。
幼すぎて記憶には無いんだけどね。
それからの僕は、花壇の花や
道端で見掛ける花や草までも
引き抜いたり踏みつけたりもして
お婆ちゃんを随分困らせたらしい…。

挙句には沢漆の藪に触れて、体中をかぶらせて
熱を出して寝込んでしまったんだ。
そんな僕をギュッて抱きしめながら
お婆ちゃんがいつも言ってたの。。

『いつきの顔が見たくて咲いた花なんだよ』
『約束なんかしなくても毎年かならず会いに来てくれる』
『春には春の花、夏には夏、秋には秋の花実もいっぱいだよ
皆、いつきに会いたくて咲くんだ、全然 淋しくなんかないんだよ』
そういって名前を覚えてあげようね、って
僕に植物図鑑を買ってくれたの。

大人になった僕はね、僕なんかの為に
ほんとの母さんが辛い人生をおくらずに済んで良かった。
…なんて思うようにもなったりしたんだ。けどさ、
僕ね、内緒だけどさ…
実は
今でも母さんを恨んでる。
野漆の花言葉、 私に触れてはいけない。