お見舞いを終えて家に帰ると、

ママの弟家族から荷物が届いていた。


中を開けると、怜旺の洋服と

手紙が入っていた。

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甥っ子と姪っ子が

怜旺を応援するために

絵を描いてくれたみたいだった。

2人とも、とても上手に描いてくれていた。


その中に、怜旺が滑り台を滑っている

様子を描いた絵があった。

元気に滑り台を滑る怜旺の絵。


まだひとりで座ることも出来ない

怜旺が滑り台を滑っている…。


こんな姿を見ることが出来るのだろうか…。

今の状態から回復して、

こんなに元気になった怜旺を見ることが出来たら

どんなに幸せだろう…。


不安な日々を送っている僕たちにとって

この絵に勇気を与えてもらった。

そんな気がした。



元気に成長して、

この絵のように

元気に滑り台を滑る怜旺を

この目で絶対に見たい!


そのために、怜旺の回復を信じよう!

出来る事は、どんなことでもしよう!


実際に、こんな姿が見られたら

感動するんだろうなぁ。


当たり前だと思っていたことが、

そうじゃなくなっていく感覚…。


それが少し怖い気もしたけれど、

同時に、そんなところにこそ

本当の幸せがあるような感覚にも

気付いた夜だった…。
昨日までの、楽観的な空気が

一気に変わってしまった…。


みんなの中に漂う悪い予感。

自分だけは、それに飲み込まれないように

強くいなければと思った。


そうしないと、本当にこの空気に飲み込まれて

怜旺の結果も変わってしまいそうな、

そんな気がしていたからだ。


仕事を終えて、病院へ向かう。



MRI検査を受けるために飲んだ、

睡眠薬のせいで眠っていた。



点滴がつながれた、

痛々そうな手が邪魔になりながらも

スヤスヤと眠っている

やさしい顔が、

大人たちの不安を

拭い去ってくれるように思えた。

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少しして、目が覚める。

やはり、ダルそうにして

元気はない・・・。

昨日までの怜旺とは

やっぱり違っていた。


まだ、睡眠薬が効いているんだ。

そして、検査の疲れも残っている。

きっとそうだ。

自分に言い聞かせた。



ミルクの時間。

今朝は大量に吐いているから、

ミルクの時間は、緊張の時間になっていた。

ママに抱かれてミルクを飲み始める…。

飲みっぷりは良くて、

しっかりと全部飲んでしまった。

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食欲があるなら大丈夫!



怜旺ももちろんだが、

ママの精神面も同じくらい不安だった。


なんども、変わり果てた怜旺の姿を

目の当たりにして、恐怖と不安でいっぱいだろう。


夜は、付き添いが女性1名と限定されたので

一緒にいてあげることが出来なかった。


面会時間が終わった。

長い夜にならないことを祈りながら病室を後にした。
夜中にママからのLINE。


3:37「大量に吐いた」

  「そのあと何回も胃液みたいのを吐き続けてる」

  「体もぐったり…」

  「いつも仰向けになんてならないのに
  
   仰向けのままぐったりしてる…」

  「チカラが入らないみたい…」


熟睡中でまったく気づかなかった…。

続けてまたLINEが入っていた。


3:38「今、先生に診てもらってます!」

  「また採血…」



  「採血なのに泣きもしない…汗」


3:43「また点滴…」



結局、30分後には落ち着いて寝たようだった。



目が覚めて、このやりとりを見て

背筋が凍る思いがしたけれど、

どうにか頑張ってくれたみたいだったので

気持ちを入れ替えて仕事に向かう事にした。



しかし、この後また異変が起きる…。



10:55「また!」

10:56「意識なくなった」

10:56「が、今、戻ってきた(汗)」

10:57「近くにいさせてもらえない」


どうやら、先生を呼んだみたいだ。

そうこうしているうちに、

お見舞いに向かっていた母と妹が病院に到着。

ナースステーションより奥に入れてもらえないらしい。


状況が続々と入ってくる。


「意識はしっかりしてるみたいです」

「点滴をするのになかなかうまくいかないみたいで

 今違う部屋にいきました。」


心配な状況が続く…。

約1時間後に、怜旺の写真が送られてきた。

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見違えた姿が痛々しかった…。

いったいカラダの中で何が起きているのだろう。


今日は、仕事を抜けられるような状況ではなかったので、

心配しながらも目の前を仕事を着々とこなしていった。
怜旺は、相変わらず元気に

ベッドの上を転がっている♪

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今日は、妹がお見舞いに来てくれた。

毎日、誰かが病院を訪れてくれるので

病室はいつもにぎやかだ♪

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怜旺は、みんなに遊んでもらって

上機嫌で笑顔を見せてくれる。


冗談で、明日退院かな?

なんて話していたほどだ。


ただ、心配なのは昨日の晩のミルクの時に

飲みながら泣き出したことがあった事。


そして、血液検査の結果で

CPKという酵素の濃度が

異常なほど高いことがわかった事。


結果が出て、先生も驚くほどの

高い数値を示していたようで

わざわざ病棟をまたいで

病室まで様子を見に来て下さいました。


どのくらい異常だったかと言うと…。

成人男性の100倍程度…。


事故の際に、身体の組織の

どこかが破壊されて、

死滅した細胞からこの酵素が

血液に流れ込んでくるんだとか。


事故当時の状況に当てはめると、

やはり「脳」が損傷を受けているのではないか…。

そんな不安がよぎった。


しかし、目の前にいる怜旺はいたって元気!

どこか調子が悪いどころか、

入院前よりもパワーアップしているようにすら思えた。
病院につくと、

怜旺がいるはずの部屋には、

もう、ベッドがなかった。


ほんの少し前に

病室を移動したとの事。


移動先の病棟へと案内される。

そして、看護師さんから

怜旺の状態の説明を受けた。


CTや、髄液検査の結果は異常なし。

外傷も認められないとの事。


そして、目の前にいる怜旺も

至って元気な様子だった。

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2日前までの怜旺のように、

寝返りをしたり、

元気にミルクを飲んだり、

ケラケラ笑ったり。


生死を彷徨った日から

まだ1日しか経っていないというのに

この回復ぶりには驚かされるばかりだった。



事故の知らせを聞いて心配した

叔父と叔母が見舞いに来るという。


この元気な状態ならすぐに退院になるのに

わざわざ遠方まで来てもらうのが

申し訳なかった。


それでも、本当はすごく嬉しかった。

みんなが、怜旺の事を心配して

連絡をくれたり、見舞いに来たりしてくれる事が

親としても本当に嬉しかった。



移動した病室からは、

乗ってきたドクターヘリが見えた。

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あのヘリコプターに乗って、

この病院に連れて来てもらうことが出来たおかげで

今ここに元気な怜旺の姿を見ることが出来た。

その事に、感謝しかなかった。


病室を移動したことで、

24時間、つききりの看護ではなくなったので

ママが付き添いとして病室に泊まることになった。


一通りの検査が終わるまで、

しばらく、この慣れない病室のベッドで

寝泊りする事になるようだ。


その間に、僕はもう2度とこのような事が起こらないように

自宅を子育てしやすい環境にしてやろうと思った。