この映画はホラーだ、と言った作家だか俳優だかいましたが本当にゾッとしました。
絶滅収容所と言われたアウシュビッツ収容所隣に、収容所長の家族が平穏に楽しく暮らすと言う背景でした。
シュールを超えてホラーというのもうなずける。
平和で夢のような豪華な生活の壁一枚隔てた先には、人類史上最悪の虐殺が日常的に行われていたという事実。
当然壁越しに叫び声や何かが動く重々しい音、銃声、列車の音など日常的に響いているわけで、決して静かな環境とは言い難い。
それでも妻はこの環境を理想のものとし、夫の転勤にも動かず居座る、という…😅
ホラーですね。
決してこの作品には殺戮シーンなど直接的な残虐シーンは一切出てこないんだけど、この日常的に響く重々しい音と相まって、ゾクッとさせられました。
直接的なシーンはなくとも、夢に出てきそうな(もちろん悪夢)なんともいや~な重苦しいものが残る作品でした。
でも戦争って、ホロコーストってやはり重苦しく暗くて、きれいごとじゃないから、このくらいの重々しさは受け止めなければと思います。
なんだろう。
風景は美しいのに心には美しいものが一切残らないなんて。
なかなかできない表現ではなかろうか。
重い作品は重く受け止めて、心に沈めておこう。