小さな自分がフワフワと現れて | 桜井ケンイチのデキゴコロ~陶・造形作家の日々

桜井ケンイチのデキゴコロ~陶・造形作家の日々

陶・造形作家桜井ケンイチの出来心で書いたブログです。美味しいもの、旅で出会ったひと、作家としての生活、このようなことを紹介できたらと思います。趣味はゲストハウスの旅、車中泊の旅、低山ハイク。




今日は3月26日。

ということは、ちょうどひと月後にヤマト急便のJIT BOXを利用して、神戸に向けて発送します。

とうとう、あとひと月。


だんだん気持ちが現実的になってきました。

今のペースで作り続ければ間に合いそうですが、猫が3体、ふくろうが2体、さてさて神戸でひとつでもちゃんと旅だってくれるのだろうか?

はたして、ご主人さまが見つかるのでしょうか?




金箔を貼っていると、横から小さな自分がフワフワと現れて、ささやくのです。

「おい、お前、一生懸命作っているけど、本当にそれが売れると思うのか?

そんな大きなものを置くスペースが、都会の住宅にあるのか?

値段を考えてみろ。

自分だったら買うか?」

このように、毎日小さな自分が現れるようになった。



これだけ時間をかけて、コストもかけて、値段はひとつ220万円から330万円。

うーん、誰が買うというのか。



作家という職業を成り立たせることについて、ブログに書いているつもりなので、値段について言及します。

様々な決め方がありますが、僕は完成度を重視します。

いくらなら手放してもいいか、ということなのかもしれません。

他に、一度の窯焚きでトータルでいくら分を焼くか、とか、大きさ重視、という作家もいます。



220万円とか330万円、驚くような価格ですが、時給にしたら悲しくなりますよ。

寝ているとき、ご飯を食べているとき、散歩のとき以外の時間は、ほとんど制作していますから。



京都の食器売場に出店していたときに、神戸の担当者さんから声を掛けられました。

そのときに展示していたのは、向かって左側にうつわ、右側に貝を貼った猫のオブジェ。

「この貝の猫のシリーズで、もっと大きいのを作りませんか?値段はいくらになってもかまいません。」


と言われたのを真に受けて、上のような値段になりました。



また明日も小さな自分が現れるのだろう。

ドンキホーテで、もぐらたたきのハンマーでも買っておくかな。