【巨人】
越智大祐
おもに救援の右腕として出場を果たし、“雷電フォーク”とも呼ばれる自慢のフォークは変化が大きく、惚れ惚れするほどの奪三振は実に爽快だ。しかし、2012、3年度は難病の黄色靭帯骨化症に悩まされて出場はほとんど見られなかった。奇跡の復活を果たした今シーズン、かつての“疾風スライダー”を武器とする山口投手との「風神雷神コンビ」は、いったい再起するのだろうか。



【阪神】
松田遼馬
ストレートと言えば藤浪や能見、さらには今シーズン新入団の呉昇桓というように、阪神投手陣のなかでは人気と実績を兼ね備えている選手が当てはまりがちかもしれない。しかし、自分はこの松田だ。藤浪はカットボールとの組み合わせでストレートの球威を引き立て、能見は他の球種にもいえる完成度の高いコントロールがストレートを後押し、呉昇桓は“石直球”との呼称があるほど韓国人を唸らせる切り札に値させられる安心感。松田はまだストレートの魅力を存分に出せていないかもしれない。ただ、救援のエースとしての期待は彼を成長させるはずだ。



【広島】
白濱裕太
現在、広島の正捕手は石原だが既に35歳。倉は39。彼らの後継者としては上村も名が上がる。だが、この白濱もいる。年齢も経歴も実績も大きな差異はなく熾烈な争いが出来上がるかもしれない。自分としては30にはまだなっていない28という程よい年齢の白濱が座に適しているのではないだろうか。






今となってはNPBにおける外国人の存在感は非常に高まった。昨年シーズンHR記録を塗り替えたバレンティン、2000本安打を築き上げ長年NPBに携わっているラミレス。彼らは前の記事にも載っけたのと同様、優れた日本人選手に比肩できる存在だ。他にも、一昨年シーズン安打記録を一年目にして更新したマートン、安定した防御率と四球率を誇るファルケンボーグなど、名前を挙げれば切りがない。ただ、これらの外国人はメジャーの傘下で実績を残した面々で、メジャー自体での出場は少ないという特徴がある。これは、メジャーという大舞台でプレーする選手は日本のプロ野球に興味を持っておらず、彼らの視野に入っていないという外国人特有の個人的理由と、チーム内の大物選手の移籍は、人気と実力の低下を誘うというチーム事情を慮った集団的理由とがあって起こる仕方のないことではある。
だが、ここで問題が生ずる。メジャーに対する日本の窮屈な心境と、そんな自国を卑下する日本の軟弱な考慮があるのではないか、ということだ。つまり、外国とのコンタクトがまだ気軽に取れていないということである。近年は、メジャーからの大物助っ人外国人が増えている。去年、日本一に貢献したメジャー通算437HRのジョーンズ、今シーズンから楽天に入団する2009年度wbcアメリカ代表のユーキリスなどが該当する。これらのケースとは異なり、メジャーに戻った選手が日本で拾得した技術を生かし、現在活躍中というのも見られるようになってきた。2008・2009年度のセ・リーグ奪三振王のタイトルをものにした広島のルイス、同じく投手で2013年度wbcアメリカ代表のボーグルソンなどが当てはまる。こうした“選手の対外流通”があることで、これからの選手貿易を円滑にすすめる遮蔽的存在の1つになるのではないだろうか。
物と物の単純な交換ではなく、人と人の複雑な契約は、まず、雰囲気作りからとなる。まるで喧嘩をしてしまった子どもを手助けするように。



↑ユーキリス
 先日、東北楽天に所属していた田中将大が新ポスティングシステムを用いたヤンキースへの移籍を確定させた。7年約160億円といった日本人歴代最高額となる凄まじい大型契約で派手派手しい渡米となった。
ヤンキースは、設立100年少々を迎え、スーパースターを次々に輩出してきた名門中の名門。まさしくMLB史上に常に名を連ねてきた球団の祖である。しかし、昨シーズンは、Aロッドの薬物問題などによる優秀な人材の欠乏をソリアーノ入団などで逐一カバーして来たものの、5年ぶりにプレーオフ進出を逃してしまった。
そこで補強の一員として着目されたのが田中将大である。ヤンキースでの田中将大の評価は高く、中でもヤンキースGMは「田中のスプリットはすでに世界一だ」と太鼓判を押すほどだ。
ただ、ここで呈しておきたい問題がある。それは譲歩な“配慮”ができるかどうかである。つまり、若手ならではの気配りだ。チーム内には黒田、イチローの日本人コンビがおり、共に偉大な功績と広範囲な人気を誇ってきた。その中に田中が入り、プロ一年目のような態度をとれるのだろうか。もちろん、田中が失礼な態度をとらないようにしなければならないということではない。これは黒田らに対して“息苦しさ”を与えなくてすむか、newcomerとしての多少の緊張感をもち『自分の存在』を知れるかである。黒田は広島時代同様に先発で出場を果たしているものの、年齢を重ねており、先発投手としていつ限界が来てもおかしくない『ベテラン投手』と認識。イチローはここ数年打撃不振に陥るだけでなく、移籍以降他の選手と比べ『自分のパワー』を認識。彼らはその認識をデータとして表している。田中にも何かしら欠点が出てくる。それを受容するときはいつだろうか。