ラジオ中継局なしで災害情報届く! 新システム、山間部の仮設住宅でもバッチリ | まつがはな くもにかけはし

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産経新聞


ラジオ放送の中継局を建てなくても、FMアンテナと独自の送信機によって、ラジオの臨時災害放送を確実に届ける全国初のシステムを、総務省所管の研究機関が開発したことが8日、わかった。年内に実用化予定。東日本大震災の被災地では、仮設住宅の住民らを対象に臨時災害放送局が開設されているが、中継局がないために電波の届かない地域もあり、これら地域の住民にとって朗報になる。今月17日には阪神大震災から丸17年を迎え、被災者への支援対策強化が求められるなか、注目を浴びそうだ。

東日本大震災では、宮城、岩手両県だけで15万人以上の被災者が仮設住宅暮らしを余儀なくされている。被災者向けの臨時災害放送局は、両県などで30局近く立ち上がり、台風などの災害情報を提供している。

しかし、宮城県女川町の仮設住宅の一部では、山間部にあるため、昨年4月に開局した臨時災害放送局「女川さいがいFM」が聴けない状況だ。臨時災害放送局用の中継局を設置すれば、聴けるようになるが、「中継局の建設は、コスト面などから難しい」(同町関係者)ためだ。

このため、独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)の社会還元促進部門技術移転推進室、滝澤修さんは、中継局とほぼ同じ発信機能を持つ縦14センチ・横21センチの小型送信機を開発。屋外のFMアンテナで受信した電波を送信することで、周辺の住宅にあるラジオで臨時災害放送を受信できるようになる。

仮設住宅にある集会所などにアンテナとともに設置すれば、中継局を建てなくても臨時災害情報を届けられるようになり、「コスト削減につながるほか、中継局建設に必要な総務省への書類申請などの手続きが省ける」(滝澤さん)という。

滝澤さんは昨年12月、女川町の山間部周辺の仮設住宅地内の集会所で、開発した送信機などを設置する実験を実施。半径300メートル内の住宅のほとんどで「女川さいがいFM」を聴くことができた。今後、さらに性能の検証を積み重ねた上で、年内に国内の情報機器メーカーと連携して実用化するという。

阪神大震災で両親が被災し、宮城県南三陸町の被災者向け臨時災害放送局の立ち上げに協力した流通科学大学の福井誠教授(社会情報学)は「インターネットが使えない仮設住宅の高齢者にとって、臨時災害放送は重要な情報取得手段。一部の被災者が聴けない状況を放置すると、さらなる孤立化が進む危険性もあるだけに、今回のシステムの開発は画期的だ」と指摘している。