爆弾製造! 薬品盗んだ少年たちの危険すぎる計画 産経新聞 | まつがはな くもにかけはし

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いち腐女子による 私的 二次小説ブログ



【衝撃事件の核心】

爆弾を作るために自分が通学する学校から塩酸などの薬品を盗んだとして、兵庫県西宮市の市立中学3年の男子生徒4人が窃盗容疑で逮捕された。4人は昨年夏から自転車で追い抜きざまに中学生を殴ったり、ドライアイス入りのペットボトルを破裂させる事件にも関与していたとされ、しだいに犯行をエスカレートさせていたとみられる。昨夏までクラブ活動に打ち込み、まじめな生徒として知られていた4人。危険を冒してまで、なぜ爆弾を作りたかったのだろうか…。


■赤いスポーツバック

自転車に乗った少年グループにすれ違いざまや追い抜きざまに、中学生がプロレス技のラリアットで殴られる-。兵庫県西宮市内では昨年8月から、こんな手荒い傷害事件が相次いで発生。被害者は12人に上っていた。

無抵抗で無関係の中学生に一方的に暴行する悪質な犯行に、兵庫県警西宮署は緊急会議を開くなど犯人逮捕のため対策を強化。連日張り込み捜査などを行ったが、犯人グループの割り出しには至らなかった。

時間だけが過ぎていくなか、予想外の場所から事件は動いた。

昨年10月10日、西宮市に隣接する兵庫県芦屋市内で、芦屋署が窃盗容疑でひとりの少年(15)を逮捕した。無職女性(73)から現金約2300円入りの手提げかばんをひったくったという容疑だった。

捜査の応援で芦屋署を訪れていた西宮署の捜査員の目は、少年が持っていた赤いスポーツバッグに止まった。

「ラリアット事件の少年グループの1人が持っていたかばんの目撃情報と似ている」

捜査員が少年に問い詰めると、すぐにラリアット事件への関与を認め、少年の供述から仲間の少年3人もいもずる式に逮捕された。ひったくりで逮捕された少年が主犯格として犯行を計画していたという。


■ドライアイスでペットボトルを破裂

「ペットボトルも破裂させました…」

ラリアット事件の捜査を進めるなかで、主犯格の少年はこう供述し始めた。

西宮市ではラリアット事件と同時期の昨年8月、スーパーや家電量販店で、ごみ箱内などにあったドライアイス入りのペットボトルが破裂する事件が2件発生。公共の場での破裂事件に、近隣住民には不安が広がっていた。

少年はこの事件への関与もほのめかしたのだ。

「インターネットを見てペットボトルの爆発方法を知り、試してみたかった」

さらに調べを進めると、少年はこう供述し、関与を認めたという。

手口はドライアイスと水をペットボトルに入れて放置するという単純なものだった。幸いけが人はなく、店の運営にも支障がなかった。捜査関係者は「人に危害を与えようとまでは思っていなかったのでは」と説明する。


■学校に侵入

「もうこれ以上は出てこないだろう」

捜査員の誰もがそう思った直後だった。

「通っていた中学校の理科準備室に侵入し、塩酸などの薬品を盗んだ。威力のある爆弾を作るためだった」

主犯格の少年が供述したため、西宮署などは昨年12月、少年らを窃盗と建造物侵入容疑で再逮捕し、経緯について詳しく捜査を始めた。

捜査関係者によると、4人は昨年10月、通学する中学校の理科準備室に侵入、試薬瓶に入った塩酸や過酸化水素水など薬品11点を盗んだという。薬品を盗んで間もなく、主犯格の少年がひったくり容疑で逮捕されたため、薬品は4人のうち1人の自宅の庭に未使用で保管されたままだった。

主犯格の少年は「インターネットで爆弾の作り方を調べた」と供述したとされる。しかし、西宮市教委などによると、少年らが盗んだ塩酸は、授業で使用するため3~5パーセントに薄められており、盗んだ薬品だけでは爆弾を製造することはできないという。


■普通の少年…

爆弾作りを計画していたという4人だが、いったい、どんな少年だったのだろうか。

少年らは同じ西宮市立中学の同級生で、全員野球部に所属していた。練習に打ち込み、レギュラーとして活躍していた少年もいたという。学校を欠席することもなく、授業態度はまじめ。成績もよく、友達もたくさんいる「普通の少年」だった。捜査関係者によると、ひったくり容疑で最初に逮捕された少年が他の3人の少年にすべての犯行を持ちかけていただけでなく、自ら爆弾の作り方などを調べていたという。

学校関係者によると、主犯格の少年に関しては、よくないうわさもささやかれていたとされる。少年は昨年5月上旬、同級生のひとりに爆弾の作り方を書いたメモを渡しており、気づいた保護者が学校に連絡。学校から注意を受けていたというのだ。

少年らは昨年7月に部活動を引退。夏休みに入り、時間をもてあましていた。それだけに、インターネットを見て興味を持ち、「爆弾作り」を実行に移すだけの時間はあったとみられる。捜査関係者によると、「大量殺戮(さつりく)や、テロなどを考えていたわけではない」という。では、なぜ爆弾を作ろうと考えたのか。

関西国際大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「中学時代はちょうど思春期で、不安定かつダイナミックな物事の考え方をする時期。最近はインターネットで何でも調べられ、善悪の基準が曖昧(あいまい)になっている」と指摘。「東京電力福島第1原発事故の様子などを見て、爆発のイメージが頭に残っていたということも考えられる。政治的なテロや大量殺戮などではなく、自己表現のひとつとして実行した可能性が高いのでは」と分析する。

試しに、インターネットで「爆弾の作り方」と検索すると、約163万件がヒットした。掲示板に書き込みを繰り返しているのは主に中高生とみられる。

西宮市教委はこうしたネットの悪影響に懸念を示しており、「今後、学校以外での子供たちの生活指導も徹底していきたい」と警戒している。