チーム・マヌエラ・カラスコ | フラメンコ舞踊家 森山みえのブログ

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東京都内ですが隣駅は千葉県という東京の東側でフラメンコ教室を運営しています。

舞台に対する想い、そして舞台に繋がる教室での日々のこと、私の日常をブログにつづります。

 

マヌエラ・カラスコというチーム名

 

 

以前にもブログに書いたことがあったので詳細は割愛しますが、私はセビージャで上演されたマヌエラの公演を見に行ったことがあり、その会場の近くのバルで開演前にお茶してたら、マヌエラの旦那さん(ホアキン)と遭遇し、軽くおしゃべりをしたことがあります。

これ、今や自慢(↑)照れキラキラ

 

その公演は、セントロからバスで行くような、セビージャのちょっと郊外にある会場で行われました。

そんな場所だったので、私、ちょっと早めに現地に着くようにしてたんですね。バスは時間が読めないので。

それで、早めに会場に着いたので、開演までバルでお茶してました。

 

 

 

バイレ・ソロはソロじゃなくチーム

 

 

2008年の留学中、まだ、バイレにしか目が行ってなくって、バックアーティストの方にまで意識が行ってなかった頃。

マヌエラの公演であれば、マヌエラだけ、エバの公演であればエアだけ、イサベルの公演であればイサベルだけしか目が行ってなかった当時の私。

 

ホアキンとバルで一杯ワインを引っかけ、おしゃべりしたことで、その直後の舞台でマヌエラの伴奏をするその方に意識が向きました。

 

 

そこで、

 

「マヌエラの踊りがいいのは、マヌエラだけの力じゃないんだ。

旦那さんが支えているんだ」

 

と気付いたのでした。

 

 

マヌエラ・カラスコは、マヌエラ・カラスコという個人の名前だけではなく、『マヌエラ・カラスコ』というチーム名でもあることを知りました。

 

 

 

エンリケ・エストレメーニョ

 

今回の日本公演でエンリケさんは、ご自身のカンテ・ソロとマヌエラの代名詞ともいえるラストのソレアでしか歌いませんでした。

あ、あと、オープニングのハレオ・デ・エストレメーニョでは代わる代わるカンテさんが歌ったので、少しだけ歌ったかな。

でも、これはちょっとだけだったのでノーカウントね。

 

その他の人の踊りの時には、別のカンテさんたちが歌っていました。

 

 

エンリケさんは日本によく来日しています。

恵比寿にあるイベリアがよく招聘して、サラ・アンダルーサでのライブで歌ったりしてました。

なので、エンリケさんは日本ではお馴染みの方です。

 

まだフラメンコがよくわからず、バックアーティストの力がバイレに対し、どれほどの威力があるかも良く分かってなかった頃にエンリケさんを見た私は、当時の踊りの先生に、

「偉そうなおじさんが歌ってた」

と感想を述べたら、

「滅茶苦茶偉いおじさんなのよ」

と先生に教えられました。

 

その後もフラメンコを続けた私は、エンリケさんが日本のタブラオで日本人相手に歌ってくれるなんてあり得ない程の大物であると今なら分かります。

 

 

リスペクト

 

マヌエラの公演は、もう数えてないのでうろ覚えですが、日本でも数回、へレスでも2回くらい?、セビージャでも1回見ています。

そして、動画はテープが擦り切れる程、観ました(当時はVTR)。

なので、今回の公演のソレアは異例だったことに気付きました。

 

 

マヌエラと言えばソレア。

ソレアと言えばマヌエラ。

 

そのソレアをマヌエラは、今回、エンリケさんにしか歌わせませんでした。

 

他のカンテさんも、それはそれは素晴らしいカンテさんなんです。

だから技量の問題で歌わせなかったってことではないのは確かです。

通常なら歌わせてたと思います。

 

でも、マヌエラの引退公演のソレアではエンリケさんにしか歌わせませんでした。

そして、ラストにマヌエラはエンリケさんと一緒に舞台をハケて行きました。

 

 

長きに渡りチーム・マヌエラを支えてくれた功労者であるエンリケさんに対する、マヌエラからの最大のリスペクトだったと思いました。

 

 

 

引退

 

「たられば」なので私が勝手に思うだけですが、もし、ホアキンももっと長生きして、マヌエラもホアキンも80代、90代になったとしたら、マヌエラはわざわざ引退公演をしなかったんじゃなかろうかと思ったりします。

なんとなく踊らなくなるという、事実上の引退にしたんじゃないかしら。

 

 

 

今回の引退公演は、

 

「この世にホアキン・アマドールという偉大なるギタリストがいたのよ。

マヌエラ・カラスコはホアキンと共にあってのマヌエラだったのよ」

 

とマヌエラが世に知らせたくてやったのではなかろうか。

 

 

やっぱり、愛だ。

 

舞台で見たいのは、技術でもなく、振付でもなく、やっぱり愛なんだ。