【舞踊団公演】子供から親への無条件の愛 | フラメンコ舞踊家 森山みえのブログ

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舞踊団公演

作品紹介(その3)です。

 

 

子供から親への無条件の愛

 

愛と執着の違いはとても難しい。

どちらも相手のことを、

「大好きーーーーー!」

という気持ちがある。

 

ただ、愛は相手に対し、ただ愛がある。

見返りを求めないし、相手の幸せを願う。

とってもピュア。

そして、軽やか。

 

一方の執着は、もっと重い。

好きで好きで仕方なくて、それ故に相手の都合とか想い関係なしに、相手につきまとうストーカーなんてのは、まったくもって愛ではないのは、皆さん良くお分かりになると思います。

これは執着。

 

 

母から子への愛は、無条件の愛と言われていますが、多分そうかもしれないですが、それよりも子から親への愛の方が無償の愛だと私は思います。

特に、幼い子供。

 

親が虐待するようなろくでもない親であっても、あるがままを受け入れ、

「ママ、パパ、大好き」

と子供は親を慕い、愛されようと努力する。

 

一方の親の方が、子供に条件を付ける。

例えば、「いい子じゃないとダメ」「聞き分けのいい子じゃないとダメ」「お勉強ができないとダメ」「口答えする子はダメ」「家を継がないとダメ」「親の面倒を見ないとダメ」ってな具合に条件を付け、自分の基準の良い子に子供を作り変えようとする。

 

 

 

白鳥オデット

 

森の奥深くの湖のほとりに、一人の猟師がいました。

猟師は湖に静養にきていた貴族の娘・オデットと知り合い、二人は恋に落ちました。

身分違いの恋はひと夏で終わるかと思いきや、周囲の予想に反して二人の想いは強く、親の反対を押し切り、駆け落ち同然で結婚しました。

 

ところが、やはりオデットは貧しい田舎暮らしに耐え切れず、2年で猟師の元から去っていきました。

でも、猟師はオデットを忘れることができませんでした。

彼女を探して、

探して、

探して、

17年の歳月が経った頃、やっと彼女を見つけました。

 

不思議なことに、オデットは全然歳をとってませんでした。

それでも、そんなこと関係なく、猟師はオデットに会えた喜びと、もう二度と失いたくないという想いから、オデットを拉致し、自分の家に連れて帰り、軟禁しました。

 

しかしながら、そのオデットは猟師の愛したオデットではなく、オデットの再婚相手との間にできた、オデットによく似た娘でした。

 

「私はあなたが愛するオデットではない。

私はオデットの娘よ。だから、私を家に帰して」

とオデットは猟師に嘆願しましたが、猟師は狂っていて、理解できません。

娘をオデットと呼びながら、執拗に抱きしめるのでした。

 

オデットは何度も逃亡を試みましたが、その度につかまっては、猟師から殴られ、逃げることが怖くなってしまいました。

そこでオデットは、湖にバカンスにやってきた若い男を誘惑し、恋仲になり、一緒に逃げて欲しいとお願いしました。

その若い男の名はジークフリート。

 

 

手に手を取り合い逃亡を図る若い恋人たちが、ソロンゴを踊ります。

母の身代わりとなり猟師に執着されるオデット役は富松真佑子、ジークフリート役は山本海、猟師はドミンゴが演じます。

 

 

 

黒鳥オディール

 

実は、猟師とオデット(母)の間には娘が一人いました。

娘の名はオディール。

オデットにとって、父親違いの姉にあたります。

 

オディールは伝説の踊り子でした。

彼女の踊りを見て正気を保てる男はこの世にいませんでした。

国王は彼女の踊りをもう一度見る為に王冠の宝石をもくりぬき、金持ちは全財産を投げ出し、投げ出す財布を持たない若者は、絶望して湖に身を投げました。

それ故に、彼女は、『魔の舞姫オディール』と呼ばれていました。

 

オデットを誘拐した猟師は指名手配されてしまい、働きに出ることができなくなりました。

その代わりに、家計を支えたのはオディールでした。

足に血豆をつくりながら踊り、酒に酔った男たちを誘惑し、金品を巻き上げ、生活費を稼ぐオディール。

しかしながら、オディールが稼いだ金は全て猟師に取られてしまいました。

そして、猟師はその金でオデットに絹の服を買い与え、美味しい料理を食べさせ、温かく居心地の良い部屋に住まわせました。

一方のオディールが着ている服は、派手なだけの安い生地で作られたものでした。

 

 

猟師は残酷な父でした。

オデットとジークフリートの駆け落ちを阻止する為、

「ジークフリートを誘惑してくれ。おまえに夢中にさせてくれ」

とオディールに頼みました。

 

「オデットがいなくなってくれれば、父の愛を独占できるかもしれない」

「自分が稼いだ金を取られることもなくなる」

そんな想いがオディールの脳裏をかすめました。

 

それでもオディールは、愛する父の為に、ジークフリートの前で渾身の踊りを披露するのでした。

 

 

オディールが踊り終わった後、オデットもオディールも己の運命の過酷さに泣いたのでした。

 

 

踊るだけで男を破滅に追い込む程に魅了するオディールは、かなりインパクトに強い人でないと務まりません。

「本物の女以上に美しく女を演じられるのはこの人しかいない!」と私が惚れ込み、出演が実現した奥濵春彦さんが妖しい魅力で男たちを虜にする黒鳥オディール役を演じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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