あまちゃん東京編は
OK牧場の葛藤…?
映画『潮騒のメモリー』のリメイク版の試写を観て、涙する太巻社長…
鬼の目にも涙…?
あまちゃん東京編の最重要人物
荒巻太一。
この男ほど
真意が読みにくい人物はいない…
映画『潮騒のメモリー』リメイク版の案を、無頼鮨で話し合う太巻と鈴鹿ひろ美。
その会話を立ち聞きした種市は、こっそりアキに電話するが…
アキは携帯を、春子に取りあげられる。
春子「南部ダイバー? ヒロインは誰がやるの?」
吐きそうな種市
お、お、おおっ、…
春子「オーディション?」
太巻は、小野寺薫子をヒロインとして起用したいが、カナヅチの小野寺の巣潜りの吹替えとして、アキを使おうとした。
なんと春子のみならず、娘のアキにまで影武者を…
悪いようには、しないから…
スリーJプロダクションの営業になった水口に、そう言い残して純喫茶アイドルを出た太巻。
悪いようにはしないって
悪い奴のセリフだよね…
店主の甲斐さんが言うとおりだ、と思った。
しかし太巻のやる事は、なぜかみんなオウンゴールばかりだ。
遡れば、ミズタクを北三陸へ派遣したところから。
アキは、GMTメンバーに入ったが、太巻は、ようやくアキの母親が天野春子であることを知り、カタカタ震える…
天野春子が、自分に復讐するために、娘のアキを送り込んだと疑っているが、その種を蒔いたのは太巻自身だ。
太巻は、知られたくない秘密の火種であるアキを、排除しようと画策するが、とうとうGMTのデビューを中止にしようとした太巻に、アキが噛みつく。
中止って
どういう事ですか?
母のせいですか?
天野春子の娘だからですか? 私が
そうやって先延ばしにして
おらがママみたいにあきらめるの
待ってんですか?
太巻は、躊躇なく言う
そうだ
アキと水口を社長室に入れる
「めんどうくさいから、全部話そう。何を隠そう『潮騒のメモリー』を歌ったのは、天野春子だ。
このことは、鈴鹿ひろ美も知らない…絶対口外するなよ。しゃべったら…」
机の引き出しを開ける太巻🔫?
ハンガーを手に、振り上げるミズタク
武田鉄矢か?
(※『刑事物語』視てなかったけど、ハンガーでヌンチャクみたいなことやってたのだけは覚えている。あと『少女に何が起こったか』も視てないから「薄汚ねぇシンデレラが」の意味が理解できなかった。視聴者の何割ぐらいが理解できただろう?)
たくちゃん
私を置いて行っちゃうの?
と、凶器(ウニ採り器具)を持つ美寿々には、無抵抗だったミズタクなのに…
水口は、太巻を信用していない証拠?
透明なガラス貼りだけど、声は聞こえない、太巻の秘密主義を象徴するような社長室。
アキに渡した〝春子の手紙〟には、鈴鹿ひろ美の歌の影武者の件には、触れていなかったはず…
太巻が〝春子〟に気付くのも、時間の問題だから。ただ、それまでアキの活動が続いていればの話…
結局、太巻自らに〝秘密の暴露〟をさせることになった。
春子の〝太巻オウンゴール作戦〟
成功か?
しかし、当然アキへの圧力が強まる。
夜、アキの前に若い春子の幽霊?
が現れる。
あいつ、ちっちゃいよね。
細巻…アハハハ
次は、静午前(夜何時だろうか?)
いや静御前(鈴鹿ひろ美)
とうとうみつけたわよ
春子からの電話で
〝ホラー悪夢〟が覚めるアキ
お、お、おっ、おっ
春子「あんたオットセイなの?」
アキ「おっかねぇ夢見た…」
春子「あんた疲れてんじゃないの?」
アキ「事務所、クビになっちゃったんだ、太巻さんに嫌われて…、ママ…、もう帰っていい? いいよね?」
ダメよ
満を持しての春子登場だ。
GMTデビュー曲『地元に帰ろう』の太巻マジック音源CDを聞いた春子は、さっそく「見つけてこわそう💣」と、殴り込み…
なんて器がちっちゃいの?
普通にやって
普通に売れるもん
作んなさいよ!?
悪夢は、正夢だったんだ…😱💦
「あいつ、ちっちゃいよね」は、アキの潜在意識であるが…
「帰るよ」と春子に手を引かれるアキだが、けじめとして、自分の意思を表わす。
もともとおら
40位の繰り上げ当選だ
おらの代りなんて、なんぼでもいるべ
GMTのデビューは
取り消さねえでけろ
と、水口に土下座する。
アキのこういうところは、春子よりもはるかに大人だ。
「おらもアイドルになりてぇ」のはもちろんだが、GMTのメンバーとの友情が、東京でのアキを支えていたのだろう。
そこは袖ケ浜の海女クラブのように、温かい絆で結ばれていた。
『国民投票』の競争心から、しおりとアユミに誤解が生じたりしたが、解消すれば、より一層絆が深まった。
地方出身者同士だからかもしれないが、東京嫌いだったアキにも、強くなるきっかけをくれたのだろう。
OK牧場…とは?
ところで、フランクリン・アーンストの『OK牧場』という人間関係のパターンみたいなものを発見したのだが、御存じだろうか?
それは田の字に、4分割されたマスに、区分けされている。
①一緒にやっていく
I am OK ,You are OK
(健康な立場)
②排除する
I am OK , You are not OK
(偏執的・被害妄想的な立場)
③***からの逃避
I am not OK , You are OK
(憂鬱な立場)
④行き止まり
I am not OK , You are not OK
(不毛な立場)
wikipedia『交流分析』より
①~④の番号は、諸説あるみたいです。
①は、まさにGMTメンバーの友情や、温かい人情で結ばれた北三陸の人々だろうか?
②は、太巻式の人事だろう。
(決して特殊なものではないが)
③は、GMTを辞める時に、ミズタクに土下座したアキだろうか?自己犠牲を美化するわけではないが、日本的な謙譲の美徳を感じてしまった。
④自らGMTをクビになるトリガーを引いた、春子とアキだろうか。
しかし、憂鬱な立場のアキを
激励する南部ダイバーに泣ける
海の底さいる天野に
空気送りこむのは
ずぶんしかいねえべ
これは『あまちゃん』名言のなかでも、特筆すべき名言だろう。
種市とアキにしか通じない比喩だからこそ、より心に沁みる。
アイドルの
『脱コード化』?…
たしかにアキが種市に惚れ直すのもわかるが、『アメ女』の〝恋愛禁止〟から解かれたアキは、独立したスリーJプロダクションでも再び〝恋愛禁止〟に「コード化」される…
種市とアキの接近を嗅ぎ付けたミズタクは、無頼鮨の裏手へ種市を呼び出す。
そしてアキの土下座に影響されたのか
ミズタクも…
このとおりだ!
何も言わずにアキちゃんから
手を引いてくれ。
ところが
やおら壁ドンで恫喝…
交際発覚、お相手は
一歳年上の一般男性
予備校のCMは打ち切られ
違約金を払わされ
当然映画のヒロインの話も立ち消え
あぁ、大損害だぜ
一般男性
いっぱ~んだんせ~
るぱ~んさんせ~
「ぱ~」と伸ばすところに、酔ってる感出てるが、太巻にも似てきてないか?
これがホントの細巻?
ミズタクのアキへの純な想いを見ていると、映画『探偵物語』を想起させるが、それを達観している鈴鹿ひろ美が、より複雑なオマージュ感を醸し立てる。
ライバルはルパン三世?🔫
マニアック過ぎて、ついていけない…
ところで『コード化』と唐突に書いてしまったが、これはDG(ドゥルーズ・ガタリ)の『アンチオイディプス』に出てくる用語らしい。
人間の自然な欲求や、「好き」の感情を、外から規制するもの(法律とか権力とか)をDGは、コード化と呼んだ。
それは〝力〟を持つ者が、人々を意のままにコントロールするためのルールのことではないのか?
〝作られた需要〟に、消費者を誘導できれば、より効率的なコマース(需要供給システム)を構築できる。
その〝作られた需要〟のメタファーが〝アイドル〟ではないのか?
しかし、時代が〝多様性〟の方向へ動いているなか、アイドルも多様化してゆかなければならない。
そんな時流のなかで、太巻も試行錯誤していたのだろう。
ところで、太巻がリメーク『潮騒のメモリー』を観て、涙を流したり、主役を選ぶのに、〝天野春子〟と言い間違えたりしたのは、なぜだろう?
天野春子に惚れた男…
大吉、正宗、それに
もう一人いたとしたら…
太巻…?
「貪るような接吻」シーンに悩むアキに、鈴鹿ひろ美は言った。
正直に生きるのをやめたの…
この本(台本)に書いてあるとおりに
生きる事にしたの
私にとって嘘か本当かなんて
どっちでもいい…
プロになるためには「嫌い」なものも飲まなければならない。
それが〝鈴鹿スペシャル〟か?
太巻と鈴鹿は、同居していると言うが、誰からもそのようには見られなかった。
二人は、業界のプロに徹したビジネスパートナーなのだ。
春子やアキのような純心な女性を『需要と供給』の「薄汚ねぇ世界」で汚したくなかった、と言ったら勘繰り過ぎだろうか?
しかし、本気採りの動画を視た太巻は
「これ視てたら、なんか切なくなっちゃって」とか
「商売人になりきれないもう一人の自分が、天野を推したがってる」
これが、オウンゴールにハマる太巻の本心かもしれない。
それは、歳を重ねて涙腺が太くなっただけなのか、あるいは変化してきた時流を、アキや春子から感じ取っているのか?
もう10年も前のドラマだが、時流は既に「好きを貫く」方向に動き出していることを示唆していたのだろうか?
力関係や需要と供給に縛られない
アイドルの『脱コード化』を…
ー 荒野に立つ ー
荒野とは、荒れてはいるけれど
柵で囲まれていない大地
それは、どこへでも進む自由
を象徴しているようだ
ご参考までに…