オススメ本の動画で紹介されているのを見て、初めて読んだ作家さん
須藤 古都離さん
手話で人間と完璧なコミュニケーションがとれるゴリラのローズ
そのローズが、夫のオマリを動物園側に殺されてしまい、園長を訴えた裁判に負けてしまうところから始まります
正義は人間に支配されている
敗訴したローズの言葉が波紋を呼びます
なんだか突拍子もない話?と読み始めましたが、本当に深く考えさせられる作品でした
アフリカのジャングルで仲間と暮らしながら、研究所に通い手話をマスターし、複雑な考えや思考まで持つようになったローズ
手話を言語化するグローブを与えられ、いろんな人間と関わりながらアメリカの動物園で暮らすことになります
あるとき、動物園を見に来ていた子どもがゴリラのエリアに落ちてしまい、その子どもに近づいた雄ゴリラが、園長に射殺されてしまうのです
それがローズの夫のオマリでした
ローズの思考とともに読み進めているので、本当に考えるんです
ゴリラを殺しても罪にはならないの?
人間ではないからゴリラには人権はない……
ローズはこんなにも賢く思慮深く優しいのに、ゴリラだからなんの権利も認められない……
人間とその他の動物の違いは?
正義は人間に支配されている
それが本当に正しいのか?
もちろん極端過ぎると思うけれど、常日頃から思っている、動物の殺処分の問題や、動物をお金儲けの道具としか考えていない企業や劣悪な繁殖屋たちに問いたい
特別に賢いローズだから複雑な感情を持つのか
いや、言語化するすべを持たないだけで、いろんな動物たちも、苦しみも哀しみも、愛もあって、「助けて」って叫んでるのかもしれない
その後、ローズは様々な経験をして考えます
「私にとって言葉は魔法だった。目の前にいる誰かとお互いの気持ちを伝え合い、理解しあうための優しい道具だった。……
だが、今の私に届く言葉は呪いだった。」
有名になったローズには、心ない言葉が押し寄せてくるのです……😢
「人々は言葉によって心を削られ」ている人間世界……
優しい心や言葉のほうが、絶対に幸せにつながるのに、どうして人を傷つける言葉が、こんなにも氾濫してしまうのだろう……
ゴリラのローズが気づいたのに、気がつけない人間のなんと多いことか……
きっと言葉は魔法だ
言葉を徐々に手に入れたとき、人には明るい希望しかなかったはずなのに……
卒業シーズン、最近はカロリーメイトの過去のCMなど見ながらずっと泣いてます
森山直太朗の「さくら」を聴いて泣いてます
やっぱり、優しい言葉は心に沁みます
「ゴリラ裁判の日」この本は買って、子どもたちにも勧めます