目の見えない少女 とわ と、母親の2人だけの暮らし。
母親は、とわをとても愛してくれたけど、本を読み聞かせ、美味しいお菓子を作ってくれたけど………
とわを決して家の外には出さず、誰とも会わせず、仕事に出なければならないときには、心配だからととわに、「ネムリヒメグスリ」を必ず飲ませ眠らせます。
とわも、母親さえいてくれたら他にはなにもいらない、と、外を恐れています。
ところが、あるときから、母親がいなくなってしまうのです。
目の見えないとわ、母親の言い付けを守り、家から出ずに、誰が訪ねてきても決して出ることはないのです。
飢えていくとわ………
そんなとわが助け出されてから、たくさんの優しい人々と、盲導犬のジョイのおかげで、少しずつ心を開き、世界を広げ、夢を持つようになる日々の物語です。
とわの世界が広がるにつれて、どんどん好奇心がわいてくるところ。
とわと関わる人々が、決してとわを腫れ物にさわるような扱いをするのではなく、人間らしい付き合い方をするところ。
ドラマなんかでよくある、ひどい差別や信じられないような失礼な発言などなく、みんな控えめだけど思いやりがあるところ。
とても好きでした。
30歳の誕生日に、とわが思う
幸せ
生きているって、すごいことなんだ
一瞬一瞬が奇跡の連続
ごみ屋敷でいつも飢えていたとわ
かわいそうなかわいそうな少女だったとわ
でも、やっぱり周りには決してわからない、とわの心は。
とわにはとわの、心の拠り所があって、幸せな時間もあった。
人の生をとやかく言うのは、やっぱりおこがましいし、失礼だと思う。
とわ、これからの人生にも、また悲しいことや困難があると思うけど、それも含めて奇跡なんだよね。
生きていってほしいと、ほんとに思います。