飲酒運転で轢き逃げ……
被害者と加害者とそれぞれの家族の、読んでいて苦しい苦しい物語でした。

普通の大学生、籬 翔太。
ある夜、友人とお酒を飲んだ後、恋人に急に呼び出され、車を運転して会いに行きます。
そして、人を轢いてしまうが、恐ろしくて停まることもできず、200㍍もひきずった後逃げてしまうのです。
亡くなったのは、法輪君子さん、82歳。高熱の夫のために、夜中のコンビニに氷を買いに行った帰りでした。

悪人ではない、本当に普通の大学生だった翔太が、もちろん飲酒運転は絶対にダメだけれど、それでも突然殺人者となり、逮捕され、拘置所に入るんです。
本当に怖くなります。

罪の意識と人を轢いた恐怖に加え、自分や家族のこれからを考えると、絶望的な気持ちになります。

4年10ヶ月の実刑判決を受け、出所してからの翔太と人々の物語です。

翔太自身も、それぞれの家族も、苦しみの中でそれでも愛情や優しさで、なんとか救いのある方向へ向かって行けるのが、よかった……

そんなにうまくいかないかもしれないけど、どんなに苦しくても、生きている人は生きていかなければいけないわけで、どう前を向くか、考えさせられます。


そして何より、善良な一市民が一瞬にして殺人犯になってしまうかもしれない、車の運転は絶対に絶対に気を抜いてはダメ!!怖くてたまらなくなりました。