ベスト8をかけた3回戦、島根県立大社高校vs早稲田実業


既報通り壮絶な戦いでした。

これぞ高校野球という漫画でも書けないようなドラマが展開されました。


その幕は、1点を争う緊迫した展開の中、7回表早実の攻撃から始まった。


大社のセンターは50m5秒8の俊足藤原君。

これまでも攻守にわたり大社高校を助けてきた。

1回戦の報徳の勝利も彼の足から生まれたと言っても過言ではない。


その藤原君が・・・






しかし大社高校は慌てることなく、後続をきっちり抑える。


馬庭投手も、「藤原にはこれまで何度も自分を助けてくれた。一人の責任じゃないと」奮い立った。

しかし中々追いつくことができない。

大社ナインも「このまま藤原を島根に帰すわけにはいかない」とその気持ちが一丸にならせた。


もしこのまま終われば、藤原君を責める人はいないだろうけど、本人の悔いがいつまでも残る可能性がある。


その執念が9回裏こんな形で現れた。





馬庭裙の何でもないセカンドゴロをファーストに悪送球、カバーに入ったキャッチャーも取れない。

その後スクイズでついに同点に。


さらにワンナウト二塁三塁という大社にとってはサヨナラのチャンス。


しかし、早実がなんと奇策を



とにかく三塁ランナーが帰ればサヨナラ。


早実がとった奇策は、レフトを控の内野手に変え、なんとピッチャーの真横に。

外野は二人。

要はどんな形でも外野にボールが飛べばほぼサヨナラの確率が高い。

なのでスクイズ対策で内野を6人体制に。


さらにその内野手の前にボールが飛ぶ。

三塁ランナーを牽制しながら一塁へ、フォースアウト。

それを見た三塁ランナーはホームに投入。

ビデオ判定が欲しいような間一髪。


試合は延長タイブレイクに


ノーアウトランナー一塁二塁から始まる。


高校野球では高い確率でバントでランナーを進める。

バントが成功すれば高い確率で得点できる。


10回表、早実は初級バント。

しかしそこに大社はサインプレーを仕掛けてきた。


二塁ランナーがいる時守備側は通常、一塁手が投球と同時に前進、サード側のバントは投手が対応、三塁手は二塁ランナーをアウトにする為に三塁ベースに入るのが通常。


早実のハッターの初球、サインプレーが見事にハマる。




投球と同時に遊撃手は三塁ベースへ、三塁手は前進、その前にバンドがくる。

見送ればファール?のバンドをつかみ三塁へ。


このサインプレーのポイントは投手がストライクを投げバントをさせることだ。


その後後続をたち大社も勝ちを確信したかもしれない。


しかしその裏早実も見事に守り抜く。


11回表も早実の攻撃を0点に抑え、11回裏の攻撃。


大社高校石飛監督はベンチで「この場面でバントを決めるやつはいるか?」との問いに一人手を上げたのは2年生安丸君。

「3塁側に決めてきます」と。


初級ボール、二球目の前に二塁牽制。

この時の早実の遊撃手の動きを見てほしい。

大社がしたように投球と同時に三塁ベースに走っている。

しかし、サインプレーではない為投球はボール。


そして次の投球の時遊撃手は動かない。

それを安丸君は見逃さない。



三塁線、見本となるような見事なバント。


そしてクライマックスは






高校野球ならではの見事な試合でした。