ショウブラザーズの第二次黄金期の看板スター、ティ・ロンと新鋭イー・トンシン共演による武侠カンフーアクション。
時の皇帝が側近であった九王爺によって謀殺された。
九王爺にとって将来の禍根となるであろう遺児である二人の幼い皇太子はその命を守るため生き別れとなってしまう。
九王爺にとって将来の禍根となるであろう遺児である二人の幼い皇太子はその命を守るため生き別れとなってしまう。
兄であるタオシンは近衛兵の命がけの抵抗を経て、少林寺でも鼻つまみ者とされている三バカ和尚たちに引き取られ、弟ツータイは命からがら難を逃れたワン宰相と共に身を隠していた。
それから十数年。
立派な剣士として成長したツータイは九王爺への復讐を誓うのだが皇帝の権限をも掌握し、強力な拳法と軍勢を操る彼の前に圧倒的不利な状況であった。
ツータイは九王爺を倒す秘策となる『易筋経』の技を修得するために少林寺を訪れる。
そこで彼は若い僧に道先を案内されるが、実は彼こそが生き別れた兄タオシンだった。
タオシンは三バカ和尚のユニークな修行により寺の雑用をしながら最強の技『易筋経』を会得していたのだった。
図らずも兄弟再会と相成るも既に少林寺内にも九王爺の刺客は潜り込んでおり、二人の命を狙っていた。
すでに皇帝の権力をも手に入れた九王爺は自ら幼き甥に禅譲し、裏で国を我が物にしようとしていた。
そんな敵の甥の命を狙って兄弟は意見のすれ違いを見せるが、見事追ってきた少林寺内にいた刺客達を倒した二人は協力し、強大な九王爺に挑む。
果たして二人の皇子は巨悪を倒すことができるのか…
80年代隆盛を極めたショウブラザーズの黄金期を支えた格闘俳優ティ・ロンの少林寺もの。
主演を務めるティ・ロンは今でこそ渋い俳優だが、元はショウブラザーズの第二次黄金期を支えた花形の武打星で実際に詠春拳の達人。
本作でもそのたぐいまれな格闘センスを発揮して鮮やかな棒術も見せている。
特に同じ詠春拳の達人である李海生との格闘シーンは型のビシバシ決まるショウブラザーズならではの古典カンフーアクションの醍醐味が凝縮されている。
また普段は凛々しい若武者や兄貴的役の多い彼だが、本作ではコメディリリーフを担当。いつもの渋い彼とは違った新たな魅力を見せている。
そしてもう一人の主役が弟役のイー・トンシン。
ティ・ロンと同時期に花形格闘俳優だったデビッド・チャンの弟で、本作でも兄に負けないシャープな格闘シーンを披露。
ティ・ロンと同時期に花形格闘俳優だったデビッド・チャンの弟で、本作でも兄に負けないシャープな格闘シーンを披露。
貴公子風な佇まいで流れるような剣術はさすがは有名武侠スターの弟で、ティ・ロンとはまた違う王道の魅力がある。
本作の見所はやはり主役二人のアクションなのだが、敵役もかなり個性的なのが特徴で、火を吹く大剣を持つものやアメンボのように水を這うものもいる。
その中でも一番インパクトがあるのはラスボスである九王爺であろう。
通常は片手がベアークローのような鉄の義手と仕込み刀で戦うのだが、ラストでは刀や形の変形する武器のギミック付の御輿に乗って二人と戦う。
この格闘シーンが最大の目玉。
そしてあまりの九王爺との決着にも注目していただきたい。
ストーリー的にはこの時期のありきたりな復讐ものではあるが、本作はこの手の展開では陰惨になりがちなショウブラザーズ作品には珍しく、結構明るめ。
意外にハマっているティ・ロンのコメディアンぶりや見た目からしてオチ的な三バカ和尚(彼らのみせるホッピングカンフーは注目)の存在がやはり大きい。
また荒唐無稽な敵キャラクターもまるで格闘ゲーム的な感じに見え、そんなやりすぎ感はショウブラ作品では珍しいところ。
少林寺ものらしく十八羅漢や十二護法陣らとの対決など迫力ある集団戦などの見せ場も多く、中だるみすることはないだろう。
陰惨な展開は苦手という意味でショウブラザーズのカンフー作品を避けている方はまずはその魅力を知る入門編としてオススメできる作品である
評価…★★★★
(冒頭には若き日のユン・ワーも重要な役で出ています。要注目)