週刊少年ジャンプで連載されていた人気SF格闘漫画がハリウッド実写化されたアクション作品。

かつて幼少のころ、偶然にも発動した不思議な力のせいで唯一の肉親である姉を連れ去られた青年星矢。
彼は行方不明となった姉を探すため日夜地下闘技場で戦う日々を送っていた。

ある日闘技場イチの狂暴な闘士カシオスと対戦した星矢はその戦いの最中でかつてのあの不思議な力を発動させ、カシオスを吹き飛ばしてしまう。

彼はその直後からグラード率いる謎の黒い鎧の集団に狙われ始める。

強引に連れ去られようとしたところを星矢はアルマンという富豪の男に助けられ、安全確保のために彼の屋敷に連れてこられる。
警戒する星矢にアルマンは姉が持っていたペンダントを手渡すと、星矢が見せた不思議な力は『小宇宙(コスモ)』と呼ばれ、選ばれしものにしか発動できないものであった。
さらにアルマンは星矢が自分の娘で、戦いの女神アテナの生まれ変わりであるシエナを守るために選ばれたペガサスの聖闘士であることを告げられる。

アテナを守るという突飛な依頼に一度は断る星矢であったが、対面した星矢は自身の強力なコスモによって自分に押しつぶれされそうなシエナをみて、かつて姉が囚われた時になにもすることが出来なかった自分をおもいだし、その依頼をうけることを決意する。

聖闘士となるべく早速修行を開始する星矢。その彼を指導するのは白銀聖闘士であるマリン。
不気味な白銀の仮面を被る彼女は、星矢に聖闘士としてコスモの使い方や必殺技である流星拳の厳しい修行を課す。
壮絶な修練の末にその能力の体得し始めた星矢はその過程で失われた記憶の一部が甦る。
それは姉を拐っていった一団の中にアルマンの姿があったことであった。

事の真相を突き止めるため、アルマンの館へと戻り彼に詰め寄る星矢。
それをみたシエナは星矢を連れ出し、過去にあった事件の真相を語り始める。

元々アルマンと姉を拐ったグラードは夫婦であり、赤ちゃんの頃のシエナを見つけて育てていたが、アテナの能力が暴走したシエナによってグラードは両腕を失ってしまい、彼女はコスモの能力なしでは生きられない体になってしまっていた。
彼女は自身の延命のため世界各地にコスモをもつ子供たちをみつけては拐っていたのである。

星矢やその姉が狙われ拐われたのはそのためであり、絶滅した黄金聖闘士の力を解析して自分たちの暗黒聖闘士軍団を作り上げ、暴走するシエナを人類の敵として抹殺しようと考えたのであった。
アルマンはシエナを人類の救世主として考えており、かくして二人は決裂し対立することとなったのである。

その最中、グラードは暗黒聖闘士たちを率いてアルマン邸を強襲する。
暗黒聖闘士の一団の中にはグラードの誘いにのり、星矢に敵対心を燃やすカシオスの姿もあった。
シエナを守ろうとアルマンは部下のマイロックに彼女の庇護を頼むと自らは屋敷内に仕掛けていた爆弾で敵もろとも自爆。
しかし逃げ延びたグラードと一部の暗黒聖闘士たちはマイロックや星矢の前に立ちはだかり、シエナを拐おうとする。

暗黒聖闘士たちを相手に奮闘するマイロック、そして星矢の前には因縁のカシオスが立ちはだかるが、シエナを拐ったことにより怒りで覚醒した星矢は遂にペガサスの聖衣を装着するとカシオスたちを一蹴し、シエナを追うのだが、一足遅く彼女はグラードによって連れ去られてしまったあとであった。

生き残っていたマイロックと共にグラードのアジトへと向かう星矢。

その頃グラードによってシエナはコスモを引き抜く装置にかけられ、その能力を吸いとられようとしていた。
アジトにたどり着いた星矢は彼女のもとに駆けつけようとするが、そこにグラードの腹心であり青銅聖闘士フェニックスを司るネロが立ちはだかる。

ネロの目論みはアテナの抹殺と失われていた黄金聖衣の力。底知れぬネロの力の前に星矢は歯が立たず何度も叩きつけられる。

星矢とネロの死闘が繰り広げられる中、グラードはシエナに止めをさそうとするが、かつての娘への思いが甦り、躊躇してしまう。
するとシエナの中に眠っていたアテナの能力が暴走を開始。シエナを取り込んで凶悪な破壊を招くアテナ神として覚醒しようとする。
その力は星矢とネロとの戦いをも寸断させる。

強力すぎる力にネロは暴走を止めようとするが、アテナの力の前に聖衣を消し飛ばされ吹き飛ばされてしまう。
人類を救うため、そしてシエナ自身を救うため星矢は破壊神となりつつあるアテナの暴走を止めようとひとり立ち向かうのだが…


世界的アクションスター、千葉真一の長男でありその意志を引き継ぐ新田真剣佑の初のハリウッド主演となるアクション作品

ハリウッドにおける日本の原作マンガの実写化は今もあとを立たず、そのほとんどにおいて評価はおもわしくないものである。
世紀の駄作として黒歴史を刻んだ『ドラゴンボール』をはじめ、近年では『ワンピース』も実写化。原作ファンも納得の仕上がりという評価はなかなか難しいところである。

そんな中、週刊少年ジャンプで80年代半ばから連載され、ジャンプにおける看板作品のひとつとなった車田正美原作のアクション漫画『聖闘士星矢』がハリウッドで実写化された。

本作は原作における第1巻のはじめの部分『銀河戦争編』の冒頭部分を拡大解釈し、星矢の成長と運命の戦いを主軸として作られている。
原作の拡大解釈のため、最終敵であるフェニックスが既に登場したり、アテナの暴走が人類にとっての災厄になるという設定が加わるなど原作にはない味つけがされてはいるものの、抜粋した内容を膨らませた仕上がりはかなりエンタメ性にとんだものとなっている。

そして実写化において気になるのは原作キャラクターを誰が演じるかという点。
主人公である星矢を演じた新田真剣佑はご存知の通り、日本が誇るアクションスター千葉真一の長男であり、幼い頃より外国での生活を中心にし千葉自身、将来的な世界での活躍を睨んだ教育をしてきている存在。結果として邦画界においても親譲りの格闘のポテンシャルの高さは貴重なものであり、そのグローバルな活躍はハリウッドでも違和感なくその存在感を感じさせている。

先にあった実写化『ワンピース』においては人気の剣士ロロノア・ゾロを演じていて手厳しい原作ファンのなかでもその再現度、カッコよさにおいては最も高い評価を得ており、この時点でハリウッドにおけるアクションレベルの及第点はゆうに越えていることであろう。

その期待値の中で演じた星矢であるが、VFXやCGの助力はあるものの、真剣佑らしい瑞々しさとアクロバティックで力強いアクションは原作における星矢を演じる上では申し分ないといえる。
原作のように大技や必殺技ばかりが飛び交う展開ではなく、動画としてきちんとした格闘アクションとしての形が仕上がっている点では実写化としてのアクションの見せ方は成功といえるだろう。

反面、原作のような聖衣を身に纏った聖闘士たちが星矢とネロしかおらず、聖闘士としての登場人物も少ないので壮大な聖闘士同士の戦いというのが物足りないし、原作ファンにとってはもっとキャラが欲しかったところ。
まあ出していればキャラクターとの相違点やらでその作品の評価にも多大に影響は及びそうではあるが…(^^;

格闘アクションとしてのレベルは真剣佑のポテンシャルも高くてそこそこ見ごたえはあるのだが、個人的には往年の格闘アクションスター、マーク・ダカスコスの勇姿がみれ、さらに意外な格闘アクションとしての見せ場があったことが嬉しい。
暗黒聖闘士数人相手に聖衣を破壊する銃と警棒片手にまだまだ十分に動けるところを見せており、B級アクションファンにとってはここにも注目したいところ。

見せ場のひとつである聖衣の描写も原作に近いモチーフでカッコよく、迫力こそもうひとつであったが、ペガサス流星拳や鳳翼天翔のビジュアル効果もハリウッドらしい見せ方で原作ファンも及第点あげれるのではないだろうか。

ただいかにも続編作る気満々なラストはちょっと『?』と思うところも。
作るならば原作同様青銅聖闘士同士の格闘戦メインな話となるだろうし、後の仲間となる氷河や紫龍といった人気キャラたちの仕上がりも星矢役の真剣佑クラスまでいかないと納得はできないだろう。

ハイリスク間違いない続編を製作するのかそれともここで寝かせて終わらせておくのか。
一般的な興行成績がふるわなかっただけに真剣佑のハリウッドでの成長をかんがみて製作してほしいものである。


評価…★★★
(本作は原作の拡大解釈どうのよりも美しく強い真剣佑を楽しむためのアクション作品なのかも(^^;)