スタントマン出身のアクション俳優、アーリー・レイズJr.主演のバトルアクション作品。

フィリピン、マニラで行われる地下格闘大会。武術を極めて最強の座を手に入れた男ピノイはさらに自分の道を極めるため、師の教えから単身アメリカに武者修行の旅に出る。

ブロンクス地区にたどり着いたピノイはタクシーを降りて早々に子どもに乞われ、『ドラゴンズ』というストリートギャング団が青年一人に集団で襲いかかっているところに出くわす。
正義感から加勢に加わったピノイであったが、襲われていたはずの青年も格闘術の使い手でピノイが複数を相手にしている間にそのたぐいまれな身体能力でギャング団の人間たちを薙ぎ倒していく。

ピノイが助けようとした男、ジェシーは『ドラゴンズ』と抗争しており、彼らが売りさばこうとしていた麻薬やドラッグを横取りしてはこの街での影響力を削いでいた。
ピノイの強さに興味をひかれたジェシーは土地勘のない彼を自分のアジトに迎え入れ、寝泊まりするよう勧める。
そこではジェシーの妹代わりのスーザンが誘惑をしかけてくるのだが、ピノイはしっかりと自分の理性を保つのだった。

ジェシーらはみな孤児出身で、『シニア』と呼ばれる武術の達人を親代わりにみんな暮らしていた。朝、ピノイの姿をみたシニアは棒術を仕掛けてくるが、これをピノイは打ち返すとシニアは彼を新たな仲間として迎え入れるのだった。

シニアは街の実力者であるカレンと共に街のギャングやその背後にいるマフィアたちによる麻薬やドラッグの一掃を目指していた。
ジェシーはその活動の先頭役として活動していたのである。

一方、麻薬を奪われ多大な損害を被ったドラゴンズはジェシーの命を狙う。そこに加勢したピノイも標的とされる。
ナチズムに酔いしれるリーダーはドラゴンズの面々に麻薬の奪回を命じるのだが、その彼もマフィアから麻薬を奪われた責任をとるよう詰められていた。

リーダーの命でドラゴンズの面々はシニアたちの家の回りを取り囲むのだが、やってきたシニアに反対に挑発され、仕掛けたドラゴンズの面々は彼らに完膚なきまでに返り討ちを食らってしまう。

マフィアへの損害の補填まで時間のないリーダーは卑劣な手を使っても奪われた麻薬の奪還をしかけようとし、なりふり構わずシニアたちに襲撃を繰り返す。

そんな中で、ピノイは自分の進むべき道に迷いが出始めていた。
自分を家族として温かく迎え入れてくれるジェシーやシニアに恩義は感じていたものの自分がいることで悪者との抗争が始まり、皆を危険にさらしているのではないかと。

そしてドラゴンズの襲撃によってシニアが負傷
してしまい、ドラゴンズは彼らを抹殺するために最強の用心棒であるキモを導入し暴れさせる。

スピードと機動力で戦うジェシーだが、頑丈で怪力のファイター、キモにはなかなか効果がない。苦戦するジェシーにドラゴンズたちを撃退したピノイが加勢し、最後の戦いに挑む。

果たして二人は怪物キモを打ち破ることができるのか?そして悩めるピノイの決断は?


スタントマン出身のアーリー・レイズ親子が共演し、手掛けた格闘アクション作品。

スタントマン出身であったトニー・ジャーが『マッハ!!!!』でアジアで大ヒットを記録してから各国でスタントマンたちによるアクション作品の製作が増加した。

本作の主演を務めるアーリー・レイズJr.もその中の一人。ルックスからはナインティナインの岡村隆史似ではあるが、その身体能力は抜群でキレのある格闘ポテンシャルは抜群。
本編でもブルース・リーらいくな動きで翻弄しつつ、三段跳び蹴りや回転飛び回し蹴りなどの難易度S級の大技を難なくこなす。

そしてジェシーらの親代わりとなるシニアを演じているのが、アーリー・レイズSr.。
名前から推察されるように、主演のアーリー・レイズJr.の実の父親で本作における格闘シーンのコレオグラファーである。
ここで業界でも珍しいスタントマン親子による共演が実現している。

ちなみにだが、目立ててないが本当の主人公はピノイで、この彼の『エスクリマ』を駆使したダブルスティック術もなかなかに見応えがある。

ストーリー的には何とも分かりにくく、主人公たちのやっていることの理由付けも分からないので、感情移入はしにくいところにだが、飽きさせないようにアクションだけは豊富に用意。
敵方もスタントマン出身者が多いのか、やられるときにド派手に回転しながらやられたりと雑魚敵にいたるまでちゃんと見せ場を作ろうとする意気込みは買いたい。

そしてクライマックスでは目玉となるラスボスとの一騎討ちであるが、この最強の敵に扮するのが当時UFCのトップファイターであったキモである。
パワーのキモにジェシーそしてピノイが加わってスピードを駆使して連続攻撃をしかけるやキモはその重戦車のように重いミドルキックをみせ、緊迫感ある戦いが見れる。

本作は公開こそされていないものの日本でリリースの際に配給会社の悪いクセで題名がだいぶ損している。
この頃は丁度某テレビバラエティで『ガチンコファイトクラブ』が流行していた頃で、何かしら単語に『!』をつけるのが流行っていた時代。
この題名からしてその番組からの拝借であることは否めないところである。

題名による胡散臭さが惜しいところだが、格闘アクション自体はハイレベルで見処は多い。
知っている俳優がおらず、華がないところもあるがそれを差し引いても格闘アクション好きにはおさえておきたい作品である。


評価…★★★★
(アクションレベルの高さは断トツ。ストーリーは分からなくてもこれで帳消しできるレベル)