少林寺映画で一躍ブレイクしたカンフースター、ゴードン・リュウ主演の王道カンフーアクション作品。

清朝時代の中国。
満州民族の清朝廷と漢民族の間で対立が激化。
『反清復明』を合言葉に漢民族国家復興を願う少林寺の反乱軍と朝廷軍の戦いは泥沼化していたが、少林寺壊滅を狙う白眉道人が少林寺の志士である洪文定(ハン・マンティン)と胡亞彪(フー・アーピン)の虎鶴双形拳によって倒されたことで、朝廷は少林寺側と和解することとなった。

皇帝からの勅命により、反乱罪として捕らえられていた反清の志士たちは解放され、朝廷による漢民族への抗争は終わったかに思えた。

しかし白眉道人を師にもつ提督のカオはこれを不服として従わず、白眉道人の兄弟子で白蓮教の教祖である白蓮道人と手をくみ、解放された反清の志士や少林寺の生き残りたちの虐殺を開始する。

足を負傷し囚われていたフーも仲間たちと共に収容所から解放され、家路に向かっていた。
フーは仲間たちと途中で分かれ妻たちが待つ故郷へと向かう。
しかしあとの仲間たちは白蓮道人の手先たちによって襲撃をうけ、皆殺しにされてしまっていた。

少林寺側の志士たちの解放の知らせを受けて、山奥の一軒家でフーの帰りをまつ、妻メイ、マンティンと恋人のヒュー。迎えにきたマンティンによって我が家にたどりついたフーは義兄弟と妻たちとささやかな宴をひらく。
その時白蓮道人率いる白蓮教の集団が襲撃。
妻のメイは妊娠のために動きが取れないなかで必死に戦う三人であったが、白蓮道人の前にフーの打撃は当たらず殺され、ヒューはマンティンとメイを逃がすために単身白蓮道人に挑み、憤死してしまう。

白蓮教の追手を避けるように南へと脱出していくマンティンとメイ。
何とか脱出に成功した二人はフーの弟のナイチェンを訪ねる。
身重の義姉とマンティンから白蓮道人に追われ、兄を殺されたことを知ったナイチェンは二人を屋敷に匿う。
ナイチェンは紙細工の職人で、マンティンの身を隠すため彼を工場で住み込み職人として雇い入れ、メイを安全に匿うために屋敷の主人に取り入って部屋を分けてもらうよう掛け合う。

慣れない作業ながら生活のために仕事に精を出す傍ら、フーやヒューの敵討ちに燃えるマンティンは白眉道人に有効だった合体技『虎鶴双形拳』を進化させ、自ら二つの拳を組み合わせる『虎鶴双形拳』を仕上げる。
メイが臨月に入り、休養するなかでマンティンは白蓮教祖に挑み、屋敷へと乗り込んでいく。

一騎討ちを挑むマンティンであったが、彼の虎鶴双形拳は白蓮道人には全く当てることができず、打ち込むとまるで紙のようにヒラヒラと飛んで避けられてしまう。
全く歯が立たず完敗を喫したマンティンに白蓮道人は情けで再度挑戦してこいと挑発し、彼を帰らせる。
追跡の追手をうまく巻いて家路につくとメイはそこで子どもを産んでいた。

メイの体調が戻るのをみて、マンティンは彼女に白蓮道人に挑戦したことを告白する。
まるで攻撃が当たらなかったと話すのをみてメイは白蓮道人の技が拳の風で紙のように身体を軽くし身をかわす軽功の技であることを見抜く。
本体を触れるには剛の拳ではなく、しなやかで柔らかな『女人拳』が効果的というメイにマンティンは彼女に師事し、『女人拳』を修得するため特訓を開始。
それはまず女性の仕草を覚え込むということで刺繍や子守り、家事など女性が行っていた作業を始める。

やがてその仕草も様になりかけた頃、メイは『女人拳』の基本型をマンティンに教え、実戦の練習を積むことで体得させようとするのだが、女性の身体にむやみに触れることに羞恥心を感じるマンティンはナイチェンに頼み、型用に作った竹細工の紙人形を用意してもらい、『女人拳』の技を磨く。
ある日、その型と威力に確信をもったマンティンはナイチェンに再び白蓮道人に挑戦することを告げる。

再び道人の屋敷へと乗り込んだマンティン。
道人の側近の剣術に苦戦しながらもこれを退けたマンティンは満を持して修得した女人拳を使うのだが、本体への攻撃こそ可能になったものの、白蓮道人は白眉も使っていた急所を体内に隠してしまう秘技でマンティンの攻撃の手を封じてしまう。
さらにマンティンは白蓮の『百歩追魂掌』を食らって百歩歩くと死に至らしめる必殺技をうけてしまう。

階段を転げ落ちたところで待っていたナイチェンが急いでおんぶし、自身のあしを使わなかったことで奇跡的に命が助かったマンティンは実は反清の志士であった工場の主人の針治療によって回復すると、マンティンはその鍼灸の世界に興味を覚え、これを白蓮道人との対決に活かさないかと考える。

更なる女人拳の修練と人間の急所を研究した鍼灸の知識を重ね、成長したマンティンは三度目の正直として三度白蓮道人へ挑戦する。
側近たちを一蹴し、油断する白蓮道人に修練した技を叩き込むマンティン。
果たしてマンティンは宿敵を倒し、その復讐を果たすことができるのか…

本格派カンフーアクションの隠れた名作として知られる『少林虎鶴拳』の続編作品。

カンフー映画の老舗ショウブラザーズ。数多くのカンフーアクション作品を生み出している最大の配給会社であったが、その中でも最も多く製作されたジャンルが『反清復明』ものである。

漢民族への圧政を満州民族であった時の王朝『清』が行っていた史実をもとに、弁髪令や少林寺焼き討ち事件といったセンセーショナルな出来事を軸としたこのジャンルは、非道な朝廷と戦う綺羅星のごとき少林寺出身の戦士たちが見所で、数多くのスターたちが演じてきたハン・カーロやフォン・サイヨもこの時代における英雄である。

前作の『少林虎鶴拳』ではそんな反清の志士のリーダー格であったハン・カーロを主役として、その息子ハン・マンティンへと戦いが受け継がれていく壮大なストーリーであった。
最強とうたわれながらも、宿敵の前に壮絶に散り、その意志を引き継いだ息子によって宿敵を討ち果たすという胸熱な展開であったが、カーロ役のチェン・カンタイ推しが強いこともあり、最後が尻すぼみになっていたのは惜しいところだった。

本作はその続編というくくりではあるもの、前作との繋がりがあっていないところも多く、設定を一部盛り込んだ別物と考えてもいい。
それについては冒頭の宿敵白眉道人を倒したシーンが二人がかりで合体技だったところからも分かるだろう。
前作からするとストーリー性はそこまで拘ってはいないようで、歴史的なカタルシスは感じられない。

前作で監督を努めたラウ・カーリョンは今回は武術指導のみに徹し、作品の全体を司る監督には彼の信頼も厚い、羅烈(ロー・リエ)が務めた。本作が初監督となったロー・リエ自身もラスボスで白眉道人以上の化け物ぶりをみせる白蓮道人を演じているが、彼のこだわりとして前作以上にハイレベルなアクションを作る!が第一にあったらしい。
その意気込みに違わず、本作はとみにアクションのレベルが高く、カーリョンの指導も最高潮であったことであろう。

主役となるマンティンにはカーリョンの期待に応える義弟のゴードン・リュウこと劉家輝。
ラスボスには前作に引き続きバイメイ俳優ロー・リエ。さらに実力派の王龍威やクララ・ウェイ、小候などカーリョン組として名を馳せているスターたちがレベルの高いアクションや格闘シーンを見せてくれている。

冒頭のマンティン&フー対白眉道人の戦いからしてその鮮やかな合体攻撃で目をみはるものがあるが、やはり若きゴードン・リュウのアクションレベルの高さは流石で、お得意の特訓シーンでは今回は女人拳に挑戦。クララ・ウェイのしなやかな演舞にあわせて見せるリュウの堂にいった女人拳は注目である。

そして都合三度行われるリュウ対ローリエの一騎討ちはこの作品のハイライトともいうべきところ。
おしなべてシリアス調だった前作と比べて多少コミカルにしかしその動きはハイレベルという格闘シーンは武術指導ラウ・カーリョンの演出・殺陣のスゴさを改めて感じさせ、ショウブラザーズいちの武術指導家の名に相応しい仕上がりである。

クライマックスの三度目の対決ではロー・リエの沐浴中に襲われることからマンティンが自分の貞操を狙っていると勘違いし、服を着ながら戦うというコミカルな一騎討ちもあり、シリアス調が多いショウブラザーズの少林寺もののなかでもバラエティにとんだ作品といえる。

いささか最後が強引な感じはあるものの、前作と比べてここまで作品の毛色が違う続編も珍しいのではないだろうか。
もちろん前作をみてなくても、本作品単体で十分に楽しめることは間違いなく、レベル高いアクションをみたいならおすすめしたい作品である


評価…★★★★
(チート過ぎる白蓮道人の強さがちょっとだが、アクション中心の前のめり体勢は高評価)