人気絶頂期にあったジャッキー・チェンが主演し、話題となった荒唐無稽のバトルアクション作品。

第二次大戦下の中国。極東軍の侵攻によってその地域を統括していたアメリカ、フランス、イギリス、アジア司令部の将軍たち4人と50万ドルに及ぶ軍資金が行方不明となった。
連合軍は将軍たちを救出すべく、世界有数のエージェントたちを召集するが、折り合いがつかず。

難航の末にその任務を請け負ったのは優れた戦略家として有名なドン中尉であった。

連合軍司令部は彼を呼び出すと少数精鋭の『特攻隊』を組織し、囚われた将軍たちの救出と50万ドルの軍資金の奪取を命令する。

早速ドンは昔からの仲間たちを集めるため奔走する。
酒場で賭博していた銃の名手『チョビヒゲ』、脱獄の名人パピヨン、早撃ちの名手ビリーとその恋人リリー、収容所で出会ったB子とオマツと寄せ集めながら癖の強い仲間を集め、ドンたち『ドラゴン特攻隊』は極東軍が彼らを捕まえているとされるアジトへと向かう。

道中で、格闘の達人で賞金稼ぎのシャオ・リーとそのパートナーのエルニューが特攻隊の前に現れる。彼らは前にビリーに騙されて格闘賭博で稼いだ賞金を騙し取られておりその報復のために立ちはだかるのだが、ドンに一掃される。

とある集落地帯に着いたドンたちはいきなり仮面を被った集団に襲われる。
女性だらけで形成されたアマゾネス軍団に不意打ちを食らった特攻隊は逃走を余儀なくされるが、その最中でドン中尉が撃たれ車から落下し生死不明となってしまう。

リーダーを失い、方針に迷うチョビヒゲたちだが、ドンの意志を継ぐべく任務を続行することを決意する。
しかし再び強襲してきたアマゾネス軍団になすすべもなく捕まってしまう。

一人遅れていたリリーは女王たちに襲われるが、絶体絶命のところを救ったのはシャオ・リーであった。
華麗なカンフーで彼女らの撃退するとリリーは囚われた仲間たちを救出。特攻隊の逆襲にあったアマゾネス軍団は反対に壊滅させられてしまうのだった。

疲弊した面々は道中に見つけた廃墟ホテルで疲れを取ろうとするのだが、ここには幽霊やキョンシーなどが出現し、チョビヒゲたちは幻惑されて捕まってしまう。
あわや生け贄にされる寸前のときに助けにきたのは別行動していたリリーであった。
幽霊や化け物に化けてお宝を奪う強盗団が彼らの正体と知るリリーはバズーカなどの強力な武器で宗教じみた彼らを一掃。
何とか助け出された彼らは彼女の活躍もあって、ようやく極東軍のアジトに到着する。

しかし中は何者かによって基地を守る兵隊たちが全滅していた。
当惑する面々のもとにシャオリーとエルニューも合流。
すると周囲から極東軍の増援の大部隊が押し寄せてくる。

50万ドルの軍資金を要求する敵に対し、特攻隊の面々は何者かに罠に嵌められたことに気づく。
小屋のなかにはほぼ無傷で残った大量の武器、そして床下に50万ドルが隠されていた。

軍資金を渡して逃げるかそれともこの軍資金を得るために戦うのか。
特攻隊の面々は生き残ったものが軍資金を独り占めにできるという約束を交わし、極東軍の大軍勢と戦う決意を固める。

夜が明け極東軍は一気に門を蹴散らし、攻め込んでくると、特攻隊はそれぞれに彼らを迎え撃つ。
しかしそれはあまりにも無謀な作戦であった。
攻めてくる軍の前に一人また一人と倒れていく特攻隊の面々。
ビリーとリリーも銃弾に倒れ、残ったシャオリーは敵の重機関銃を強奪してようやく敵を殲滅させる。

戦いは終わったかにみえた矢先、彼らのもとに死んだはずのドン中尉が現れる。
ドンは生き残ったチョビヒゲを容赦なく射殺。
そうドンこそがこの戦いを仕組んだ黒幕であった。
軍資金を狙い、互いを相討ちにして漁夫の利を狙った卑怯なやり方にシャオリーは激怒し、ドンに挑む。

果たしてシャオリーはドンの野望を砕くことができるのか?
命を懸けた最期の戦いの幕が開く…

何かと噂のある香港映画界の大御所、ジミー・ウォング製作総指揮による破天荒なカルトアクション作品。

ジャッキー・チェンが現在のような世界的アクションスターへとかけのぼったのには幾つかの大きな転機があった。
アジアでの人気を不動のものとした傑作『プロジェクトA』が作られ、次なる『スパルタンX』などの次回作の撮影の最中にこうした荒唐無稽な作品に人気絶頂期のジャッキーが出演したのには色々と訳がある。

香港映画界の独裁者、ロー・ウェイ監督の所属俳優であったジャッキーは外部に派遣された『蛇拳』、『酔拳』のヒットをうけてより制限なく動けるゴールデンハーベストへの所属を希望。
ここで子飼いのアクションスターのままでいさせようとするロー・ウェイとジャッキーの対立は決定的となり、ゴールデンハーベスト社は半ば強引な形でジャッキーを引き抜き、海外への撮影へと連れ出した。
これに激怒したロー・ウェイは黒社会を雇い、掟破りをおかしたジャッキーの命も狙うようなことにまで発展する。

香港映画やジャッキーファンの間では有名な『ジャッキー、ジャック事件』であるが、この泥沼な争いの仲裁をかったのが黒社会と関わりのあった大物ジミー・ウォングであった。
ジミーとロー・ウェイとでは言うなれば最大組織のヤクザと地方の地元ヤクザみたいなもの。ジミーさんの影響力に抗うことなどできるはずもなく、ジャッキーは無事ゴールデンハーベストへの事務所移籍を果たしたのである。

ちなみにロー・ウェイ側はジャッキーが引き抜かれた代わりとして、これまでの未公開フィルムと似ても似つかぬそっくりさんを作り上げて、作品を製作。そのやり口にはファンの間でも賛否が分かれた。

一方、ジャッキーとしてはジミーさんには大きすぎる貸しをつくったこととなり、全く持って頭が上がらなくなったため、このような作品出演にも断る術がなかったのである。
ジミーさんは都合三度自身製作の作品にジャッキーを招聘し、出演作品として公開したのである。

ストーリーは早い段階で破綻しており、救出作戦といいながらも道中でトラブルに巻き込まれまくる寄り道の方が全体的に多め。
アマゾネス軍団やキョンシーなど中盤あたりまではコメディ寄りの感じであるが、クライマックスになると主要人物が次々と死んでいくというハードな展開。目まぐるしい展開なので、油断すると見ている観客すら置いてけぼりを食らいそうなさ感じすらうける。

肝心のジャッキーはというと、主演とされる割には出番がそう多くはない。格闘シーンにおいては彼の独壇場ではあるものの、見せ場となるのはアマゾネス軍団との乱戦やクライマックスでの極東軍との激しい銃撃戦くらいだろうか。
ジャッキー自体は特攻隊のメンバーというわけではなく、特攻隊のいわば押し掛け助っ人みたいなもの。
徹頭徹尾カンフーで戦う姿は全体的なアクションとしては少し浮いている感じがしなくもない。

ラスボスであるジミーさんは銃だったり、日本刀使ったりとこれまで以上に反則技のオンパレードなのだが、ジャッキーとの激突は十数年以上もまえにある『ファイナルドラゴン』以来。人気絶頂期のジャッキーだけにその内容が、気になるとこではある。
ちなみにジミーさんはジャッキーの攻撃はほとんど効かないというチート設定となっている(笑)

他にも映画界に絶大な影響力をもつジミーさんだけに彼の声掛けで台湾出身の有名どころの俳優たちもよばれており、後にジャッキーと共演するブリジット・リンやアダム・チェンらが顔を揃えている。
特に実質の主役とも思えるブリジット・リンの体当たりアクションは必見である。

数あるジャッキー作品のなかでも特にレア度がたかいであろう本作品。
カメオ出演する俳優陣も多く本編ストーリー以外にも楽しめそうな感じなので、ファンとしては押さえておきたいところである

評価…★★★
(出番は少ないけど、キチンと美味しいとこ取りのジャッキー。)









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