ハリウッドでも活躍するジェット・リーが挑んだハードボイルドな刑事アクション。

北京警察に所属するクン・ウェイは犯罪組織に潜入する捜査官。常に命の危険にさらされる任務のため家族にもその職務すら告げることができない。
凄腕の刑事であるが、そんな彼には病弱なつまらないシャと愛息のクーがおり、家族との団らんがかねてからの希望であった。

偽造パスポート組織の犯人グループを撃破したウェイは犯人の一人を連行すると、武術大会の決勝戦に出場する息子クーの演舞を見に行く。
決勝戦のクーの演舞を見守るその途中、ウェイは犯人グループの残党に襲われる。

クーの優勝でわく会場に犯人が落下し、観客席がパニックになるなか、試合が終わったクーがウェイの逮捕劇に参加し、協力して犯人グループを制圧し歓声に囲まれるなかでウェイは密かにその場をあとにする。

後日、警察より感謝状が送られることになったクーはその贈呈式にウェイと行けることを期待していたのだが、ウェイは来れず、クーのもらった感謝状と旗を褒めながら家族で家路につくしかなかった。
翌朝、いつもの朝のトレーニングに勤しむウェイとクー。静かな時が過ぎようとするなか突然公安の部隊がやってきてウェイを逮捕し連れ去ってしまう。
訳も分からぬまま取り残されたクーとシャ。ウェイは必ず帰ってくるとクーに言い残し連行されていく。

実は逮捕劇は偽装であり、ウェイを次なる任務へ就かせるための布石であった。
強引なやり方に渋るウェイを尻目に署長よりもたらされた新たな潜入捜査は香港の犯罪組織のボス、ポーの逮捕。
ポーは大量の高性能爆弾を仕入れようとしていた。ウェイはその証拠とポー逮捕のため組織に潜入し組織を壊滅させることを命じられる。

ウェイは潜入するため北京の刑務所に捕まっている組織の一人コウに接触。争うふりをして看守の注意を引き、コウと共に脱獄を図る。
香港に渡る前にクーのもとに戻ったウェイはクーに妻を自分にかわって守ってくれと告げ、すがろうとするクーにまた連絡すると言い残し、家をあとにする。

香港に渡り、コウの紹介でポーの組織に入ったウェイ。ボスであるポーはかなり粗暴で、常日頃から部下たちに暴力をふるい屈伏させるような狂暴な輩であった。
一方、父親が目の前で警察に連行されたことでクーは学友たちからの心ないいじめにあっていた。友人にまで危害を加えようとしたいじめっ子グループに対してクーはカンフーで彼らを撃退し、家族を守るというウェイの期待に応えようとする。

ウェイが潜入した組織のボス、ポーはいかにして身銭を切ることなく相手から高性能爆弾を手に入れるかを部下たちに問う。
アイデアが浮かばずポーが荒れ始めるなか、ウェイは取引現場に強盗として乱入して相手の爆弾と交換のため用意してきた資金を同時に盗み出して行く案を提案。ポーもその案にのり、取引の日に向けて用意周到な準備を始める。

取引当日。
オフィス街にある巨大カフェテラスで待ち合わせたポーたちは相手の様子を伺い突入のチャンスを伺っていた。
カフェには警察署長と交際関係にあった女刑事フォンが彼との別れ話を終えようとしていた。
その刹那、ウェイたちが乗った車がカフェ内に突入。取引相手のマフィアたちと激しい銃撃戦を始める。ウェイは被弾しながらも取引相手を一掃し仲間を逃がすが、自身は騒ぎをきき、駆けつけた警官隊に包囲されてしまう。
警察署長を人質にとり凄むウェイ。じりじりと包囲が狭まるなか、車が突入してくる。
乗っていたのは事の次第を見ていたフォン刑事であった。

ウェイはフォンを人質に包囲から脱出。
追跡してくる警察を振りきるとフォンを追いかけてこないよう手錠で拘束し、逃亡する。

ポーはどさくさに紛れ金と爆弾の両方をほぼ無傷で手に入れたのだった。
ウェイの機転と冷静さを気に入ったポーは次第に彼を信頼し、重宝し始める。

一方、警察には一般市民からのたれ込みから偶然にも覆面を被る前のウェイの姿が撮影され持ち込まれていた。
事件の当事者となったフォンは彼の素性を探るために彼がやってきたとされる北京へとやってくる。

ウェイの家を探すため、学校に立ちよったフォンはクーのあとをつけるが途中で気づかれ、ウェイの知り合いだと嘘付くとクーに自宅を案内させる。
迎えた妻のシャは病気が進み、半分寝たきりのようになっていた。
ウェイの仕事仲間として振る舞うフォンであったが、そんな彼女を見てシャはフォンが刑事であることを勘づき始める

フォンはクーたちと生活を共にしていくうちにウェイが悪人ではないことに気づき始め、彼の正体を探し始める。
すると次第にクーも心をゆるしはじめ、フォンと行動を共にすることも多くなる

そんなある日。シャの病状が悪化。
急ぎ病院へと運び込まれるが、意識は混濁し危険な状態となっていた。
そんな中で、フォンはシャに呼ばれ、ウェイを捕まえにきた刑事だと見抜いた上でクーとそしてウェイを助けてあげてほしいと頼み、クーが見守る中で静かに息を引き取る。

ポーたちは次なる計画に着手しようとしていた。
それはポーの姉も加えた盗掘した骨董品を船上でオークションにかけるというもの。
多大な利益が上がるとされるが、ポーはさらに買い求めにきた富豪たちを監禁し、金と装飾品をまるごと強奪。さらに手に入れていた爆弾を使って皆殺しにし、姉を差し置いて利益を独り占めにしようと画策していた。
そんな中、ウェイのボケベルにクーからシャが死んだというメッセージが届く。
錯乱したウェイは思わずポーを殴り倒してしまう。

コウの仲介で事なきを得るが、ウェイは冷静さを失っていた。

シャを荼毘に伏したクーは、ウェイがいるという香港にフォンと共にいくことに。
しかしそれをウェイ逮捕に利用しようと警察署長はクーが行方不明になったかのような新聞記事をでっち上げ、彼をお引き出そうとする。
フォンはそんな理不尽なやり方に猛反発するのだった。
テレビで自分がいつの間にか行方不明にされていることを知ったクーはウェイが助けに向かおうとしていることを知り、フォンの家から脱出。ポケベルで逮捕するための罠だと伝言をいれる。

しかしウェイは既にフォンのアパートに潜入していた。戻ってきたフォンと鉢合わせするなかで、クーが既に出ていっていることに気づき、ウェイもすぐにあとを追う。
街で佇むクーには1台の車が近づく。そこに乗っていたのはポーであった。
ウェイを狙って警察が動き始めていることは既に知れており、その関係者と思わしきクーをさらいにきたのだ。

アジトに戻ってきたウェイは、ポーの横に座るクーの姿を見つける。
必死に動揺を抑えようとするウェイ。
ポーはクーが香港にきた目的を問いただし、組織内のスパイを炙り出そうと折檻を続ける。
ボコボコにされる姿をじっと見守るウェイだったが、次の瞬間クーの首を吊り上げる。
クーは悪人を父さんが最後にやっつけるとウェイに響くように呟くと、ウェイはクーを締め落とす。

クーはごみ捨て場に棄てられた。
残酷さから評価をあげたウェイはポーに誘われ皆で飲み会に連れていかれる。
数時間後、泥酔したふりをしたウェイはポーの二次会への誘いを断り、クーが棄てられたとされるごみ捨て場へと急ぐ。
しかしそこにはクーの姿はなく、いたのは信頼を裏切られ激昂するポーであった。

部下をも撃ちかねない勢いで銃を乱射するポーに襲いかかるかつての仲間たちと戦いながらも苦戦するウェイ。その絶体絶命のピンチを救ったのはウェイの姿を追っていたフォンであった。
傷ついたウェイはフォンの所で治療し、クーの行方を探る。

ごみ捨て場に棄てられたクーを救ったのはコウであった。
理不尽なポーへの反抗とウェイへの友情のため組織を裏切ってでもクーを救った彼だったが、その裏切りもポーの耳に入ることとなる。
コウの裏切りを知ったポーは船上のオークションへと行く前にコウを惨殺。
水中に隠れ難を逃れていたクーは間際のコウからポーがオークション会場に爆弾を仕掛け、犠牲者を出そうとしていることを伝えられる。

コウのもつ携帯とポケベルでクーはウェイにポーが仕掛けた爆弾の在処を教え、爆発を防ごうとする。
ウェイも船へと乗り込み、クーの指示のもと仕掛けられていた爆弾を次々と撤去するのだが、最後のひとつメイン会場の床下にある爆弾のところで携帯の電池が切れてしまう。
クーは爆弾を止めるため船へと乗り込んでいく。

一方、遂に本性を現したポーだったが、仕掛けられていた爆弾を解除され、怒り心頭でウェイに挑みかかる。
果たしてウェイとクーはポーの企む野望を食い止め、組織を壊滅できるのか?
親子の最後の戦いが始まる…


ジェット・リーがハリウッド進出前夜に出演したハードボイルドな刑事アクション。

90年代に『ワンチャイ』シリーズで華麗な復活を遂げたジェット・リーは得意の武侠アクションのほかにも色んなジャンルのアクションにチャレンジし、来るハリウッド進出への足掛かりを確かめていた。

その中でカンフー青年だった彼も年齢相応の役を演じることとなり、実験的な作品として製作されたのが伝説の武術家、ハン・カーロを演じた『新・少林寺伝説』であった。
ここでは初の父親役を演じ、経験値を積んだ大人の魅力を探っていくこととなる。
その時に彼の子役として演じていたのが現在中国の次世代若手アクション俳優として活躍の場を広げているシー・ミャオである。

この二人のコンビは評判をよび、その設定を活かしたまま第2弾として製作をされたのが本作である。

荒唐無稽でよかった武侠アクションと比べて、リアルさとよりシリアスさを求められる現代アクションでのこのチャレンジは、前作以上にジェット・リーの父親的魅力を深めることとなり、ジェット・リーが演技の面でも十二分に魅せることができる俳優となったことを証明することとなった。

アクション面においては、ジェット・リーだけでなく、前作同様子どもカンフースターであるシー・ミャオとの競演もみそであり、クライマックスでのタッグアクションが見処。
本編でもゲスト出演しているリーの盟友、コリー・ユンの手腕が光るところである。

更に現代アクションということで格闘アクションだけでなく、派手なガンアクションや爆破アクションも豊富に取り入れていて、マシンガンをぶっぱなすリーの姿もなかなか新鮮。

脇を固める出演陣も実力派揃いで、本作のヒロインとなる男勝りの女刑事フォンにはアニタ・ムイが演じ、しなやかかつダイナミックな格闘シーンも見せている。
そしてリー&シー・ミャオ親子を迎え撃つ敵役にはラスボスに京劇出身のアクションスター、ユー・ロングァンをはじめ、その部下にはケネス・ローにコリン・チョウという強力な布陣。
クライマックスでみせる三人の足技乱舞は必見。

そのクライマックスではリーのトンファーアクションもふくめ、シー・ミャオとのタッグ攻撃とユー&ケネス&コリンの三位一体攻撃が最大の見処。
実力派同士のコミカルさも含めたハイスピードな戦いは圧巻の一言である。
特にラスボスのユー・ロングァンの癖のあるキャラとジャケットを使った変幻自在の攻撃は印象深いところである。

リーのキレキレのカンフーと実力派アクションスターたちとの激突は作品内容こそ地味めではあるが、アクションレベルとしては高く、リーの作品群のなかでも隠れた名作といえるだろう。

評価…★★★★
(リーだけでなく、子役シー・ミャオの子ども離れしたカンフーも注目)