皆様こんばんは。
アクションとホラー映画をこよなく愛する映画フリークいわしでございます、
前回からだいぶたちまして色々と忙しいところなのですが、梅雨のじめじめした鬱陶しい季節にはスカッとするアクション映画がオススメですねぇ。

今回の映画独論ですが、久しぶりとなるベスト10ものをやってみたいと思います。
今回とりあげるのはカンフーだけでなくアクションスターのレジェンド中のレジェンドである
『ブルース・リー』


でございます。

簡単にご紹介しますと、ブルース・リーこと李小龍は本名は李振潘といい、1940年11月にアメリカ合衆国サンフランシスコで演劇俳優の父親と母親のもとに生まれました。
幼い頃から子役俳優として活躍し、カンフーもこの頃からかじってましたが、13歳のときに詠春拳の達人葉問(イップマン)に師事し、その腕を開花させます。
ただ実際には詠春拳をケンカに使うリーに葉問は激怒し、彼を破門にしていたようで、正確には彼の兄弟子に師事していたというのが正しいようです。

そんなケンカ三昧な息子に命の危険を感じた父親の厳命でリーはアメリカへと渡り、皿洗いのバイトを経て大学へいき、詠春拳の道場を外国人相手に教え始めます。
その辺りの詳細は数々の彼の伝記映画で描かれていますが、紆余曲折を経て詠春拳と他の格闘技を活かした『ジークンドー』を創始し、格闘家としても名を轟かせることとなるのです。

ハリウッドでは『グリーンホーネット』ほかテレビ俳優として活躍するもヒットまではならず、父親の葬儀で帰ってきた際に香港で口説かれ出演した作品が大ヒットして一躍アクションスターとしての道が開かれるのですが、その絶頂期にあった1973年、脳浮腫という病気によりわずか32歳でこの世を去るのでした。

ブルース・リーが世界的に有名になったわけですが、実のところ日本で正式公開された作品は5作品と少なく、最後の出演とされる『死亡の塔』他は作品の未公開フィルムの使用ということで今回のランクから外しております。
そして伝記映画に関しては別物となるためこれも今回のランキングからは外しております。
そんなところでさっそく『格闘シーン』目線でみたベスト5をいってみましょう

まず第5位は

『ドラゴン危機一発』


でございます。
いわずとしれたブルース・リーの香港凱旋第一弾の作品です。
当時は脇役でジェームズ・ティエンが主役だったそうですが、アクションのキレの素晴らしさに監督のローウェイが即座に主役に交代し作り上げた逸話がありました。
公開当時は彼の代名詞である『アチョー』の怪鳥音やヌンチャクはなく、リマスターのうちに怪鳥音は追加された経緯があります。そのため音の入りにちょっとした違和感があります。
さて問題の格闘シーンですが、武術指導は敵役であった韓英傑であったため、トランポリンを使った飛び回るスタイルの格闘シーンが多めでした。
集団乱闘シーンが多い中で一騎討ちとなるのはクライマックスのラスボス、韓英傑との対決シーン。
両手ナイフとカンフーを駆使して襲いかかる敵を相手に、切られながらも反撃を伺うスリリングな場面が展開されます。
ただリーの作品としては鮮やかな飛び蹴りは見物ですが、胸に指を突き刺してめり込ませたり、馬乗りになって殴り続けるなど結構な残虐ファイトが目立つため、ランク5位とさせてもらいました。
そのラストの残虐ファイトがこちら



続いて第4位は

『ドラゴン怒りの鉄拳』


でございます。
現在も抗日アクションの代表格として幾度となくリメイクされる作品ですが、日本でも公開第3作めとして紹介され、抗日にも関わらず大ヒットとなりました。
本作の敵は日本人なのですが、その凶悪なラスボス鈴木役には橋本力のほか、勝新太郎グループの俳優たちが派遣されております。これは彼のファンであるリーやローウェイからのオファーで、実際は勝新を呼びたかったらしいのですが、勝新自体が興味を持たず、彼の推薦で先の橋本と勝新のダブルをしていた勝村淳を送ったそうです。
本作から怪鳥音とヌンチャクが解禁となり、一部格闘シーンにはリー自身が振付けしたことにより、より実戦的なファイトスタイルへとなっています。
一騎討ちとしてはクライマックスの単身虹口道場への殴り込みシーン。
ここでリーは柔道チャンピオンのロバート・ベイカー、さらにラスボスの橋本力との連戦となるのですが、クライマックスの橋本力戦では日本刀対ヌンチャクの打ち合いという派手な競り合いが繰り広げる以外は橋本のスタントがジャッキー・チェンというくらいしか見所は薄いです。
注目はその前のロバート・ベイカー戦。
ここでの腕ひしぎ十字を極められたリーが噛みつきで脱出するシーンはまんま『燃えよドラゴン』でジョン・サクソンヤン・スエ戦でトレースされています。『危機一発』以上に見せるリーの連続回し蹴りの鮮やかさが目に焼きつきますね。
その一連のクライマックスシーンがこちら



第3位は

『燃えよドラゴン』


でございます。
リー最大のヒット作品であり、巷でも一番人気である本作ですが、確かに映画作品としてのエンタメ性においては本作が一位でしょう。
しかし、この時点で既にリーは病魔に侵されており、その肉体も鍛えてはいても筋肉美も幾分細くなってきていました。
格闘大会舞台ということでリーはオハラ役の空手家ボブ・ウォールとの対決こそあるものの彼が中心となってアクションシーンの本流となるのは後半あたりから。地下牢で繰り広げられる乱闘シーンでは珍しい棒術やダブルスティックもみせていますが、短時間でもヌンチャクのインパクトは鮮烈です。
ラスボスは昔のカンフー映画の黄飛鴻もので敵役として有名だったシー・キェン。北派少林拳の達人ではあるものの本作の時点で還暦だったこともあって、遠巻きでの戦いやアクションはラム・チェンインらスタントマンたちが動きを担当。さらに華麗なサマーソルトキックやバク宙をみせるブルース・リーですが、このシーンも実はスタントダブルで、ユン・ワーユン・ピョウらが担当している。
格闘シーン自体はほぼリーが担当していて、それぞれの戦いの振り付けもやっており、その指導ぶりは伝記映画とかでも綿密に描かれている。このため本作はリーのジークンドースタイルがフルに活用されており、リーのアクションのバイブルとなっております。
肝心の一騎討ちシーンはクライマックス後半。伝説の鏡張りの間の対決ですが、ナイフ付きの義手片手に奮闘するシー・キェンですけどどうしても一方的な感じなんですよね(^^;
リーが怪我するのは不意を突かれたり油断したりしてるときなので。あとは圧倒的にリーが強すぎる印象です。
その印象も含めてランクはあえての3位とさせてもらいました。
映画史上に残る鏡の間の対決シーンがこちら。




さて惜しくも第2位はこちら。

『死亡遊戯』


でございます。
事実上のリーの遺作となった本作はクライマックスの15分強がリーが出演する格闘シーン。あとは製作、監督を兼ねたサモハンの手腕によって一流の犯罪シンジケートアクションに仕上がりました。
リーが残した本作のクライマックスの格闘シーンは実は60分を越えるものであったそうで、本編の作品として成立させるためほかの出演者や関連の格闘シーンを編集し、仕上がったということ。
ちなみにリーがそもそも想定していたのは各国の格闘家たちが待ち受ける塔にリーを含む三人が宝物を手に入れるため階層にいる達人たちと戦うといったまさに夢の異種格闘技作品であったそうです。そこには三人のほかに足技の達人でテコンドーのウォン・インシク、蟷螂拳でフォン・ハックォンの名前が連なっていたとか。実現していたら、間違いなく1位でしたね。
ちなみに幻の三人バージョンのシーンは映像化されており、伝記映画『GOD死亡的遊戯』として独自のドラマと共にリリースされております。
さ、格闘シーンですが、ここではトラックスーツに身を包んだリーがカリの達人ダン・イノサント、韓国合気道チ・ハンツァイ、身長2m20の巨人カリム・アブドゥル・ジャバールとそれぞれに連戦で一騎討ち。
その戦いのバリエーションにまず圧倒されます。初戦のイノサントは史上最高峰のヌンチャク合戦を披露。ちゃんとバトルするとこういう緊張感があることを認識させられます。
チ・ハンツァイ戦ではだいぶ削られてしまってますが、ジークンドーの組技に対する奥深さを印象づけます。そしてラストのジャバール戦は規格外の身長差、ミスマッチを利用した何でもありな異種格闘技戦。打撃でなく絞め技で倒すあたりもリーの格闘哲学が溢れております。
ただ惜しむらくはそれぞれの戦いのスゴさを表すのに時間が足りないこと。そしてジャバール戦のミスマッチさが尾をひいて個人的に2位とさせてもらいました
わずか15分の奇跡の格闘シーンがこちら



さて、映えあるブルース・リー一騎討ちベスト5の1位となったのは

『ドラゴンへの道』


でございます。
全てをワンマンで引き受けたブルース・リーが手掛けた格闘だけでなくコメディ、ストーリーのセンスが光る傑作で、後にこの主人公の設定をトレースした作品はアクションスターの登竜門としてジャンル化されております。
肉体美としても最も充実していた頃で言うなれば一番仕上がっていたときのブルース・リーのファイトがみれるということですね。
専ら敵はずんぐりむっくりな外国人相手のためリーのポテンシャルは出にくいシーンもありますが、それでもダブルヌンチャクや飄々としたキャラクターは印象深いものがあります。
格闘シーンとしては有象無象の外国人たちとの乱闘シーンに加え、中ボスクラスに空手チャンピオンのボブ・ウォール、ハプキドーのウォン・インシクを迎えていますが、あくまでここではリーのジークンドースタイルは少しだけ。
見所はなんといってもクライマックスの全米空手チャンピオン、チャック・ノリスとの伝説の一騎討ちでしょう。
リー史上最高の格闘シーンとも詠われているのも納得で、まだ無敵のチャンプだったノリスの動きはキレキレ。連続突きの回し蹴りのコンビネーションなんてなかなか見れないですよ(笑)
通常では不利と見たリーがジークンドースタイルに変えて戦うと、えげつないジークンドーのファイトスタイルがかいま見えてきます。
相手が蹴ろうとすると上から脛を蹴って止めるストッピングローや上中下と連続して蹴りまくるキックコンビネーション、膝関節を蹴り砕く斧斬脚などそして最期はフロントネックロックで仕留めるというまさに教科書のようなジークンドースタイルの格闘シーンが描かれています。当時最強と呼ばれていたノリスとリーが本気で激突したこのシーンこそ最高の一騎討ちではないでしょうか?
リー対ノリスの伝説の一騎討ちがこちら



いかがでしたでしょうか?
作品数こそ少ないですが、そこに描かれているリーの格闘シーンはエネルギーに満ち溢れている感じがします。
何より本物の武道家がみせる迫力、そしてオーラ。実戦的なファイトスタイルは見映え重視な昨今の格闘シーンとは違う緊張感と高揚感がありますよね。
21世紀となった今でもこうして見劣りすることない迫力の格闘シーンですから、ブルース・リーの伝説というのは以降100年もそれ以上も語り継がれていくことでしょう。

アクションファンであれば原点にかえるときはリーのファイトシーンをみてみてはいかがでしょうか?
といったところで今回の独論はここまで。また次回新たなネタでお会いしましょう
(^-^)/

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