今やハリウッドでも活躍する日本人俳優真田広之の初主演デビューとなったアクション作品。

戦国時代。豊臣秀吉に与する甲賀忍者の頭領不知火将監は策略により伊賀の頭領初代百地三太夫を謀略のうえで暗殺し伊賀忍者勢皆殺しを画策する。

さらに将鑑は代々百地家に伝わる財宝を狙うが三太夫の遺児である鷹丸中国へ逃亡、それと共に行方不明となってしまった。

それから十数年。中国に渡り立派な青年に成長した鷹丸は百地家再興をめざし日本へ戻ってくる。

霧散していたかつての幼なじみたちと合流した鷹丸だったが、その動向はつぶさに将鑑の知るとことなり己の野心から百地家の財宝を再び狙わんと鷹丸の命を付け狙う。

将鑑の策略によって多くの仲間を失い、自身も捕らえられ痛め付けられ絶望の淵に陥る鷹丸。

そんな彼を謎の男服部半蔵が助け出すと彼は伝説の忍である白雲斎のもとに鷹丸を修行させる。

白雲斎の特訓によって奥義を極めた鷹丸は師匠の犠牲と伊賀の服部半蔵の妹となった幼なじみお通への想いを胸に再び将鑑を倒さんと立ち上がる。

そしてついに将鑑が三河徳川家康の暗殺を狙い進軍を開始。
千載一遇の好機とみた鷹丸は中国から共だった仲間たちと共に最後の戦いを仕掛けるのだが…

千葉真一率いるJACが最高の逸材として育ててきた真田広之の主演デビューとなった本作品。

本作が本格的な初主演の真田広之は当時から千葉真一をも超える逸材と評されていた。

そのポテンシャルは素晴らしくまるでダビデ像のようなボディに鋭く打点の高い飛び回し蹴りを連続して放つなど黄金期のトニー・ジャーにも匹敵する身体能力の高さを見せてくれている。

またダイナミック格闘シーンだけでなくJAC十八番のデスウィッシュスタントも素晴らしい。
注目は本物の伏見城の天守閣からの堀への数十メートルのダイブなどはジャッキーもビックリのデスウィッシュスタントぶりである。

また主役の真田広之を支えるJAC勢もキレキレの素晴らしい動き。
秀吉に組みする忍者で貫禄たっぷりの悪役でなおかつ見事なソードアクションを見せる千葉真一をはじめ、真田広之を助ける中国人娘として志穂美悦子が出演。空中で錐揉み回転しながらのダブルヌンチャクを披露し格闘アクションの見せ場を作っている。

ストーリー自体は単純明快な復讐譚なのだが、仲間の死を何とも形容しがたい創作ファイヤーダンスで弔ったり、飛んでくる矢を自らサーカスのように回転コマでくるくるしながら弾き返すなど当時の東映らしい突拍子のない表現が多々あるもの爆発的な真田のアクションでそれも気にならないくらいの格闘アクションのレベルとしては素晴らしい。

しかしただ一つだけ本作品を台無しにしている要素が。それは本作に流れる音楽。

当時アイドルとして真田を売ろうとしていた感満載の彼が歌う下手ウマな主題歌はともかく、格闘シーンに流れる音楽が恐ろしいくらいにあっておらず違和感たっぷり。

敵襲撃の緊迫した格闘シーンに緊張感のないジャズっぽいピアノインストゥルメンタルが流れるなど、かなりの興醒めである。

アクション自体は邦画でも最高峰なのにその辺り非常に惜しいところ。

作品の構成をするものが一つミスマッチなだけで評価が著しく左右される見本ともいうべき作品である。

近年『ラッシュアワー3』でジャッキーと戦ったり、『モータルコンバット』で伝説の忍者をキレキレの動きで演じるなど昔を知る人はアクション俳優としての真田を知る人もいるが、最近の演技派な彼しか知らない方々はアクション全盛期だった本作品を含むJAC当時の作品群を是非観ていただきたいものである

評価…★★★★
(音楽構成は本当にこれでよかったのか?センスが疑われてしまいかねません(笑))