いわしアクション映画日記VOL.1015『シルバーホーク』



香港最強の格闘女優ミシェル・ヨー主演のＳＦ格闘ヒロインアクション。

近未来都市ポラリスシティー。ここでは日夜街の平和を脅かす犯罪者達と戦う銀色のマスクのヒロイン『シルバーホーク』が活躍していた。

彼女の正体は普段は大富豪の令嬢ルル。幼い頃から育まれた正義の心に基づいて彼女は日夜正義の味方として活動を続けている。

そんな中いつも彼女に出し抜かれる警察はシルバーホーク逮捕のため特別捜査官のリッチマン警部が彼女の逮捕チームリーダーとして赴任させる。実は彼はシルバーホーク＝ルルの武術学校時代からの幼なじみだったが、その正体に気づかぬままだった。

ある日、ルルのもとに科学者ホが訪れる。
彼は人間の意思をも誘導する人工知能を開発、博士は富豪の彼女に開発支援を持ちかけるが、彼女はこれを拒否する。

ホは新たな援助のパートナーとしてルルの知り合いである大会社社長シライシを訪れるが、その人工知能の展示会で謎の組織に襲われ、拉致されてしまう

彼らはポラリスシティーで強大な影響力をもつシライシを支配してシティそのものを乗っ取ろうとしていたのだ。

その巨大な野望を砕くためシルバーホークは戦いを挑むが、敵の仕掛けた罠と刺客達を前に孤軍奮闘虚しく一度は敗北し、傷を負ってしまう。

世界支配のタイムリミットが迫る中、シルバーホークの正体を知ったリッチマンと共にルルは教授の救出と巨悪打倒のために最後の決戦に挑むのだが…


今や演技派としても活躍するミシェル・ヨーが自身の企画・製作で手がけた荒唐無稽のヒロインアクション。

『ポリスストーリー3』で電撃復帰し、『007』のボンドガールとしてハリウッド的にも注目を浴び始めた時点で、ヨーがハリウッド本格進出に向けて独立プロダクションを設立、本作はその第２弾となる作品である。(ちなみに第１弾は『レジェンド三蔵法師の秘法』)

注目すべき見所の中心となるのはやはり彼女の格闘アクション。
冒頭から世界遺産である万里の長城を飛び越えるバイクスタントからはじまり、トラックの上での敵の刺客とのスリリングな格闘戦など随所に彼女の真骨頂ともいうべきしなやかかつダイナミックなマーシャルアーツが入っている。

やはりというかワイヤーの助けもかなりあるものの、同じワイヤーアクションでもやり過ぎてピーターパンみたいになってしまった独立第一弾作品『レジェンド三蔵法師の秘宝』と違い、極力ヨーのそもそもの身体能力を活かした形に抑えているのが本作の評価を上げている要因のひとつだろう。

また本作はヨーの相手としてトリッキーで斬新な敵集団の面々にも注目。

後半に現れるバンジージャンプ集団やホッケー軍団とシルバーホークとの乱戦はやりすぎないワイヤーアクションの妙もあり、格闘アクションとしての見応え十分。

さらに敵中ボスにはハイポテンシャルな身体能力の『デッドロック２』のマイケル・Ｊ・ホワイトと『ドラゴンキングダム』の白髪魔女役で注目を浴びたリー・ビンビンと何気に豪華。彼らのリーの足技とマイケルのマシンガンパンチのタッグ攻撃は流石の一言でヨーとの激しい格闘戦にも注目。

さらにラスボスには今やＢ級アクションの雄でジェイソン・ステイサム作品の『デスレース』続編など骨太なアクションに定評のあるルーク・ゴス。無機質な表情からやはりのサイボーグ役だが、本作ではなかなか見ごたえある格闘アクションをみせていてラストではヨーと激しい一騎討ちを見せてくれている。

さてアクションにおいてはヨーの魅力が最大限活かされた感じだが、ストーリーや設定内容はヨーのオリジナル企画とはなっているものの兵器のガジェットを含め、もろにハリウッド映画『バットマン』の影響受けまくり。
いや７割はそっくりか(^^;
それでも『バットマン』も比べれば格闘アクションレベルは段違いなんでむしろこちらの方が安っぽいながらも楽しめるのではないだろうか。

また本作は近未来都市の設定ではあるが、実はそのほとんどが東京のお台場を中心に撮影されている。
よく見るとあるシーンには新都庁も出ているので興味ある方はご確認頂きたい。

ミシェル・ヨーの義父的な役割でダンディな俳優岩城晃一が主演しているが、まるで小泉元首相な風貌で明らかに吹替えがあってないなどの多少なりの違和感を感じたり、製作費をかけたわりには拭いきれないチープさ漂うＢ級感は致し方ないところ。

さらにヨーと幼なじみの刑事役リッチー・レンのグダグダなやり取りなど展開のテンポが間延びするなどマイナスな面もあるが、元ミスマレーシアの美貌を活かしたヨーの色々な美熟女コスプレが楽しめるなどアクションだけでないヨーの魅力も詰まった良作である。


評価…★★★★
(マイケル・Ｊ・ホワイトとリー・ビンビンの使い方が贅沢すぎるな〜)