骨太なアクションが得意のイ・グァンス主演のサスペンス格闘アクション作品。

さびれた炭鉱町に住むチェ兄弟。貧しいながらも格闘家として活躍し、現在は引退してこの街に帰ってきていた。

兄ビンは格闘技のジムを経営していたが酒とギャンブルで身を崩し、今では借金まみれの荒んだ生活を送っている。
炭坑夫として真面目に働く弟ヒョクはそんな兄に失望しつつも何とか立ち直らせようと彼を叱咤しているのだが、ビンはそんな弟の手助けすらも更なるギャンブルの借金につぎ込んでしまう始末であった。

街では元格闘家出身のヤクザ、カンが闇社会を仕切っており、炭鉱の運営の傍らで格闘家達を集め、非合法の地下格闘試合『アンダーグラウンド』を取り仕切っていた。
胴元であるチャンミと愛人関係にあるカンは生死をかけたその試合で莫大な利益を独占していた。

ある日、ヒョクはチンピラから暴行を受けていたところを助けたことをきっかけにホステスであり娼婦であるミナと付き合い始める。
兄を立ち直らせたいヒョクはミナと共に説得にあたるのたが、激昂したビンはヒョクに絶縁を叩きつけ姿をくらましてしまう。
憔悴するヒョクの気持ちを癒すかのようにミナは彼と深い仲になり、彼への愛情を募らせていく。

しかしヒョクはミナが商売であっても他の男と付き合い、抱かれることに苛立ちをもち始めていた。生きる術として身体を売るミナとの間にヒョクは少しずつすれ違いを感じ始めていく。

一方、借金がもはや自力では返せないほどになったビンはカンのもとに拉致されていた。
カンは元格闘家であるビンの腕に注目し、借金返済のために選手として『アンダーグラウンド』で戦わせる案を突きつける。
生殺与奪権を握られているビンはそれに抗う術はなかった。

早速カンはビンを奮い起たせるため、チャンミをあてがう。
ビンはカンが用意してきた対戦相手を次々と撃破していくのだが、その心は死んだままであった。身体を重ね合う内にビンに愛情をもち始めたチャンミはカンから持ちかけられた最後の試合を棄権して自由になる道をビンに勧めるのだが、ビンはそれを拒否し、最後の試合に臨む。

しかしその試合の対戦相手はカンの子飼いのファイターであり、カンはビンを負けるように罠をはっていた。
試合は死闘の末にカンのかつての旧友でヒョクと共にビンを追っていたサボムの乱入でビンの負けとなってしまう。そしてビンはダメージを負って昏睡状態となってしまう。

面子を潰されたカンは部下を使って瀕死のビンの点滴に毒物を混入させて殺害。
サボムによって兄の死を知らされたヒョクはカンに復讐を誓う。
手始めに兄を殺害したカンの腹心を待ち伏せし、カンの居所をきいて殺害。
部下達と騒ぐカンを見つけるとヒョクはナイフを手に襲いかかるのだが、すんでのところで部下達に阻まれ、袋叩きにあう。

殴り殺されかけたヒョクを救ったのはカンとの因縁も深いサボムであった。
元格闘家でもあるサボムにカンは、俺を倒したければ特訓して『アンダーグラウンド』まで来いと挑発する。

カンを抹殺するため兄を死に追いやったファイターとの対戦に向けて、サボムをトレーナーに凄まじい特訓を始めるヒョク。
ミナはカンを倒したところで兄は帰ってこないとヒョクを止めようとするのだが、復讐の鬼と化したヒョクにはその言葉は最も聞きたくないものであった。

復讐の理解してもらえないことに苛立ちを覚えるヒョクはミナを突き放し、勝手に別れを告げる。

特訓を重ね遂に戦いとなる前日。ヒョクはミナの顔を見るために彼女の店にやってくるが、彼女は他の客と飲んでいた。
嫉妬心にかられ客を追い出し、ミナに復縁を迫るがそんなヒョクの自分勝手な態度に彼女はなびくことはなく、ヒョクは孤独のうちに決戦の日を迎える。

遂に始まる決戦。一進一退の攻防が繰り広げられるなかで、自分自身への怒りを復讐の糧にしてきたヒョクは猛攻の末にビンを倒した因縁の相手を倒す。
しかし警察の突入に気づいたカンたちは逃亡を図る。

サボムが逃げるカンの前に立ちはだかるが部下達の集中攻撃で倒される中、遂にカンを追い詰めたヒョクは襲いかかる部下達をなぎ倒して一騎討ちに臨む。
果たしてヒョクは兄の仇を討つことができるのか…

韓国のアクション俳優イ・グァンスが格闘アクションをみせるクライムアクション作品。

日本で最初に注目された韓国アクション作品といえば『シュリ』であろうか。
以降韓流ブームに乗って現代劇から時代劇など重厚なドラマ展開を武器に色んな作品が公開されてきた。

本作は世に韓国アクション映画を知らしめた『シュリ』以前のレア作品である。

ストーリーとしては地下格闘家ものに兄弟の愛憎ドラマを加えただいぶ男臭い内容であるが、詳細見ると90分の内容のうち、20分は出演女優であるミナ役のチェ・ソヒかチャンミ役のホン・チェヒのヌードもしくはセックスシーンとなっている。

骨太な格闘アクションの腰を折るかのように挿入されるエロシーンのお陰で展開は恐ろしくもたつきまくっていて、アクション作品なのか三級片(ポルノ映画)なのか分からなくなってくるほど。

そして韓国ドラマの売りである重厚なドラマだが、これもかなり男尊女卑が前面に出ていて、出演する女優たちはほとんど脱ぎ要員のような感覚。恋愛ドラマもあるもののだいぶ薄味で、すぐにエロシーンへと移行するので、その辺りドラマ性を見たいという方は物足りないかも。

アクション的には、国技『テコンドー』を活かした格闘アクションと思いきや、なかなか泥臭いストリートファイト系、総合系の動き。
華やかさはあまりなくて一応テコンドーらしい回し蹴りや飛び蹴りなどもあるが、殴り合いが中心。

主役であるイ・グァンスはそこそこ動けており、本格的な見せ場はクライマックスの試合くらいしかないが、線路を跳びながら跨いだり、プラスチック缶を使ったボクシング訓練などハードな特訓シーンでポテンシャルの高さは確認できる。

惜しむらくはアクションシーンが夜が多く、しかも暗いところばかりで展開されるのでせっかくの派手な乱闘シーンや最後のヒョク対カンの一騎討ちも何をやっているのか分からないこと。その割にはエロシーンはよーく見える明るい場面での場合が多いので果たしてどちらを主役として見せたかったのか疑問が残る。

美形俳優はほぼ出てこないので昨今の韓流映画のような美しさとは真逆の暑苦しい作品。
主役も昭和くさい感じなので、まさにアクション黎明期の韓国映画という目線で見ていただきたい。

評価…★★★
(アクションよりも女優の濡れ場が強調されている気もする?題材はいいんだけどねぇ)