アメリカでもヒットし未だに新シリーズの作られる『モータル・コンバット』の実写化続編。

魔界と人類の覇権をかけた聖なる格闘大会『モータル・コンバット』は人間界の代表であるリュウ・カンが魔界の魔導師シャン・ツンを倒し人類はもう一世代永らえることが決定付けられていた。
しかし、その式典の最中に突如空が暗転したかと思うと何者かが人間界への侵略を宣言する。

神々との掟を破って侵攻してきたのは魔界の皇帝シャオ・カーンの軍勢であった。
6日で人間界を滅ぼすと豪語するシャオ・カーンに人間界の守護神ライデンが挑むが仲間を盾にされて不意打ちをくらい、ソニアを助けようと飛び込んだジョニーはシャオ・カーンによって殺されてしまう。

大軍に囲まれ万事休すのリュウたち人間界の戦士たちはジョニーの死にいきり立つがライデンによって制され、その場を脱出する。

強大な力をもつシャオ・カーンたちを相手に今のままでは勝ち目はない。
ライデンは彼らに対抗しうる力をつけるため戦士たちに更なる課題を与えるのだった。
リュウとキタナには辺境の地ホピメイサに住む獣人の戦士ナイトウルフから自身の未知の力を引き出す特訓を、ソニアは仲間であるジャックスと合流し魔界の戦士に立ち向かうことをライデンよりうけ、ライデン自らは神々の掟を破った経緯を問うため神界へと向かう。

地下の高速移動でホピメイサを目指すリュウたちは途中で互いの好意を確かめ合うがその隙をついて魔界の刺客スモークが襲いかかる。
苦戦する二人を助けたのはかつてリュウがモータル・コンバットで倒した氷の忍者サブゼロの弟であった。
魔界に反旗を翻した彼は二人に協力しようとするが、そんな彼を宿敵とする敵の忍者スコーピオンが襲いかかってくる。

し烈な死闘の末に危機に陥ったサブゼロをリュウは助けるが、その隙をつかれキタナはスコーピオンに魔界へと連れ去られてしまう。

残されたリュウはサブゼロが示したホピメイサへの道をひとりむかうしかなかった。

一方遥か彼方の研究所へとたどり着いたソニアは両腕をマシンで改造したジャックスと合流するがここにも魔界の忍者サイラックスが強襲。何とか協力してこれを返り討ちにするが、その途中にも女刺客ミレーネが襲いかかるなど人間界の戦士たちの協力を妨害せんと次々とシャオ・カーンの刺客達が襲いかかる。

ようやくホピメイサへとたどり着いたリュウは狼男に襲われるが彼こそがナイトウルフその人であった。
強力なシャオ・カーン打倒のためナイトウルフは荒い方法でリュウの獣性を覚醒させるべく気絶させる。

その目覚めた先には一人の女性が佇んでいた。
ジェイドと名乗る彼女はキタナを失い挫けそうになるリュウを誘惑するが、何とかリュウはそれをはねのける。すると彼女は真の正体を現す。彼女は獣性覚醒のために現れた刺客であった。単なる時間稼ぎに使われたリュウは修業もそこそこにカーンとの決着をつけるべく光の都へと戻る。
そしてその道先案内人として新たにジェイドが仲間へと加わるのだった。

ようやく目的を遂げ合流した仲間たち。
神々への相談から真の黒幕が自身の父親であると告げられたライデンは実の弟でもあるシャオ・カーンを倒すため人間界の戦士と共に戦うことを決意し、戦闘モードで合流。
しかしそこを見計らったかのようにシャオ・カーンの軍が侵攻し、シンデルが襲いかかる。

急ぎ魔界へと入る一行はまず囚われていたキタナを救い出す。
牢番の二人を倒したリュウは更に襲いかかる怪物シヴァをキタナと共に策略で倒すと合流した彼らにシンデルの手下たちが追いかけてくる。

ライデンの実力で刺客は撃退され、シンデルもジェイドの不意打ちによって倒されたことにより、キタナはシンデルを正気に戻すため説得を試みるがそれこそが罠であった。
ジェイドは実はシャオ・カーンに通じた刺客であり、魔界では力が半減するライデンを誘い込むことが目的であったのだった。

かくして高笑いと共に消えるシンデルとジェイド。
だがシャオ・カーンのもとに戻ったジェイドは人間界の戦士を倒せなかった罰としてカーンによって処刑されるのだった。

最強の敵であるライデンが魔界に入ったことで勝利を確信したシャオ・カーンは遂に本軍を率いて彼らの前に現れる。
ライデンがカーンに立ち向かうも歯が立たず倒されてしまったことで遂に追い詰められる戦士たち。
完全勝利を狙うカーンはそこであえての一騎討ち、人間と魔界による最終決戦『モータルコンバット』を提案するのだった。

こうして半人半馬の怪物モタロー対ジャックス、キタナ対シンデル、ソニア対ノーマック、そしてリュウ対シャオ・カーンの最終決戦が始まる。
死力を尽くしたお互いの世界の命運をかけた戦いの果てに勝ち残るのは果たして…

残虐性が話題となった人気格闘ゲーム『モータル・コンバット』の実写版の続編。

強烈な登場キャラクターのインパクトと確かなレベルの格闘シーン、そして中毒性抜群のトランステクノの音楽性が相まってハイリスクなゲームの実写化においては奇跡的な成功例となった前作から数年。
よりゲームの世界観を精査した続編が本作品である。

とはいえ前作で主要キャラだったクリストファー・ランバードやブリジット・ウィルソンといったハリウッド元A級俳優の続投は難しく、配役のキャラ的にはトーンダウンは否めないところ。

本家のゲームにも多大な影響を与えたケイリー・ヒロユキ・タガワに続き、ラスボスとなる魔神シャオ・カーンを演じたのは一時期第2のシュワルツェネッガーと呼ばれた肉体派アクション俳優ブライアン・トンプソン。
多少のモッサリ感は否めないが、相変わらずの悪役の迫力でいえば前作のケイリーにも負けぬ迫力である。

売りとなる格闘アクションは前作マスコット代わりのライデンも戦いに加わり、なおかつ登場するキャラクターが増えたため、逐一格闘シーンは導入されてはいる。
しかしなかには主人公たちとは関係ない戦いも入っていて、特にサブキャラであるサブゼロとスコーピオンの戦いなどは本筋とは関係ないのだが無駄にレベルだけは高い。

原作のゲーム好きであればとにかく出せるだけキャラクターを出そうという製作側の意向は嬉しいのかもしれないが、特にゲーム自体に思い入れのないものにとっては突然繰り広げられるキャラクター同士の戦いの背景が分からないので、全体的に格闘シーンとしての魅力が薄れてしまっているのが難点。

そんな中でも前半で繰り広げられる魔界の忍者たちとの戦いのシーンや、クライマックスの最終決戦は見応えがある。
特に注目なのはスーツアクターとしての忍者達の格闘戦のレベルの高さ。
日本の特撮はスーツアクターのレベルの高さは世界最高峰と呼ばれているが、本作ででてくる魔界の忍者スモークとサイラックスのアクションの高さはなかなかのもの。
演じたJJペリーは他にもスコーピオン役など本作では影の主役とばかりに多くのスタントアクションを演じていて主人公たちよりもむしろ彼らスタントマンの格闘レベルの高さに注目してしまいがち。

もちろん主役であるロビン・ショウも切れ味鋭い蹴り技やアクロバットな空中戦など見せているが、相手が今回は恵まれていない感じがして惜しい。
何よりクライマックスでの決戦での必殺技がドラゴンに変身するという技でレリーハウゼンばりのカクカク動きで表現され、それがあまり上手く描かれていないのも残念な点である。

ストーリー的にはキャラの詰め込みすぎで早い段階で破綻していて場当たり的に展開され、行われていることは壮大なことなのに全く伝わらない感じである。
そもそもの掟を破った理由すら描かれておらずこの辺りの説明が足りないのでこれも原作ファン以外はおいてけぼりなところがマイナスといえよう。

なお本作では後の次世代アクションスターたちが名もなきスタントマンとして何人か出演している。
一例をあげると中盤のライデン対三人の忍者との対決でライデンの代わりを演じたのが後のダース・モール役のレイ・パーク。
クライマックスにシャオ・カーンにサマーソルトキックを入れるリュウのダブルを演じたのがあのトニー・ジャーである。

原作ファン以外置いてけぼりの展開には賛否が分かれるところだが、格闘シーンとしてのレベルはかなり高く、後のハリウッドに凱旋してくるアクションスターが下積みしていたレア作品ということであれば本作はなかなか見応えがある作品とはいえるだろう。

評価…★★★
(前半戦のサブゼロ役キース・クックとJJ・ペリーのキック合戦も本編とは関係ないが珠玉のシーンである(^^;)

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