その始まりはマリオ・ヴァーヴァの『血みどろの入江』から始まった…
殺人鬼ホラーはいかにして人気を呼び、そして衰退、さらに復活してきたのか?
当時最新の殺人鬼ホラー『スクリーム』までの作品とその関係者たちの話を追ってその経緯を探る…


凄惨な残酷描写と分かりやすい展開と内容で人気ジャンルとなった殺人鬼ホラーの栄光の歴史を有名著名人のインタビューと様々な作品の名シーンで綴ったドキュメンタリー作品。

ホラー映画ファン特にスラッシャー映画ファンとしてはかなり垂涎ものの内容で、まずは殺人鬼ホラーの隆盛の様子をその作品の監督たちが語り部として登場するのがポイント。

基本的にはインタビュー形式ではあるが『ハロウィン』を手掛けたジョン・カーペンターや『13金』のショーン・S・カニンガム、そして『エルム街の悪夢』や『スクリーム』のウェス・クレイヴンらが自身の作品の知られざる裏側を交えながら殺人鬼ホラーの歴史を語るのは実に興味深い。

中でも見所は殺人鬼ホラーというジャンルを一大ヒットステータスに成長させた最大の功労者であろう特殊メーキャップアーティスト、トム・サヴィーニのインタビューだろう。
彼が殺人鬼ホラーの残酷描写にのめりこみ、拍車をかけた背景が意外なとこにあるのは本作だけでしか語られていない希少な内容である。

そして本作の最大の見どころとなるのがはまさに美味しいとこ取りの殺人鬼ホラー作品の有名シーンのオムニバス。
隆盛の歴史と共に映し出される作品は『ハロウィン』をはじめ、『13日の金曜日』に『エルム街の悪夢』に『スクリーム』とホラー好きなら誰もが知る作品がてんこ盛り。

出色はかつてゴールデンタイムで放映されお茶の間に衝撃を与えた植木バサミ殺人鬼ホラー『バーニング』と容赦無い殺戮シーンで過去一度しか放映されなかった『血のバレンタイン』の戦慄の残酷描写シーン。
ファンなら長らくDVD化されてなかった本作(近年ようやく復刻したが)がオムニバスながら観ることができるだけでも有難いかぎり。

もちろん有名どこだけでなく他にも『プロムナイト』や『ローズマリー』、『ブラッドピーセス』など日本未公開の作品も数多く収録されており、これだけでも観る価値はあるだろう。


また本作は見れば見るほどそのトリビア的知識がつくのも面白い
例えば、『ハロウィン』や『13日の金曜日』がヒットしたことにより、安価でコストパフォーマンスも高い殺人鬼ホラーはこぞって何らかのイベントや祝日などに絡めて製作されたため、祝日に関連させた殺人鬼ホラーのネタがなくなり、遂には『悪魔のサンタクロース』でクリスマスを題材にしてしまったことで民事訴訟にまでなった話はまさにアメリカのブラックジョークさながらである(笑)。


単に殺人鬼ホラーとしてのオムニバス作品としてではなく、作品出演者の希少なインタビューや日本未公開の珍作まで楽しめる本作はスラッシャームービーファンのバイブルとしてぜひとも持っておきたい代物である


残酷度…★★★★★

評価…★★★★

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