郊外の墓地に亡き母の墓参りに向かっていたジョニーとバーバラの兄妹。

ジョニーは律儀に墓参りに行く妹バーバラを茶化すようにゾンビのよた話をしていた。
すると突然彼らの背後から腐乱した死者が襲いかかる。

襲われあわてふためくバーバラは男を必死に振り解くも兄はもみ合いの最中に墓石の角で頭を打ち不慮の死を遂げる。

墓地のあちらこちらから死んだはずの人間が甦る中バーバラは蘇った死者から必死に森を逃げ惑い奥にある一軒の家へと辿り着く。

鍵が開いてる扉から入ったバーバラは住人を探すのだがしかしそこにも変わり果てた姿の住人が彼女に襲いかかろうとしていた…。

危機一髪の所で町から逃れてきたという黒人青年ベンにより助けられたバーバラ。
ベンの話から死者の襲撃によって町も崩壊しているという事実を知り、バーバラはベンと共にこの家で助けを待つ事にする。

やがて辺りは日が落ち漆黒の闇に包まれようとしていた。
そんな中家の地下室で息を潜めていたここの住人の甥トム達が現れる。騒ぎを聞き、町から逃げてきたというクーパー夫妻と共に地下室に避難していたのだが、集まり来るゾンビ達への対処をめぐりベンと生き残りの一人クーパーは激しく反目しあう。

辺りは闇に包まれ家の灯りを目印にゾンビの数は次第に増えつつあった。
生き残りをかけ家へのゾンビたちの侵入防止を第一と考えるベンはトム達を率いて窓や扉の補強を行う。
度重なるゾンビ達の襲撃を退けながらもその都度補強を続けるベン達。

しかしベンと反目するクーパーはテレビを勝手に地下へ運ぼうとするなど自分勝手な彼の一連の行動によりベンとの確執はさらに深まっていく。

一方バーバラは個々のゾンビ達の緩慢な動きに着目し、まだ数が少ないうちにこの家を脱出すべきと提案する。

しかし危険すぎるというベンの意見からあえて籠城することとなる。

脱出に必要なトラックに入れるガソリンが家から少し離れた給油所にあると知った彼らはバーバラの閃きでようやく叔父の遺体のポケットからそれらしき給油の鍵を発見する。

話し合いの結果トム、ジュディそしてベンの3人でゾンビ達のいる中でトラックの給油作戦を試みるのだが勢い余ったトラックからベンが振り落とされてしまう。

さらにいざ給油所についたものの持ってきた鍵があわず。焦ったトムは給油パイプにライフルで発砲。しかしそれがもとで持ってきた松明にもろとも引火。トムとジュディは車もろとも木っ端微塵となってしまう。
ゾンビに囲まれ襲われながらも何とか逃げ帰ってくるベンだが残された室内ではクーパーがバーバラからライフルを奪おうとしていた。

そして地下室で負傷していたクーパーの娘サラがゾンビ化。母のヘレンを食い殺し、一階に上ってきた彼女はバーバラに狙いを定め襲おうとする。

ベンはゾンビ化したサラを撃とうとするがクーパーのライフルによって致命傷を負い、クーパーも反撃してきたベンの銃撃を受ける。

もはやひしめき合うゾンビの家への侵入は止められない状況の中、バーバラは致命傷を負ったベンに促され町への脱出を図るのだが…

世界的に有名なゾンビ映画の金字塔『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を監督したジョージ・A・ロメロが自らの脚本の手直しをし、『ゾンビ』以降彼と親交の深い特殊メイク出身のトム・サビーニが監督したリメイク作。

本作はロメロ自身のセルフリメイクもあり、基本的な話の内容はあまり変わってないが、ロメロの盟友トム・サヴィーニが加わったことで原作と比べ飛躍的にゾンビのグロメイク度が上がっている。

そして原作と大きく違う点として主人公バーバラの設定が恐怖に怯え気力を無くす存在から困難に前向きに戦う女性へと変更になった。これは昨今の女性の社会進出や現在の情勢をふまえて女性の強さを表したものだろう。

残酷描写についてはハードなロメロの他作品と比べ、意外にも人体破壊描写などのグロテスクさは抑え目。
期待のお食事シーンはクライマックス近くに爆破によって焼肉状態の犠牲者が食いちぎられているのを遠巻きに見られるくらいである。

内臓を引きずり出したりなどの強烈な残酷描写の好きなゾンビ映画ファンにはかなり物足りなさを感じるかもしれない。

ただロメロのゾンビ映画が他の有象無象のゾンビ映画と比べて傑作と言われる所以はゾンビの残酷描写だけではなく緻密な人間ドラマの描き方にもある。

ロメロの作品をリメイクしたものやオマージュしたものは多いがやはりオリジナルのドラマ性を兼ねるもの、超えるものはそうなく、寧ろ表面上のゾンビアクションに重きを置いてしまうものがほとんど。
そんな陳腐なものが多い中、製作自体ロメロ自身というセルフカバーという事もあり、極めてオリジナルに近しい形になっている。

そのためリメイク作品にありがちなオリジナル陵辱のような感覚はさほど感じられない。
しかしより悲劇的結末だったオリジナルと比べ、本作のラストは救いようのないラストからは幾分薄れている。
ただ人間への皮肉をもじった本作の結末もある意味深いといっては深いのだが…

ゾンビ好きとして本作の内容は好みこそ分かれる所だが数あるゾンビリメイク作品としては仕上がりも上手く高評価といえるのではなかろうか。

オリジナルを知らないファンでもロメロ関連ゾンビ作品の入門編としてオススメしてもよい作品といえる。

残酷度…★★★

評価…★★★★
(ゾンビ自体のグロテスクさは上がったものの全体的には意外にソフトなロメロゾンビのリメイク。エグいの苦手なひともこれならイケるかも(^ω^))

関連記事
リメイクよりも救いようのないバッドエンディングが評価を高めた原作

気になる作品はこちらで検索





ブログアクセスアップのためのドメインならコチラで手に入れましょう