JAC 唯一無二のアクション女優にして数々の邦画女性格闘アクションのパイオニアとなった志穂美悦子の大ヒットシリーズの続編。

香港の九竜街。酒場で花売りをしていた李紅竜はヤクザの集団に追われる男と出くわす。
その男は武道家らしき男とヤクザたちに囲まれ腹部を刺されて致命傷を負っていた。
ヤクザ達を蹴散らした紅竜は死の間際の男から自らの義眼を託される。
その中には謎のフィルムが入っていた。

富豪の王家の呼ばれた紅竜は謎のフィルムを解析するが、そこにはヤクザたちに拉致されていく中国人女性たちの姿が写っていた。そしてその中には紅竜のハイスクール時代の同級生であり、王の娘である美麗の姿も写っていた。
王に娘の救出依頼をうけた紅竜は彼女が連れ去られたとされる日本へと渡ることを決意する。

彼女らを浚ったのは日本の大企業である『大曽根工業』の関係者。
社長である大曽根は裏でダイヤ密輸のシンジケートを組織し莫大な利益をあげ、ボディガードとして多くの武道家達を従えていた。

紅竜は日本で宝石デザイナー職に就いている姉、白蘭をたよりに来日するが、乗り込んだタクシーは彼女の来訪を察知した大曽根が仕掛けた罠であった。
閉じ込められた紅竜に大曽根の子飼いの刺客である本位田三兄弟の三男蝶三郎が襲いかかる。
何とか列車にのり振りきった紅蘭であったが、彼女の存在は既に大曽根のもとに知られていた。

実は姉の白蘭はデザイナーの職に就く際に大曽根の愛人になっており、紅竜の情報は白蘭が務める大曽根傘下の宝石店の店主から筒抜け状態であったのだ。

何も知らない紅竜はかつて世話になった少林寺拳法の道場を訪ね、家族のように接している姉弟子や兄弟子たちに事件への協力を仰ぐ。
すると紅竜を襲ってきた本位山三兄弟は長男の猪一郎を筆頭とした拳法界でも極悪非道な存在であり、少林寺拳法界も紅蘭に全面協力を約束するのだった。

一方、大曽根のもとには椿と名乗る謎の男が訪れていた。
本位田の次男と三男をもあしらう実力をみて大曽根の武道家集団への仲間入りをするのだが、彼には謎がつきまとっていた。

白蘭の留守中にも刺客に襲われた紅竜はその足取りをおって敵地である大曽根の会社に忍び込む。
するとその地下室では怪しげな人体実験が行われており、その中にはあの美麗の姿もあった。
彼女らはダイヤ密輸の道具として利用され、臀部の肉のキズの間にダイヤを忍び込ませて密輸を繰り返していた。
隙をみた紅竜は突入し美麗を何とか救い出すことに成功する。

麻薬を打たれ衰弱しきっていた美麗を道場に匿う紅竜は弱っていた彼女から大曽根の悪行と武道家集団の存在を聞くが、美麗は敵の放った刺客によって殺されてしまう。
一方、白蘭から呼ばれた紅竜は待ち合わせ場所の競技場へと辿り着くがそこに待っていたのは本位田三兄弟最強の男、猪一郎と紅竜に情報を流したことがバレて大曽根に目を繰り出され潰されてしまった白蘭の姿だった。

連れ去られた姉を追おうとする紅竜に立ち塞がる猪一郎はサイを使った幻惑術で紅竜を翻弄し、何とか退けたものの傷を負ってしまう。
友人を失い、姉が囚われる中で最強の猪一郎を妥当するために幻惑術の攻略を探す紅竜。
そんな彼女の前に謎の男、椿が現れる。彼は猪一郎と同じような技を使い、紅竜に打倒のヒントを与える。
彼はあの香港で殺害された男の弟であった。
復讐を誓っていた椿はあえて敵地に潜入し、偵察と共に密かに紅竜のサポートをしていたのである。

手を組んだ紅竜と椿は共通の敵を倒すため敵地に潜入。紅竜は捕らわれた姉を助けにいくのだが、敵のナイフによって白蘭は非業の死を遂げてしまう。
怒りに震える紅竜は大曽根打倒のため、椿と最後の戦いに挑むのだが…

志穂美悦子をスターダムに押し上げた『女必殺拳』シリーズの第2弾。

千葉真一率いるJAC 初のアクション女優としてその切れ味鋭い技、愛くるしい美貌を武器にブレイクした志穂美悦子。
その彼女の代表作が『女必殺拳』シリーズであるが、前作にも増してその荒唐無稽なアクションに磨きがかかったのが本作である。

基本のコンセプトとしては志穂美悦子演じる李紅竜が仲間と共に悪の武道家やヤクザたちと戦うのは変わっておらず、敵も当時の東映が擁する武術家出身俳優やJAC のスタントマンが演じていて、志穂美悦子と激しい格闘シーンを繰り広げる。

冒頭からスーハースーハー息吹をあげながら、ヌンチャクやサイ、トンファーなど様々な武器で演武をみせる志穂美悦子は前作以上に気合いも入っており、とにかく全編に渡って戦いに明け暮れている感じ。
敵方の中心人物である本位田三兄弟の三男や次男と対決する中盤までは走る列車の屋根の上で戦ったりとスタント要素も入ったスリリングな格闘シーンもあり、見応えは十分。

しかしクライマックスでは大ボスである剛柔流空手の達人、石橋雅巳やラスボスである室田日出男との一騎討ちがあるのだか、強敵のわりにはかなりあっさり勝負がついてしまっていて、拍子抜けしてしまうところも。

そんな志穂美悦子以上にインパクトを残すのが、仲間となる椿役の倉田保昭。
前作では千葉真一が担った志穂美悦子の補佐的な役ながら本場香港映画仕込みの素早く、キレキレのアクションを展開。
段違いの速さのハイキックや飛び蹴りをぶちかまし、主役を食うくらいの勢い。
クライマックスでも本位田三兄弟の三男、次男含む敵のほとんどを相手に無双ぶりを展開して、存在感を見せつけてくれている。

女必殺拳シリーズといえばバラエティ豊かな敵も魅力のひとつであるが、本作もキーキャラである本位田三兄弟をはじめとしてあくの強い敵キャラが登場している。
西部警察で活躍した強面の刈谷俊介はモンゴルの剣士で登場したり、懐かしのホタテ男のイメージもある故・安岡力也は短槍使いで出演。その他にも悪役商会の代表格山本昌弘はナイフ投げのマッドドクター、室田の本妻は毒爪の使い手などなど。
ヌンチャク使いやトンファー使い、チェーン使いなんて敵もいたりとまるでショッカーの怪人のごとき紹介のされ方をしている(笑)。

そして当時の東映といえばモンド映画としてカルト的な人気もあるほどエログロ路線が激しかったのだが、本作も違いにもれずしっかりとお子さまと見るには教育上よろしくないシーンが満載(笑)

志穂美悦子の姉役を務めた光川環世や美麗役の田中久子らはエロシーンの中心であり、ヌードも披露。
光川は悪役の室田日出男に乳房を吸われまくるというピンク映画顔負けのエロシーンを見せていて、可憐な志穂美悦子とは違うエロさを見せつけている。
そして残酷描写もかなりのもので、激昂した室田が裏切った光川の両目をナイフで貫くというシーンを始め、志穂美が山本昌弘の腕を巨大ナイフでぶったぎったり、果ては室田への志穂美の止めのさしかたなどえげつない描写も満載。
とくに貫いたナイフに眼球が残っているという細かい描写も背筋を寒くさせてくれる。

相変わらず場当たりなストーリー展開は致し方ないが、志穂美悦子や倉田保昭の格闘アクションだけは非常に充実しており、東映ならではのモンド映画的な味わいに満ちた作品。
当時アイドル以上に人気のあった志穂美悦子の魅力を確かめる上でも邦画アクションとしておさえておきたいものである。

評価…★★★
(志穂美悦子を食うインパクトの倉田さん。ブルース リーの真似しとります(^^;)


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