香港映画でも活躍していた金髪の女ドラゴン、シンシア・ラスロックのポリティカルアクションの続編。

チャイナ・オブライアンが保安官となって2年。街は恋人のマットや友人のダコタらの協力もあり、州内でも最低の犯罪率となり、名誉市民として表彰されるまでとなった。
いつものように街の巨漢の暴れん坊が酔って暴れた所をマーシャルアーツを駆使して逮捕するなど、活躍をみせるチャイナ。
独立記念日の祝祭の中、街は賑わいをみせる。

そんな中、凶悪な銀行強盗犯であったバスキンが移送途中に警官を殺して脱獄。
彼を陥れた裁判官やジャーナリスト、弁護士らを次々と殺害していく。

バスキンの狙いは逮捕直後に消えた500万ドルの金であった。
その金を手に入れ、証人保護プログラムによりチャイナの街に家族とともに逃げていたフランクはバスキンが脱獄したことを知り、身の危険を感じて家族とともに逃げようと考え出す。

しかしバスキンは既にフランクの居場所を突き止めていた。
祭りのメインイベントである花火大会に部下を連れて、フランクを家族ごと連れ去ろうとするが、居合わせたチャイナやダコタらの活躍によって撃退される。

フランクの恋人であるジルはチャイナと友人であり、彼女の異変を察知したチャイナはフランクに真相を問いただす。
殺しをも辞さない凶悪さをほこるバスキンにマットはチャイナにほとぼりが覚めるまで銃を持つよう勧めるのだが、過去に銃で苦い過去をもつ彼女は頑なに銃の携帯を拒むのだった。

500万ドル奪還に執念を燃やすバスキンは遂に自ら行動を開始。フランクを誘き出すため、彼の家に忍び込み、ジルを拘束。なにも知らずに帰ってきた娘と恋人であるダコタも彼らに捕らえられてしまう。
バスキンからの脅迫を受けたフランクは保身のために逃げ出そうと試みるが、ダコタと連絡が取れないことを怪しんだチャイナにより阻止され、事の次第を知ることとなる。

チャイナとマットの作戦によって人質となっているダコタたちを助けることとなったフランクは500万ドルに爆弾を仕掛ける策でバスキンと直接交渉し、人質となっていた3人を助けだし、更にチャイナたちの活躍で彼らを出し抜くことに成功するのだが、バスキンは怒りに震えフランク達への復讐を誓う。

街に帰りついたチャイナたちはバスキンの情報をFBI に繋げるのだが、実はバスキンを動かしている黒幕こそFBI の上層部であった。
500万ドル強奪のためになりふり構わない彼は、仲間たちを召集し街に通じる道を封鎖。更に電話線など通信手段をも切断し、チャイナ達を孤立無援の状態へと追い込んでいく。

夜が明け、軍隊並みの兵力を投じて街を蹂躙し、警察を囲むバスキンたち。
追い詰められたチャイナたちは決死の覚悟で彼らにゲリラ戦を挑み、戦い続けるのだが…

西部劇風の雰囲気で香港製の格闘アクションを取り入れ、人気となったシンシア・ラスロックの刑事アクションシリーズの続編。

基本的な雰囲気はそのままに敵も味方もアメリカンカウボーイ的なファッションで、香港アクション仕込みの格闘アクションをみせるシンシア・ラスロック、リチャード・ノートン、キース・クックの三者三様の活躍を楽しむパターンは変わらず。

前作から敵も内部でモデルチェンジして入れ替えただけで、前作の雑魚が今回ラスボスに繰り上げられたり、幹部クラスだった人間が雑魚敵になったりと敵も見た人間ばかりで知らない人ならば『あれ?こいつ前回もやられていた人?』なんて感じるかも。

今回は主人公の相手は軍隊並みの数の部下をもつ凶悪犯ということで裏ではFBI が暗躍しているという構図なのだが、何せ売りとなるのは格闘アクションなのでそういった陰謀の描写はほぼ描き込まれてはおらず、結果としてはラスボスのとかげの尻尾切りな感じで終わっていて、その点スカッとするような結末ではない。

ストーリーも複雑なものではなく、過去に凶悪犯を陥れた証人を狙ってその犯人が脱獄し、命を狙うだけの話。主人公たちはその彼を守るために孤軍奮闘で戦うという感じである。
あとはひたすら悪党に襲われる→戦う→襲われる→戦うの繰り返し。
いつのまにか主人公側にはどえらく太った女性の連絡官やどう見ても活躍しそうにないおっさん保安官助手といった味方が増えてはいるものの、基本はシンシア、ノートン、クックの3人なので最後の戦いでもあっさり死んでしまうなど活躍らしい活躍すらない。
しかしその代わりこの3人だけはべらぼうな強さを誇っていて、数十人以上の敵を3人でほとんど駆逐するなどの無双ぶりを発揮している。

アクション面においては前作同様、香港仕込みのキレキレのアクションをみせるシンシアやノートンだが、本作は前作に増して監督のロバート・クローズのキース・クック推しが強まり、単純な出番だけでいえば配列2番目のリチャード・ノートンよりも多い。

格闘シーンもクックの見せ場がかなり増えていて、両手を拘束されたままキックだけで相手と戦ったり、挨拶がわりに三段跳び蹴り&高速ソバットをかましたりと八面六臂の大活躍をみせている。

そしてクライマックスとなる孤立化した街中でのバスキン達とのゲリラ戦。ここでは凡庸だった前作のクライマックスの格闘シーンを越えようと敵にもちょっとしたバリエーションを用意している。
シンシアと戦うのが日系悪役トシロー・オバタが演じる強雑魚敵。その姿は両指に鉄の鉤爪を付けた『エルム街の悪夢』シリーズのフレディを意識したような感じ。むろん所詮は雑魚なのでボッコボコの挙げ句に自分の爪で自滅という終わり方なのだが、このように何かの映画を意識したような敵キャラが出てくるのが特徴である。

ノートンの相手はカウボーイハットにムチ、といった見るからにインディ・ジョーンズ風の格好した敵であり、これといった見せ場もなくムチで反対に締められて退場している。

このように多少のふざけた傾向の見える二人の対戦相手に対し、監督推しのキース・クックは至極まとも。
なんとブレイク前のビリー・ブランクスが強雑魚としてクックと戦いを繰り広げて、ここだけハイスピードのキック合戦をみせるなど熱量が明らかに違っている。

ラスボスが全然戦わず、銃撃戦で間抜けに死んでしまうなど、格闘シーンのクライマックスとしての締め方が勿体無い所も多々あるものの、全体的にハイレベルな格闘シーンは相変わらずの仕上がり。
格闘ポテンシャルの高いクックの推し方が前作にも増して露骨ではあるが、確かにテクニックも足技も素晴らしいのでそれはそれで納得でもある。

しかし、前作をなぞったかのような展開や内輪のモデルチェンジのような配役変えでごまかしている辺りはB級アクションらしい雑さも見てとれる。
唐突に現れてほったらかしとなるキャラクター(クライマックスにバスキンの部下にゴミを散らかされて中華包丁カンフーで部下の服を切り刻んで撃退する料理人たち)などはワンシーンしか出ていなくてやっつけ感が増してしまっているのも残念なところ。

格闘アクションとしては十分楽しめる作品なのだが、何か物足りなさも残ってしまう作品でもある。

評価…★★★★
(アクションの仕上がりとしては良くなっているが、ふざけた敵やスカスカのストーリーの補填ぶりで『?』マークが浮かぶ(^^;)


関連作品

シンシア・ラスロック無双が激しかった前作