香港のゴールデンハーベストが企画したハリウッドスターとジャッキー・チェン繋ぎのお祭り企画第2弾。

前回の『キャノンボールランレース』で一位を取れず、敗北を喫したアラブのシーク王子。彼は一族の誇りのためにと父親に尻を叩かれ、一位をとるために自ら主催となって『キャノンボールラン』を企画し、選手を募る。

前回出場したスタントマンのJJ とビクターのコンビにライバルのフェンダーバムとジェイミー、ランボルギーニを駆るセクシー美女ジルとマーシーのコンビらは優勝賞金100万ドルをかけて、出場することとなる。
そしてシークも胃潰瘍対策として、前回JJ とチームだったドクター、ヘルシングを仲間に引き入れて必勝を挑む。

一方、アメリカマフィアのカネロニー一家は当代当主のドンドンの無能ぶりのおかげで借金がかさみ、解散の一歩手前まで追い込まれていた。
先代の部下たちはドンドンの借金回収に躍起となり、とりあえず身の回りにある借金の回収に乗り出す。

そこにはドンドンの部下であるハイミーから3万ドルを借りているフェンダーバムの姿もあった。
さっそくマフィアたちはフェンダーバムに脅しを入れるが、そこで彼はキャノンボールランのことをしゃべり、しかも主催者がアラブの王子であることまで話してしまう。

居合わせたシークに金を掴まされ諭されたハイミーたちは借金の回収のために大胆にもシークを人質にとって金を引き出そうという前代未聞の作戦を考え出す。

その頃キャノンボールランはスタート。
JJ たちは核機密情報を運ぶ将校として軍用車に塗装を改造した車に乗り込み、フェンダーバムたちは警官の扮装でレースに挑む。
前回異彩を放ったハイテクのスタリオンチームもパワーアップしてレースに参加。
レースは早くも熾烈な争いを見せ始めていた。

そんな中、JJ たちはひょんなことからブロードウェイに憧れる尼僧2人組をのせることに。
旅は道連れとばかりにいつのまにかJJ もビクターもそれぞれがいい雰囲気になっていく。

その頃ドンドンたちはシーク誘拐のために様々な手を使うがことごとく失敗する。
しかしひょんなことから彼が用意した女を気に入り、自らハイミーたちに囲われるように誘拐されてしまうのだった。

主催者であるシークがさらわれたことによりレースは一時中断。選手たちはシークの奪回のために手を組んで、ドンドンたちのもとへと急ぐ。
ドンドンの隠れアジトにシークがいることを知ったJJ たちは、総出でマフィアたちと戦う。

果たしてシークの救出は?そしてキャノンボールランの優勝は誰の手に?

カーマニアにはたまらないスーパーカーが勢揃いし、爆走するスピードアクションシリーズの第2弾。

企画を立てたゴールデンハーベストがジャッキー・チェンをハリウッドに売り出すべく、製作されたカーアクション作品だが、その豪華なラインナップで話題となり、再び製作された続編。

主演は前作同様ユーモア溢れる伊達男JJ のバート・レイノルズ。ディーン・マーチンやサミー・デイビスJr.も続投しているが、ヒロインとして前作では強力に輝いていたファラー・フォーセットやロジャー・ムーアは降板しており、前作と比べて俳優陣の豪華さでいうと些かパワーダウンした感じは否めない。

もちろんバート・レイノルズのお相手としてパンキッシュなセクシー尼役でシャーリー・マクレーンやマフィアの幹部に刑事コジャックでお馴染みのテリー・サバラスが出演はしているものの、ネームバリューという所でいうと少し弱いか(^-^;

もちろんゴールデンハーベスト枠からは前作に続いてジャッキー・チェンが出演しているが、今回の相棒はマイケル・ホイではなく、何故か007シリーズの鋼鉄の歯をもつ暗殺者ジョーズことリチャード・キール。
完全なる出落ち狙いの話題性に乗っかった感で、ジャッキー自身も前回は日本人という役だったのに中国人ドライバーに鞍替えし、アメリカ人相手に中国語で捲し立てるカルチャーギャップコメディに使われている。

アクション面においては、前作よりもカーアクションとしての醍醐味は多少薄れた感じ。
スーパーカーによるスピードアクションというよりは走る前にクラッシュしたり、カーレース以外の所でのナンセンスギャグに力が入っていて、よりエンターテイメントさは増してはいる。

アメリカ人にはバカウケであろうドム・デルイーズ扮する『キャプテン・ケイオス』も前回から色違いになって登場し、マフィアとの対決ではお決まりの『タンタンターーン』の台詞とともに大暴れする。

こうした肉弾戦においてはジャッキーの一番の見せ所なのだが、本作ではジャッキー自体の出番は増えたものの、見せ場は減ってしまっている。
もちろん小気味よくアクロバテイックなカンフーは健在ではあるのだが、前作よりもクライマックスでの出番が少ない。
これはジャッキーのアクションを期待しているファンには痛いところ。

ちなみにジャッキーとバート・レイノルズが共闘する場面もあるが、結果として絡みはそこだけで、あとはひたすら単独シーンになっている。

アクション要素が薄めになったことで本作はよりコメディ色を強めた形となっている。
その代表的なのが、オランウータンの運転手。
本作におけるインパクトはリチャード・キールよりも強く、ギャグやアクションにおいても八面六臂の活躍ぶり。
スターの足りなさを動物で補う手法はエンターテイメントとしては正解なのであろうが、結果として印象が強すぎて、主演が霞む事態に。

オランウータンの演技の前ではキャプテン・ケイオスもリチャード・キールも単なる賑やかしで滑ってしまっていて、全体的なカーレースアクションとしての印象すら薄れてしまいかねない仕上がりとなってしまった。

お決まりであるラストのNG 集では主演陣のアットホームな感じのNG やとちったらツッコミ入れるなど、撮影時の楽しさを感じさせるような編集となっているのが面白みとしての救いだろうか。

マフィア絡みでカーアクションとしての醍醐味を多少見失った感がある本作品。
これではマンハッタンの最後の大物として大々的に本人役で出てきたフランク・シナトラもうかばれないのではなかろうか(笑)?

評価…★★★
(ジャッキーの出番は増えたが見せ場は減った。で、頼ったのは結局芸達者な猿頼みでした(^ω^))