
ジャン・クロード・ヴァン・ダムが長年温めていた企画であり、自身の格闘アクションの総決算と位置づけている格闘アクション作品。
1925年のチベット。
失われた街といわれるこの街では数年に一回、世界中の格闘技の猛者を集めて最も強い者を決めるという『ガンゲン』が行われていた。
まさに新しい大会に向けて世界各地にその招待状が旅立っていった。
アメリカのニューヨークに住む孤児のデュボアは、孤児仲間の子どもたちと共に窃盗団を作り、裕福な人間から金を盗み暮らしていた。
そんなある日、いつものごとくチームで盗みを働いたデュボアは大金を手にするが、その相手はマフィアの幹部のものだった。
深夜アジトにマフィアが強襲し、仲間が負傷。デュボアはマフィアと警察と両方に狙われることとなり、命を長らえるために仲間の勧めもあってアメリカを離れることとなる。
必ず帰ってくると告げて。
デュボアは銃の密輸船に密航するも、見つかり奴隷生活を強いられるのだがサメの餌にされそうになるところで、海賊船の襲撃にあう。
偶然ながらも命を救われた結果となったデュボア。
海賊船の持ち主は元海軍将校と自称するドブス卿だった。
ドブスはアメリカに帰りたいと願うデュボアに途中立ち寄るムエタイ島で帰れるように手はずを整えるというが、実はドブスは取引相手のカオにデュボアを売ろうとしていた。
そうとは知らないデュボアはドブスが立ち去り、カオの門下生たちに蹴りを受けたことで初めて自分が騙され、売られたことに気づくのだった。
半年後。ドブスたちはバンコクにいた。
そこで彼らは新聞記者のニュートンに出会う。
刺激的な記事ネタを求めて彼らと行動を共にしたニュートンは、地下で行われているというムエタイの試合を観戦しに行くのだが、そこにいたのは屈強なムエタイファイターとなっていたデュボアであった。
彼の姿を見て逃げようとするドブスだったが、デュボアは先回りしドブスにある条件をのませる。
それは数年に一度開かれる格闘技の大会『ガンゲン』の出場権を得ること。そしてその副賞として得られる『黄金の竜』を報酬としてあげることであった。
さっそく行動を開始するのだが、秘密裏のガンゲンの出場権はつかめずじまい。
そこにニュートンは自身が同行記事を書くことで、アメリカのボクシングチャンピオンのディバインの案内役として三人をつかせる案を持ち込む。
早速ディバインの付き人、案内人として潜り込む3人。
『ガンゲン』が行われる街まで過酷な道をたどっていくのだが、行き着いた旅先のバーで彼らは他の『ガンゲン』出場者とトラブルに巻き込まれてしまう。
翌日。デュボアたちの目的に勘づいたディバインはデュボアと手合わせし、その実力を認め『ガンゲンの招待状』を彼に託し、何処へと去っていくのだった。
街についたデュボアはアメリカ代表のディバインとして出場をするのだが、開会式の際に会場にディバインが現れ、ことのいきさつを話し出す。
こうしてディバインの一生幽閉をかけて晴れて出場を認められたデュボアはガンゲン第1回戦へと望む。
世界各地から来た猛者たちは戦いでその実力をみせるのだが、中でも一際残忍なモンゴル代表の実力は抜きん出ているようにみえた。
一方、ドブスは盛り上がる試合の最中に巨大な黄金の竜を盗み出そうとするのだが、その目論みは失敗。
ドブスとスミスの二人は捕らえられ死刑を宣告されるのだが、決勝へと進んだデュボアは優勝した条件として、二人の解放を要求する。
決勝の相手はムエタイ仲間のファングを殺し、圧倒的な実力で勝ち進んできたモンゴル代表。
デュボアは誇りと友のため、最強の戦士との最終決戦に挑むのだが…
自身の格闘人生の集大成として作られ、ワールドワイドな格闘アクションが、話題となったアクション作品。
ベルギーの空手チャンピオンにも輝いたジャン・クロード・ヴァン・ダムは10歳くらいから空手をならい始め、その実力を自身の作品で披露してきたが、そんな彼が長年切望していたのがブルース・リーの『燃えよドラゴン』のリメイクだったそうである。
そのためヴァンダムにとっては明らかに『燃えよドラゴン』を意識した作品づくりになっているかと思いきや、『燃えよドラゴン』のテイストといえば、いわゆる世界各地の武道家たちがトーナメント戦で戦うというプロットくらい。
どちらかというとヴァンダム自身のデビュー作である『ブラッドスポーツ』のリメイクといった方が分かりやすい(笑)
アクション的にはヴァンダムが並みならぬ力が入っているだけあり、世界各地の格闘猛者たちのアクションは時間こそすくないものの結構見ごたえがある。
空手に相撲、カポエラに中国拳法やコマンドサンボなどの有名どころな格闘技の他に、闘牛士を模した蹴り技主体の珍しい拳法や、マイナーなモンゴル相撲などもあり、格闘技ファンならば興味を牽かれる。
肝心のヴァンダムのアクションだが、肝いりの作品だけあってかなり頑張っており、体も絞り混んでいる。
調子のバロメーターとなる蹴り技も最高級の飛び回し蹴りを見せており、意気込みはかなりのもの。
ヴァン・ダム自体はトーナメントでは4戦ほどするのだが、特に印象的なのは第2戦の闘牛士風ファイター戦と準決勝の中国拳法家戦。
第2戦では八百長をもちかけながらも全く意に介せず、乱れ飛ぶ敵の足技を掻い潜っての必殺の一撃があがる。
準決勝戦では、スピーディーな敵に対して、ヴァン・ダムもスピーディーな攻防をみせるのがポイント。モッサリ系の敵が多いヴァン・ダムがテンポ重視の格闘戦をみせるのは珍しいことである。
もちろんヴァン・ダム絡みに限らず、他の対戦もかなり見応えあって興味深い。
ただクライマックスのラスボスはマイナーなモンゴル代表ということだが、具体的にモンゴル相撲の奥義がでてきてるわけではない。
ムエタイ仲間のファングが彼に倒されことにより、またしてもモンゴル代表への憎しみを募らせるデュボアが見せる必殺技はムエタイの奥義というよりは『ベストキッド2』のでんでん太鼓パンチのイメージ。
トレードマークの足技ではなく、見た目にも地味な技で倒すのが、少しヴァン・ダムらしさを失っている感じがして残念なところ。
各国のファイターには数々の格闘アクション作品で出演してきたマニアなら思わず唸る面々が演じているのだが、中でも一際異彩を放っているのは日本代表の相撲レスラー。
演じたのは元横綱で元プロレスラーだった北尾光司。
モンゴル代表との肉弾戦があっけないのが残念だが、登場シーンからしてインパクトは十分だった。
共演者に007のロジャー・ムーアを迎えるなど、ヴァン・ダムの気合いの入り具合はかなりのものだったが、結果としてはあまり奮わないものとなった。
世界観こそ広がってはいるものの、『ブラッドスポーツ』の焼き直しであり、格闘アクションのレベル自体はヴァン・ダム自身のキレも含め、オリジナルほど達していないのが現状。
そして比較したときにやはり大きいのはラスボスのインパクトだろう。
『クエスト』におけるモンゴル代表は実はそこまで凶悪さや悪のオーラを漂わせておらず、この辺りがボロ・ヤンと大いに違うところ。
ヴァン・ダム自体は頑張った方だと思うが、期待値が上がりすぎたためにかなり損してしまった感のある作品である。
評価…★★★★
(ラスボスがただのデブなのでボロ・ヤンほどのインパクトがないのが敗因か(^-^;)
