80年代の香港アクションテイストの匂いもするオーストラリア発の格闘アクション作品。

香港の特別捜査官のアンダーソンは自身の武術の後継者として娘のリンダと一番弟子であるジェーソン・ブレードを指名した。
二人は巨大な麻薬シンジケートを追い捜査をしていたが、あと一歩のところで黒幕を逃してしまう。

その後、リンダは単独で捜査を続けていたが、敵の罠にはまり、暗殺されてしまう。
リンダから黒幕に関する情報を知らされていたブレードは彼女の復讐のためにオーストラリアに渡る。

師であるアンダーソンにリンダの訃報を告げると、ブレードは早速リンダが追っていたというシンジケートの大物ダミアン・ズーコの組織に潜り込む。
彼の悪事の証拠を掴もうとブレードはズーコの右腕であるバクスターのもとにつき、独自の調査を進めていく。

腕っぷしも強く、度胸もあるブレードをズーコは気に入るが、バクスターはそんなブレードの素性を怪しんでいた。
そして、ブレードがかつてズーコが招待していた格闘技大会を断ったアンダーソンの関係者であることを知ると密かにブレードを亡き者にしようと企み始める。

一方でブレードは近々ズーコが主催する格闘技大会が開かれることを知る。
多額の金と裏で麻薬が動いている中で悪事の証拠となる麻薬の隠し場所が大会会場にあると読んだブレードはズーコの選手として出場する隙に追い詰めようと考えていた。

しかしその矢先にバクスターによりブレードの正体がバレてしまう。
何も知らないブレードはズーコに呼び出された会場でバクスターらに雇われた選手たちに襲われる。
ズーコは証拠隠滅のためにあの大会会場に向かっていた。

アンダーソンと姪のジェミーの助けにより危機を脱したブレードはズーコの後を追う。
いち早くたどり着きズーコの麻薬取引の証拠を押さえることに成功したブレードであったが、そこにバクスターらが駆けつけた。

リンダの復讐と巨悪の野望を果たすためブレードらは最後の戦いに挑むのだが…

オーストラリア発のマーシャルアーツアクションとしてマニアには注目された格闘色の濃いスパイアクション。

オーストラリア発のアクションというと意外に知られてないが、有名なところでは『マッド・マックス』といったガンアクション系が主流であるが、本作はそんな中でも希少なマーシャルアーツアクション主体の作品である。

主演のエドワード・ジョン・スタザックはどことなく『ブロークンアロー』のクリスチャン・スレイターをマイルドにしたような感じのフェイスで終始ニヤケ顔演技が気にはなるものの格闘家よりの仕上がった体でオーソドックスな空手スタイルのアクション。

そんな彼のヒーロー然としたアクションが本作の見所であるのだが、何となく雰囲気的には懐かしのG メン75の『香港カラテシリーズ』のようなノリである。
格闘アクション的には連続パンチや回し蹴りなどそこそこ見応えあるレベルで、前半で憤死するブレードの相棒の女優もそのスピードなどはなかなかレベル高い。

だが、敵方にあまり動ける人間がおらず、事実上のラスボス扱いであるバクスター役のジム・リチャーズも空手スタイルではあるものの、重量感あふれる感じなためクライマックスのブレードとの一騎討ちバトルでは残念ながらモッサリ感が否めない。

ラストはバクスター対ブレード、ズーコ対アンダーソンという対決なのだが、クライマックスにしては淡白なのはこうした演出の不味さにもありそうだ(笑)

ストーリー的にはオーソドックスな潜入+復讐ものなのだが、深いドラマ性というものはなく、復讐でありながら師匠の姪といちゃつくという主人公の能天気さも垣間見え、作品自体に色々と粗も目立つ。

その中でも特筆すべきポイントとして思わずツッコミたくなる所がいくつかあり、まず主人公に好意を持つ師匠の姪の行動。
トレーニングのために師匠の経営しているジム(秘密捜査官なのにジム経営の時点で既に可笑しいが(笑))で主人公がトレーニングしているところにおもむろに現れ、エアロビダンスを披露。これがことあるごとに繰り返され、まるで何かの求愛ダンスに見えてしまう(^ω^)

また、主人公の正体がバレるというハプニングのシーンにおいて、バクスターがブレードを怪しんでアンダーソンの家に侵入した際にブレードとアンダーソン達が写真に収まっている写真たてを発見するのだが、これが分かりやすい棚の上に置いてある(^^;
これはなかなかユルい(笑)

そして何より一番のツッコミ所は最後の最後。
どうやら監督は作品として『イケる』と思ったのかエンドロール前に早くも
『次回、ブレード再び登場!!』
とフライング予告してしまっている。
実際、オーストラリアではヒットして第5弾まで製作されたらしいが日本では『3』まではビデオ化されたものの後の2作品は確認されていない(笑)

マーシャルアーツアクションとしてはまずまずのレベルではあるが、B 級アクションらしいツッコミどころも満載のレア作品。

評価…★★★
(雰囲気似てるなぁと思ったら以前書いたジミーさんの『スカイ・ハイ』と同じ監督という発見(^^;)