香港アクション好きのウータンクランのカリスマラッパー、RZA 主演によるカンフーアクションシリーズ続編。

皇帝への御用金を巡る戦いを終えてから数ヶ月。ブラック・スミスことサディウスは戦いに明け暮れる日々から逃れ、出自の寺てある武気寺で陰遁するために旅立とうとするが、銀獅子の残党に襲われ、返り討ちにするも自身も瀕死の重傷を負い、川へと身を投げる。

下流にある泰山村では残虐なホー親方のもと村の男たちが銀鉱山の発掘に駆り出されていた。
労働に役に立たないものは容赦なく殺害される中で、村長であるザンも彼の影響力に屈し、唯一の良心とされるリー・クンもじっと耐える日々を送っていた。

一方で泰山村では若い女性が次々と干からびた死体で見つかるという事件も発生。
この村ではパイ侯と呼ばれる悪霊が出ると噂され、若い女性の精気を吸って殺していくという伝承がまことしやかに伝わっていた。

不安に怯える村人を代表してリー・クンはホーに訴えるのだが、ホーはまともに聞くこともなく、ザンも役に立たずでホーに対する不満は高まる一方であった。

そんな中で、溜まりにたまった不満が遂に爆発。リー・クンの弟がホーの部下に対して反発する。
決闘場においてホーは自身の右腕と戦わせるが何とかリーの弟は辛勝し、英雄扱いになる。

だが、勝利を祝った夜を境に彼の姿は忽然と村から消えてしまうのだった。

しばらくして村の麓の川岸に重傷を負った男が流れ着く。
傷を負った彼を助けたリー・クンの一人娘イノセンスは自宅で彼を看病する。
目覚めたサディウスはヒーリングの力を持つイノセンスの看病と、リー・クンの計らいで徐々に回復していく。

サディウスが流れ着いてから数日後。
銀鉱山での採掘をしていたリー・クンは掘った先で空洞を見つける。
単身最深部に入るとそこには黄金色に輝く水と無惨な死体となっていた弟がいた。

遂に怒りを爆発させたリー・クンはホーとの戦いを決意するが、ザンは非協力的なうえに武器もままならない状況であった。
サディウスの腕を聞いていたリーは彼に協力を求めるのだが、鍛冶屋としての協力以外は乗り気ではなかった。

遂にリーとホーの一騎討ちの日が迫る。
しかし卑劣なホーはリーに手傷を負わせて不利な状況に追い込む。
手負いのリーとホーの決闘は激戦の末にリーが不屈の闘志で辛勝するが、ホーの卑劣な手を暴き乱入したサディウスがきた混乱に乗じて、兵力でリーとサディウスを捕らえ牢獄に繋げてしまう。

密かにいた仲間の助けで脱出した二人は遂に手を組みホーの野望に立ち向かう。
ホーの狙いは不老不死の効力を持つあの黄金の甘露水であったのだ。

反乱に消極的だった村長のザンも鉄の義足を手に入れて、戦いに加わる。
かくして、ホー一家と泰山村の村民たちによる戦いは始まった。
血で血を洗う凄惨な戦いの中でリーとサディウスは敵を倒していくのだが、そこにホーをも操る真の黒幕が現れるのだった。
リーとサディウスは村の平和を勝ち取ることができるのか…

派手な特殊効果とケレン味たっぷりのアクションで話題となった『アイアンフィスト』の待望の続編。

主役であるRZA 以外は出演陣は一新され、舞台も片田舎での紛争という感じになり、全体的にはスケールダウンした感じに。
無論、ラッセル・クロウやルーシー・リューといった一線級のハリウッドスターやデヴィット・バティスタやカン・リーといった格闘家出身のアクションスターたちも消え、キャストにおいてはかなり地味なラインナップに。

肝心の主人公RZA も中盤まではこれといった活躍も見せておらず、本編的にもスター性にかける退屈な状況。

アクションにおいてはショウブラザーズ作品好きのRZA のこだわりは変わらずで、殴れば敵の頭が破裂したり、刀で首チョンパしたり、爆薬付きの矢で相手を爆殺したりと残酷描写も前作に負けないハードコアさ。
ただ純粋に格闘アクションとしてはかなり派手さが薄れている。

RZA とともにW主演的な立場でもあるダスティン・ユエンが本作のアクションのキーマンといえるのだが、カンフーの型としてはしっかりしているものの派手さに欠ける印象。
彼の以後の主演作である『マキシマム・クラッシュ』でもスコット・アドキンス相手にぬるい格闘シーンを演じていたが、どうもオーソドックスなアクションのみで派手なアクションはあまりやらない方向性らしい。

そして肝心のRZA にいたっても前作よりは多少アクションらしき動きにはなったもののそれでも素人に毛が生えたくらいのレベル。しかも前作よりも出番は減っているのでより目立たない印象が強くなった。

ラスボスも分かりやすくネタバレしていて、まぁこうしたB 級アクションにお馴染みのケイリー・ヒロユキ・タガワが出ている時点で物語の流れ的にも『あぁ、やっぱりな』という感じになる。
そしてもはやご高齢のケイリーさんはアクションするにもモッサリ感は否めないため、主要人物による格闘シーンには期待しない方がよい。

寧ろ見所はクライマックスの村全体で巻き起こる乱戦。
爆発や泥まみれなどとにかく何でもありな状況で、残酷描写の派手さもあって結構見応えはあり。

派手さと見せ方でヒットした前作と比べると、全てにおいて一回り二回りほどスケールダウンさせたような仕上がりとなった本作。
よりショウブラザーズらしいオーソドックスなカンフーという点ではRZA の希望通りの仕上がりになったのかもしれないが、娯楽的にはだいぶ物足りなさが残る感じとなっている。
だが、一番作品として痛いのは全体的なきらびやかさが消えてしまった点かもしれない。

評価…★★★
(登場人物のアクの強さが抜けた結果、残酷描写だけ頑張った薄味アクションになってしまった(^-^;)