
レジェンドアクションスター、チャック・ノリスの若き頃のクライムアクション作品。
香港のカジノ『ラッキードラゴン』の警備主任を務めるジョシュは、かつて実業家サム・パスカルに助けられて以来、その息子デイブが経営するこのカジノで悪質な債務者からお金を取り立てるなど、その恩義に報いるため誠実にパスカルの右腕として働く元軍人であった。
家族ぐるみの付き合いであるジョシュとサムはテレビでサッカーの観戦中にデイブからカジノの合併の話を持ちかけられる。
相手は何かと黒い噂のあるオシリスファミリーの幹部ラモンディ。
合併話に気乗りしないサムはその条件提示を見ると激昂する。
それはほぼ一方的な吸収ともいえる内容であったのである
脅迫してくるラモンディに一歩も引かないサムはデイブの説得も聞かず、即座にその話を拒否し、ジョシュと共に家路へと着く。
ラモンディを無下にしたことに不安を覚えるデイブ。
実はデイブはラモンディに借金があり、その清算としてラッキードラゴンの買収を受けざるを得なかった。
ジョシュはそんなデイブを励まし、サムと別れて恋人クレアの待つ家へと戻る。
だがしばらくしてジョシュに電話が。
急ぎ駆けつけるとサムの家に不審な男がおり、発砲してくる。
賊は逃げたものの室内ではサムが射殺された姿で見つかる。
そして同じくデイブも何者かに襲われ、殺害されていた。
サムから話を聞いていたジョシュはこれがラモンディの仕業であることを推測し、彼らの次なる標的となるデイブと共同オーナーであったサムの娘ジョイを守るため、ジョシュは恋人クレアと共に彼女を連れ出す。
だがそこに香港警察が現れ、ジョシュはサム殺しの濡れ衣を着せられ逮捕されてしまう。
急ぎ弁護士をつけて不当逮捕から抜け出したジョシュであったが、敵は本気でジョシュたちの命を狙い始めていた。
ジョイたちと合流したジョシュはラモンディの魔の手から逃れるため香港内を奔走するのだが、街中には彼の息のかかった刺客が蠢いており、次々と襲いかかってくる。
逃亡を続けるなかでジョシュはラモンディがサム達を殺害したのは『ラッキードラゴン』の占有権だけではないさらなる陰謀の影を感じていた。
そこでジョシュはラモンディの背後にある強大な黒幕の正体を探るため、撃退していく刺客たちから情報を探っていき、その関係者に迫っていく。
ジョシュは独自で捜査を進めるため元軍人仲間にジョイとクレアを匿ってもらい、ラモンディの側近たちを鉄拳制裁し、サム達を殺害した真の理由を聞き出す。
だがラモンディも情報を駆使し、ジョイ達の隠れた場所を特定。
殺し屋たちを雇って襲撃させ、ジョイは拉致され、ジョシュの友人、そして恋人であるクレアは暴行された末に殺害されてしまう。
駆けつけたジョシュは間際の友人の言葉からラモンディがジョイを誘拐したことを知り、復讐を決意。
単身乗り込もうとする彼に不当逮捕した刑事の部下であったチェンが協力を求め、共にラモンディのアジトへと向かう。
奇襲攻撃をかけるジョシュたち。
ラモンディの部下たちを次々と葬っていくジョシュの前に遂に業を煮やしたラモンディが現れる。
ジョイを見つけ逃がしたジョシュは棒術を駆使するラモンディと一騎討ちを繰り広げ、苦戦するもラモンディを絞殺して仕留める。
そのラモンディはオシリスファミリーの総帥サイモンの息子であったことが判明。
サイモンは香港リゾート化計画を企み、『ラッキードラゴン』を経営しているサムの土地、財産を狙っていたのだった。
チェンと協力し、オシリスファミリーのサイモンが住む孤島の屋敷に潜入するジョシュ。
恩人のそして友人と恋人の仇をとるため、黒幕サイモンの前に対峙するジョシュだが...
『地獄のヒーロー』でブレイクする前の若きチャック・ノリスが香港で躍動するクライムアクション作品。
ハリウッドアクションのレジェンド、チャック・ノリスは全米空手チャンピオンの肩書きを引っさげ、『ドラゴンへの道』でブルース・リーの宿敵として注目されてから、ガンアクション中心だったハリウッドアクション界にマーシャルアーツアクションを導入した最大の功労者である。
ノリス以前にも実はブルース・リーが『グリーン・ホーネット』などで注目されることはあったものの、アジア系のリーではその時のハリウッドアクション界では主役になることはできず、あまつさえ彼の企画をわざわざデビッド・キャラダインに主役をすげ替えてまで催され、リーは失意のうちに香港へと戻り自身のアクション界の影響力を構築していった。
『ドラゴンへの道』でリーに見出されたチャック・ノリスはその後ハリウッドに凱旋し、かつてリーから企画を奪い取ったデビッド・キャラダインと『テキサスSWAT』で新時代のマーシャルアーツアクションスターとして対決し、その座を獲得することとなった。
その最中で製作されたのが本作である。
本編はほぼ香港での撮影となっていて、『燃えよドラゴン』でハリウッドに紹介された当時の香港の社会情勢の中で、チャック・ノリスも躍動している。
後に彼のトレードマークとなるテンガロンハットに口ひげのスタイルはこの作品で設定され、以降彼の代表作である『テキサス・レンジャー』シリーズの大ヒットによってそのスタイルは確立。
現在に至ることとなる。
この頃のノリス作品にしてはかなり本作はストーリー展開としては大味。
香港中を逃げ回りながら復讐を遂げるという単純な軸なのだが、とにかく事あるごとにノリスにあちこちから敵の刺客が襲いかかり、それと戦うことで時間稼ぎをしているような印象をうける。
ノリスの役どころも元軍人でカジノのボディガードと分かりにくい設定で、人物の背景的にもなぜノリスが命をかけてまで恩人たちの仇を取りに行くのかの動機が薄い。
それでいて頭が回るようで、結構詰めが甘く敵方に友人や恋人を殺されてしまうなど、ノリス自身も安定していない感じである。
この通りなかなかにストーリー的には大味な感じではあるものの、それを埋めるためか、アクションに関してはかなり詰め込めんでいる。
とにかく、逃げる先で襲われるのでノリスは戦いまくり。
まだ若いからか、ノリスの格闘アクションにもキレがあり、飛び蹴りや打点の高い回し蹴りなどハリウッド作品でもあまり見せないアグレッシブさを見せてくれている。
そんな中で、注目したいのがクライマックスにかけての対決。
ラスボス前となるラモンディの意外な棒術の巧みさでノリスがピンチに陥ったりと無双の多いノリスにしては結構苦戦している。
そしてラストの黒幕サイモンの屋敷での対決では、サイモンをガードする巨漢の男との一騎討ちが熱い。
実はこの事実上のラスボスとなる巨漢の男は何と新日本プロレスの坂口征二。
昭和プロレスファンならアントニオ猪木とタッグを組み、その怪力でトップレスラーとなった『世界の荒鷲』の異名をもつプロレスラーである。
今ならば俳優、坂口憲二のお父さんといったほうが早いか(^_^;)
鼻髭とおかっぱのカツラをつけているので分かりづらいとこだが、ノリスの蹴りをものともせず、その怪力で投げ飛ばすなど、ノリスの格闘アクションの中でもかなり見応えある一騎討ちといえる。
作品自体としては全体的に漂うチープさとご都合主義で黒幕まで辿り着いてしまうチートさで、呆けてしまうが、若きノリスが最高にその格闘スキルをみせてくれることにおいては非常にレアで見応えある作品であると言えるだろう。
評価...★★★
(対坂口征二など初期ノリス作品としてはレアな対決も見れる隠れた名作)







