ニュージーランドの絶海の孤島のスカル島。

とある密猟業者が土着人から悪魔の動物と恐れられている謎の生物を持ち出そうとしていた。

途中土着人たちに囲まれ、動物を解放するよう迫るが、密猟業者は銃で威嚇し、無理やり檻を担いで逃げようとする。


しかし逃げる際に檻の中の生物に業者は噛みつかれてしまう。

悪霊が宿るとおそれる地元のコーディネーター達は悪霊化しないようにと噛みつかれた腕を躊躇なく切り落とす。

だが噛みつかれた傷はすぐに転移し、頭に移動すると土着のコーディネーターは業者の首を斬り落としてしまうのだった。


その後、謎の生物は飛行場で秘密裏に密猟され、本土のウェリントン動物園へと運ばれていくのだった。


ニュージーランド、ウェリントン。

恋人が欲しい雑貨屋の娘パキータは仕入れにやってくるロジャーに好意を持っていた。

占い師をしている祖母に彼女の運命を占ってもらうが、ロジャーは彼女の運命の人ではなかった。

しかし運命の相手はまもなく出会え、その証となる運命の紋章に導かれるとのこと。

そんな折に、お店にひとりの男性がやってくる。

どこか挙動不審でオドオドしている男。

まごつく態度にパキータは煮え切らない感じであったがふと男が転倒し慌ててレジに品物を持ってきた時に散らばった商品がその紋章を形どる。


それを見たパキータは彼こそ運命の人と感じ、迫るのだが、男は彼女に気負わされたか逃げるように店を去ってしまう。


男は町の丘に住むライオネルという青年で、強権的な母親ベラと豪邸に二人暮らししていた。

ワガママで傲慢なベラはライオネルを溺愛していたがその実召使いのように過保護に扱っている歪な関係であった。

ベラに芝刈りを命じられたライオネルは鬱々と芝刈りを進めていくがその時家にパキータが訪ねてくる。

品物を届けに来たという彼女であったが、その実彼女はライオネルを強引にデートに誘い、ライオネルもまんざらでもなくそれを了承する。


翌日。

二人は町のウェリントン動物園にデートへ。

楽しい時間が過ぎ、二人は急速に接近していくのだが、その様子をじっと見つめる影が。

二人の仲を快く思わないベラがつけていたのである。


二人の親しそうな行為に態勢を崩したベラ。

その時掴んだ檻の腕を不気味な動物に噛まれてしまう。

異様に目の飛び出たその動物『ラットモンキー』。これこそあのスカル島から密輸されてきた件の動物であった。

叫び声を上げ、激昂するベラはラットモンキーに傘を突き刺しさらにヒールで頭を踏みつけこれを殺害。

その騒ぎに気づいたライオネルはパキータを置き去りにしベラと共に家路に戻るのであった。


しかしその夜。

ベラの看護疲れで部屋で休むライオネルのもとにパキータが窓を超えてやってくる。

ベラが疼く傷口に苦しむなかで、積極的なパキータにライオネルは遂に彼女と一夜を共にするのだった


翌朝。

ベラの様子を見に来たライオネルだが、彼女の様子がおかしい。

言葉は辿々しく、生気がない。何よりあのラットモンキーに噛まれた傷口が膿をだしながら不気味に蠢いていた。

そんな中、近所のPTA会長が役員推挙の話のために訪問してくる。

急いで支度をする二人であったが、産毛を剃ろうとしたベラは顔の皮を切り裂いてしまう。

ライオネルが接着剤でつけて直すも顔は次第に崩れ始めていた。


やがて会食を始めるがPTA夫妻の妻の方はベラの異常に気づき始める。

ライオネルは気をそらそうとカスタードクリームプリンを提供するのだが、ベラは腕を掻きむしって膿をとばしたり、あげくには腐って崩れ落ちた自分の耳を食すという奇行を始め、気分を悪くしたPTA夫妻は話もそこそこに帰ってしまう。


一方、デートで置き去りにされて以来気まずいパキータであったが、ライオネルが忘れられず祖母に占いをお願いしていた。

するとライオネルには死が集まっており、狙われていると言われる。


パキータは彼に占いの結果を教えるのだが、ライオネルははぐらかそうとする。

しかし一緒にきた犬が凶暴化したベラに食べられ、さらにパキータに襲いかかろうとする。

もみ合う二人は階段を転げ落ちる。

パキータはベラの様子を気にかけるが何やら痙攣を起こし始めるとベラは意識を失っていた。


二人は急ぎ担当の看護師を呼び、状態を伺うのだが、ベラは息をしておらず死亡が確認される。

失意にくれるライオネルであったが、死亡が確認されたはずのベラが目を覚まし、看護師の顔面に指を突き入れると首をへし折ってちぎり、殺害してしまう。

凶暴化したベラはそのままライオネルにも襲いかかるのだが、何とか彼女を地下室に閉じ込めることに成功。

しかし今度は死んだ看護師が甦ってライオネルに襲いかかる。

まともに見えてない彼女も何とか地下室に落とし込んで閉じこめるとライオネルは凶暴化した死体を抑えるため怪しげな獣医から鎮静剤を大量に購入し、制御しようとする。


事態を何とかしたいライオネルはパキータの祖母に占ってもらうが、彼女はライオネルが死に狙われているとし、お守りを持たせる。

すると彼を探してベラが家から抜けだし、店にいる彼を見つけ、近づこうとした瞬間路面電車にはねられ店の中に吹き飛ばされていく。


ベラの死体はライオネルの意向を聞かず近くの教会へと安置された。

彼女がまた甦って暴れ出すことを恐れるライオネルは葬式にも出席せず、鎮静剤を持って死体が安置されている部屋へと侵入するがそこには防腐剤を誤って大量に入れられ目玉が飛び出るほど膨張し液体を噴き出すベラの遺体が。しかもベラはまた甦ってライオネルに襲いかかる。


一方、ベラの葬式には彼女の弟レスが出席していた。

彼は先代からのベラの遺産を横取りしようと狙っており、ライオネルの恋人であるパキータに横恋慕していた。

厳かに式が行われる中、ライオネルとベラは揉み合いながら扉を破り乱入。

暴れるベラは騒ぎのさなかにライオネルの鎮静剤で大人しくさせられたが、死体を連れ出そうとするライオネルに対して式の参加者たちは奇異な目で見るのだった。


その夜。

ライオネルは教会の墓地にいた。

暴れ出すベラを何とか地下室に閉じ込めるためであったがそこで不良たちに絡まれてしまう。

ボコボコにされつつ不良の一人がベラの墓に小便をかけているとベラが復活し不良は腑を食いちぎられて死亡。さらにもう一人にも襲いかかり殺害する。


墓地での騒ぎに気づいた神父はやはり甦ってきた二人の不良のゾンビを相手にカンフーで戦うも首だけとなったゾンビに噛まれさらに飛び蹴りを捌かれて像の上に落下して貫かれ死亡。

ライオネルは全員を自分の家に匿うことにする。


こうしてライオネルはさらに増えたゾンビたちと暮らすことになる。

欲望の赴くままに行動するゾンビたちにライオネルは疲弊していくのだが、そこにレスがやってくる。

彼はベラの様子を怪しみ、ライオネルから財産を奪おうと画策していた。

死体の秘密を隠したいライオネルは無理難題なレスの遺産相続の話も気もそぞろ。

何とかレスを帰らせるも、看護師と神父のゾンビは盛りがついて性交していた。


途法に暮れるライオネルは葬式以来避けていたパキータと接触。

秘密をひた隠しするライオネルにパキータは泣き出し、彼女を抱き寄せようとするがそこに通りがかったロジャーがパキータを泣かせていると勘違いしてライオネルを殴りつけ強引に彼女を奪い去ってしまう。


失意で家に戻ったライオネル。

地下室に行くと、ゾンビ同士の性交によってゾンビの赤ん坊が生まれていた。

さらなる頭痛のネタに苛まれるライオネルだが、何とか隠そうと赤ん坊ゾンビをベビーカーに乗せて公園にいるママたちの行動を見よう見まねでやってみるも凶暴な赤ん坊ゾンビは逃げ出して他の子どもたちに襲いかかろうとする。

それを何とかタコ殴りにしつつライオネルは彼らの世話に追われていく。


しかし、その生活も遂にレスに知られる事となり、死体を地下室に隠していることを責められ、自暴自棄となった彼は全ての遺産をレスに渡すと約束してしまう。

それでもゾンビの世話だけは避けられない。

ラジオで落ち着かせて鎮静剤を打とうとしたライオネルであったが音楽がかかって踊り出したゾンビによって残りの鎮静剤を割って失ってしまう。

薬を買おうと出かけようとしたライオネルだが、そこにレスが友人たちを大量に招いてやってくると遺産相続したことによるパーティーを開き、ライオネルを給仕扱いで拘束する。


ロジャーとデート中であったパキータはライオネルの家から聞こえる大騒ぎの声に誘われるようにロジャーをふって彼の家へと侵入するが、そこで地下室に降りてしまいベラたちに襲われてしまう。

ライオネルによって助け出され、彼は観念して全てを話す。

パキータは彼らを楽にしてあげようと進言し、毒物を使って死体を葬り、地下の土に埋めていく。


一件落着し、地下室を出ようとした二人であったが、待ち構えていたレスによってライオネルは地下室に蹴り落とされ、パキータを自分の部屋に連れていき犯そうとする。

気がついたライオネルは転がっていた毒物の瓶を見るとそこには動物用の興奮剤の文字が。

すると興奮剤の影響でさらに凶暴化したゾンビが次々と復活。

助けを求めるライオネルはレスの酔っぱらった仲間によって助け出されるが、その拍子にゾンビたちもやってきてパーティー内に侵入し、次々と参加者たちを餌食にしていく。


レスに襲われかけたパキータは彼を金的で撃退し、クローゼットへと逃げ込むが既にパーティー会場は血みどろの地獄絵図と化していた。

殺された参加者たちもゾンビとして甦り生き残っている人々を殺害。

バラバラにしても死なないゾンビは腸だけになっても意志を持ち襲いかかってくる。


一方屋根裏部屋に逃げ込んだライオネルはお守りの導きでとある古ぼけた箱を見つける。

そこには自分のトラウマの秘密が隠されており、不自然にナイフの刺さったミイラと共に最愛の父はベラによって殺されていたことを知る。

だがそこで腸だけのゾンビに襲われて屋根裏から落下。

宙吊りの彼をゾンビ達が取り巻こうとするなかで孤軍奮闘するパキータを見つけ何とか助けようとして外に弾き出されてしまう。


パキータにもゾンビ達が迫りくるなか、意を決したライオネルは芝刈り機を持って再び登場。

襲いかかってくるゾンビたちを芝刈り機で次々とバラバラにし屋敷内は血みどろの地獄絵図となっていく。

ようやくゾンビたちを殲滅し、パキータと手を取り合うライオネル。

だが最も厄介な災いのもとが残っていた。

興奮剤の影響を受けて凶暴化そして巨大化したベラがレスを惨殺し、ふたりにせまる。

果たしてライオネルたちは凶事のもとを倒し、生き残ることができるのか...


世界的監督、ピーター・ジャクソンの処女作であるスプラッターゾンビ映画作品。


大ヒットシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』や『キングコング』などSFファンタジーの鬼才として有名なピーター・ジャクソンの初監督作品はなんとスプラッターブームの終焉にとどめを刺すようなゾンビ映画であった。

世界的に有名な監督が初期の頃にホラー映画を手がけることは珍しくなく、『スパイダーマン』シリーズのサム・ライミもその処女作はスプラッターブームの過渡期を招いた『死霊のはらわた』であったが、その過剰なまでの血しぶきは怖さよりもコメディ化してしまうという傾向を生み出した。


そしてそれを決定づけてしまったのがピーター・ジャクソンの本作品である。


本作品で使われた血漿の量クライマックスシーンだけで300リットルにも及ぶ。

その圧倒的な血漿の量は現実味に欠けるくらいに映り、まるでスペインのトマト祭りのような仕様にさえ見えてくる。


ストーリー展開としては前半は比較的ゆっくりしていて、徐々にゾンビ化して崩れ落ちていくベラの様子とそれを何とか隠蔽しようとして余計にトラブるライオネルの様子をブラックコメディ風に描いている。

その最北端ともいえるのが赤ん坊ゾンビとライオネルのやり取りシーン。

とにかく暴れまくる赤ん坊ゾンビに翻弄されるライオネルの一人芝居のコントのような振る舞いは不謹慎ながらもニヤリと笑えてしまう。


またオタク基質はピーター・ジャクソンらしく、ホラーやSF要素の他になぜか神父がゾンビたちとカンフーで戦うというマーシャルアーツ要素までも追加。

まさにスプラッターホラーという鍋のなかに色んなジャンルを入れてごった煮にした闇鍋風な作りなのが面白い。


そんなどこかコントチックな中盤までの展開から一転して、パーティー会場に凶暴化したゾンビがなだれ込んでくるシーンからは一気にスプラッター度が加速。

ゾンビとはいえロメロ系のような犠牲者の臓物を引き摺り出して貪るというような悠長な展開にはせず、とにかくそのスピード感でいかに残酷な死に方をするかに徹底して振り切っている。

後頭部から腕を突っ込まれて口から手が出てきたり、頭の内部からメリメリと2つに割られて赤ちゃんゾンビが登場したり、極めつけは巨大な刃と化した芝刈り機の羽で次々とチョンパされていくゾンビたちなど。


そういった中でもどこかユーモアやコメディ的なとこは失わせてないのがピーター・ジャクソンの特徴であろう。

とにかく本作のゾンビは史上最強に生命力の強い(元は死んでいるので変な表現だが)。

上半身と下半身が別物だけでなく、首だけになっても挙句の果てには内臓そのものにまで独自に自覚を持って動き出してしまう。

またその大腸だけのゾンビが芝刈り機でチョンパされそうになるときに屁をしながら命乞いする様が何ともいえない味がある。


最後の最後はもはやゾンビというよりはロールプレイングゲームのラスボスのような出で立ちの怪物でゾンビ映画という概念すら消え失いそうになるが、これもそもそもピーター・ジャクソンがスプラッターホラーのやり過ぎ感の限界にチャレンジしていった結果であり、とめどなくチープ化していきそうだったブームに一旦の楔をうつ象徴であった。


また意外であるが、実はこのグチャグチャなスプラッターを通じてライオネルとパキータによる一途で情熱的なラブストーリーであることとそれを裏支えするベラの偏執的でサイコパスなマザコンストーリーが作品の基軸としてあることを入れておきたい。


なおトリビア的には監督のピーター・ジャクソン自身も本作では出演していて、冒頭で腕や首をちょん切られる学者とベラの葬式で誤って防腐剤を大量に導入して死体をパンパンにしてしまう葬儀屋助手役で出ている。


巷ではプレミアがついてしまって市場でも凄まじい高値で推移しているレア作品ではあるが、ゾンビ映画ファンとしては絶対に押さえておくべき傑作。

本作はスプラッターゾンビ映画の転機ともなったミッシングリンクであり、ある意味ホラー史上に残る作品と言っても過言ではないだろう。



残酷度...★★★★★



評価...★★★★

(やり過ぎな血漿の量はもはやホラーコメディ。気持ち悪いけど笑えてしまうスプラッターホラーの迷作)










TSUTAYA DISCAS

 



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