妄想小説?と呼べるのか否か -3ページ目

妄想小説?と呼べるのか否か

艶が~るに関する内容です。

お久しぶりです。蟻んです。

今更ですが、昨年は本当にお世話になりました!<ホント今更だな。

ピグで、あまりの無言空気に耐えられず、変なこと言ってすべってみたり、オフ会に参加したり、コスってみたり、コラボってみたり、それを本にしてみたり、たまに思い出したように文章を書いてみたり、イラストを描いてみたり、迷惑をかけまくりながらも総勢17名でコラボしたり、艶友さんと会ったり、なんやかんやプレゼントしたり、リアルに翔太パン作ってみたり、人形作ってみたり・・・。


・・・・・・・・・・。うん、濃いな!


生きてきた中で、こんなに濃かったのは初めてだと思う。

本当に、該当する皆様、そしてお付き合頂いた皆様!誠にありがとうございました。

本年もまた、やる気がない、むしろもう更新しないんじゃないか?ぐらいのペースで行きますので、よろしくお願いいたします。


(私信)あ、あと、ごんちん!届いたよ~!子供たちが喜びのあまり、発狂していたww

また後でメールします!






さて、なうやナツミン嬢のブログで散々ちらちらと言っておりましたが。

実は、今の今まで、(いや、むしろ今でもやっている)相方であるナツミン嬢と共に、あるものを作っておりました。


それが何かって?


恋愛アドベンチャーゲーム(仮)です。


まだ、アンドロイド版は作成していませんが、いずれPC・スマホで動くであろうゲームです。


シナリオは私、蟻んが。イラストをナツミン嬢が書き下ろしまして、とある高校生のお話を作っております。


公開はきっと夏頃になると思うんですけれども。よろしければ、お待ちいただけると幸いです。



というわけで、こんな言葉足らずでは何も伝わらないと思いますので、画像公開。

背景画はpixivよりお借りしております。




詩月のブログ

左)橘川 翔太(タチカワ ショウタ)  

右)七瀬 詩月(ナナセ シヅキ)(主人公)




詩月のブログ


左)宮下 友美(ミヤシタ トモミ)

中)椿 敬士(ツバキ タカシ)

右)阿川 莉奈(アガワ リナ)



お気づきの方もいるかもしれませんが・・・。

そうです。大部分が「勿忘草」で出てきたキャラクター達です。


翔太君はですね・・・ええ、まあ、ほら、私とナツミンさんと今は秋斉さん派のちゅうさんで『結成すら結城に見える会』を発足した位の翔太キュン派なのでね。ベースにさせていただきました。

でも、あんな真面目で可愛くていつまでたっても手を出せないような、しかしやる時はやってた男ではなく、私なりの、勿忘草における、結城翔太とは別人の、『橘川翔太』を描かせていただいているつもりです。


それでですね。ただ今、告知用デモを製作しております。

近日中にあげるつもり、つもりですよ奥さん!その予定ですので、もしよろしければPCの方はプレイしていただいて、バグ報告等していただけると助かります。


何分、プログラムのプの字も知らない素人が作っておりますので・・・読みづらい点があるかと思いますが、そこは大目に見ていただけると・・・。

ちなみに、スマホ版はもう少し待って・・・待ってる人がいるのかわかんないけど・・・待っててくださいね~。


ナツミン嬢の美麗絵をごらんあれ!

ちなみに、詩月はここだけの登場です!多分!






という訳で、公開までお待ちくださいませ!

何このタイトルww携帯からは認識できないかもですね、本当にすみません。

そして、『何故私が祝われてるのか!』と思っても、言わないでおいてくださいww

お祝いしたいのにできなかったから・・・っ!!

というわけで、8名の皆様、おめでとうございます!した!!


駄文ですが、少しお付き合いのほどを。



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花:「……ん?」


ここは、毎度おなじみのどこぞの揚屋。
どこぞの一新造は、小さな風呂敷包を持ちながら、忙しなく動いている少年を見つけたようです。


花:「ゆ~う~き~はんっ♪」
翔:「うわっ!?・・・ああ。なんだ、花里さんですか」
花:「なんやテンション低いなあ。せっかくわてが『甘えたな幼馴染』を演出したったいうのに・・・」
翔:「どこがですか。そしてそのポジションは、とっくに埋まってますから」
花:「で?何してはんの?こないなとこで」
翔:「あー・・・その・・・」
花:「結城はんがおる言うことは、坂本はんも来てはるんやろ?せやったら、菖蒲姐さんや○○はんを呼びはるはずやのに、今日は逢状来てへんかったし・・・」
翔:「・・・・・・・」
花:「それとも、たまには他の女子とも遊んでみたいわ~とか言いはって、他の置屋の人らを呼びはって・・・」
翔:「いや、あn」
花:「せやけど、やっぱりそれじゃあ満足できんくて、その遊女たちを帰し、部屋で結城はんと坂本はんは、二人でくんずほぐれず・・・っ!!どや!?」
翔:「どや、じゃねえよ。いい加減、その男同士を絡ませる脳みそをなんとかしてくださいよ。こっちはそのネタ、もう飽きてるんですから」
花:「え~、だって結城はんが忙しなく動いてはる理由が、他には見つからへんもん」
翔:「・・・大体ですね、部屋に高杉さんとか土方さんとか居るのに、そんな事になるわけが・・・っ!!」
花:「・・・ほう?」
翔:「・・・・・・(しまった・・・)」
花:「高杉はん達がおらへんかったら、そういう事になるかもしれへんと。いや、寧ろ、結城はんはそういうことを期待してはると!!」
翔:「違え!!!!」
花:「・・・冗談や。さ、行きまひょか?結城はん」
翔:「・・・・・・・・見つかっても、知りませんからね」




揚屋の一室。部屋の中では、土方、慶喜、秋斉、高杉が居るようです。


花:「な、なんやの。この一触即発な組み合わせ・・・っ。秋斉はんが居らへんかったら、大変なことになってはる・・はっ!!!いや、しかし。どうや?花里。普段敵対してはる土方はんと高杉はんやけど、実は二人の立場と性格がそうさせてるだけであって・・・実は一目見た時から二人は惹かれあっとって・・・。」
翔:「・・・・・・・・・・・・・・・」
花:「うむ。しかし、この場合はどっちが受けなんや?やはり高杉はん攻めは譲れへんし、土方はん受けは意外としっくりきはるし・・・。ということは、高杉×土方やな!で、初見で惹かれあう二人!しかし二人は敵同士。だが、運命のいたずらか!正体を隠して土方はんと出会ってしもた高杉はんは、己を止められず、土方はんもまた、正体には気付かないふりをして・・・。おおうおおう!これはええんとちゃうん?なあ翔太はん?」
翔:「・・・この状況だけ見て、そこまで想像できた花里さんに、尊敬の念すら抱きますよ」
花:「せやろ?もっとわてを祀っとき」
翔:「はいはい。で、もう気は済みましたか?」
花:「いや全然。で、何してはるん?」
翔:「見れば分かるじゃないですか。談笑ですよ、談笑」
花:「男娼・・・?(ゴクリ)」
翔:「(ツッコむことすらめんどくせえ)」



慶:「ねえねえ秋斉。この贈り物、どう思う?」
秋:「どう思うも何も・・・」
慶:「『たま』にはカフェオレボウル。『みあ』には香水。『イツキ』にはもちろん、土方くんも着たことのある花ビキニの新しいやつがいいと思って買ってはみたんだけど・・・些か不安でね」
土:「!?」
慶:「何かな?土方くん」
土:「いえ・・・」
慶:「で、どう?秋斉」
秋:「・・・あんさんが、それを気に入りはった・・・お三人に似合うと思いはったから買うたんやろ?その気持ちが大事なんとちゃいますか?」
慶:「・・・!そう、だね。うん、そうだよ。相手の事を思って選んだ心が大事だもんね。・・・いやあ、それにしても、秋斉が俺に優しいとかちょっと怖いよね」
秋:「・・・・・・・・・・・・・・へえ。そうどすか」
慶:「や、ごめん、今の嘘。なし。・・・というか、秋斉も『たま』に何か買ったんだろう?ちょっと見せてよ」
秋:「駄目や」
慶:「ちょっとぐらい、いいと思わない?」
秋:「見てもええのは、貰うた本人だけどす。・・・せや、土方はんは何を買いはったんどすか?」
土:「・・・俺は、壊れにくい『携帯』?とかいうものと、新しい炬燵布団と・・・茶碗を」
慶:「へえ~。土方くんにしては、見事に時代を超越したものを買ったねえ。で?送り先は?」
土:「『ゆうごん』と『ひいちゃ』と『ぱせり』に」
高:「・・・ふん。新選組の土方殿ともあろう者が、物だけで済ませるとはな」
土:「・・・何?」
慶:「そういう三谷くんは何も買ってないみたいじゃない」
高:「俺は今、ある物を探させてる所だ」
土:「人に探させるとは・・・それでよくも言えたものだな」
高:「は?」
慶:「まあまあ。まあまあまあ、落ち着きなよ二人とも」


その時。花里達が居る戸とは違う戸が、『たんたん』とノックされる音が、室内に響き渡る。


高:「お、来たか」


徐に立ち上がり、ノックされた戸を開ける高杉。


高:「遅かった――っ!?」
ジョン万次郎:「Oh・・・ミスターたか」
高:「帰れ」


障子戸を『ターンッ』と一気に占める高杉。すると、そろそろともう一度その戸が開く。


龍:「た・・・三谷どの。突然閉めるっちゅうんはやり過ぎではないかのう?」
高:「俺と同じ着物を着て、三味線持った奴を締め出さずして何とする」
龍:「ジョンも三谷どのと一緒に、『おさすさん』と『ぱぴやん』を祝いとうてこうしてきたというに・・・のう?」
ジ:「(コクリ)」
高:「ふざけんな。帰れ。ついでにお前も帰れ、才谷」
龍:「わ、わしもか!?わしも『ゆうごん』の誕生日をこうして祝いに・・・」
高:「だったら、さっさと行ってやれ。ついでにそいつも連れてな」
龍:「何を言うちょるか。ジョンを『ゆうごん』のところに連れて行っても、ただ迷惑になるだけじゃろうが」
ジ:「!?」
高:「ち・・・っ。まあ、いい。とりあえず才谷どのだけ入れ」
龍:「ほうか?では、ジョン。ちっくと待っちょっとってくれ」
ジ:「!? !?」
高:「で?才谷殿は何を持ってきたんだ?」
龍:「わしはの~・・・」(パタン)


満面の笑みで障子戸を閉める龍馬。ジョンは、ただただ、打ちひしがれるだけだった。





花:「・・・何なん?あの新キャラ」
翔:「・・・・・・・さあ・・・」
花:「・・・まあ、ええわ。で?結局は皆の誕生日を祝う~っちゅうことなん?」
翔:「そういうことです。8月辺りから祝う祝う~と言って絵を描いてたらしいんですけど、ちょっと見れないものばかりだったらしいので。こうして祝おうと」
花:「描いた?誰が?」
翔:「・・・まあ、いいじゃないですか、そのへんは。じゃあ、俺、これを高杉さんに渡さなきゃなんで」
花:「・・・そういえば、最初から気になっとったけど・・・その中身何なん?」
翔:「さあ?俺も桝屋さんから受け取っただけですから・・・。途中で沖田さんに会って、『私も土方さんに用がありますし、良かったらお届けしましょうか?』とか言われて冷や汗かいちゃいましたけど」
花:「・・・ちょっと、中身見てみいひん?」
翔:「はっ!?駄目ですって!!」
花:「ええやんええやん!」
翔:「駄目です!!」
花:「ちょっとだけ!ちょっとだけでええから!!先っぽだけでも!」
翔:「嫌です!っていうか何の先だよ!!」
花:「隙あり!!とう!!」
翔:「あ・・・っ!」


空に舞う風呂敷包。そして中からは・・・。


花:「・・・・・・・・・・・・」
翔:「・・・・・・・・・・・・」
花:「・・・えーと?これは描写してええんか?この目隠し用の布やら、涎玉やら(ピーッ)やら・・・」
翔:「駄目だろ」
花:「・・・はっ!ええこと思いついた!!これをな、坂本はんに渡してな?で、結城はんに使うてもろて、それをわてが写生するという・・・」
翔:「ふざけんな。っていうか、どうしようこれ・・・。高杉さんに何て言えば・・・」
花:「『すみません、高杉さん。俺、使ってみたくて・・・』で、使用しながら持っていけばええねんて!」
翔:「もういいです。『花里さんが騒ぎ倒して開封しました』って本当のこと言えばいいだけですし」
花:「えーつまらんわー」
翔:「つまんないとかそういう問題じゃないでしょう。・・・ああ、もう」
花:「ではでは!『ぱぴこ』はん!『おさす』はん!『ひいちゃ』はん!『ゆうごん』はん!」
翔:「『ぱせり』さん!『みあ』さん!『たまごかけごはん』さん!『イツキ』さん!」
花、翔:『お誕生日、おめでとうございました~!!』
花:「遅いとか言わんとってな☆」






おまけ


土:「・・・何か騒がしいな」
龍:「これ、ジョン!!」
ジ:「!? !? !?」(首を横に振る)
慶:「いや、何かそっちの方の戸みたいだけど・・・」
秋:「・・・・・・・・・・・・・・・」


扉を開ける高杉。すると――。


花:「遅いとか言わんとってな☆」
高:「・・・何やってるんだ、お前ら」
翔:「た・・・三谷さん・・・」
高:「結城、頼んでいたものはどうした」
翔:「じ、実は・・・」


おずおずとブツを差し出す翔太。


高:「・・・開けたのか?」
花:「ちゃうんどす!わてが、わてがどうしても見たいと言うてしもたから・・・っ!!」
翔:「!!(こ、ここで俺が「そうなんです!」とか本当のこと言ったとしても、「人のせいにするとは」とか言われそうだし・・・っ。かといって、言わなくても・・・)」
高:「・・・・・・ほう?じゃあ、先に使ってみるか?花里」
花:「え」
高:「何、遠慮することはないぞ?」
花:「いや、それはちょ・・・っ」
高:「ほら、逃げるな。いいか、まずこれの使い方はな」
花:「・・・っ!!い、いやあああああああああああああ!!」


脱兎の如く逃げ出す花里。


翔:「は、花里さん・・・」
高:「・・・ふん。なるほど、あれも意外と純情なわけか」
龍:「三谷。・・・やり過ぎじゃ」
高:「いいか?結城。時にはああやって強気に出ることも重要だ。覚えておけ」
翔:「え?あ、はい・・・」
秋:「・・・あれでも、一応置屋の新造や。からかうのは止めておくれやす」
慶:「偉いねえ、秋斉は。あれだけ蔑ろにされても、そんな対応するなんて」
秋:「・・・あれも、わてにとっては大事な新造の一人やからな。土方はんにとっての楠はんみたいなもんや」
土:「・・・楠?楠が何か?」
秋:「・・・口が過ぎおした。では、祝いの準備に戻りまひょか」


こうして、彼らは誕生日に向けて、各々準備に取りかかっているのでした・・・とさ。


終わり。


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無駄に最後シリアスになった。<なってない。

そして艶が離れが酷いため、各キャラ崩壊は気にしないでね☆(いつもの事です)


というわけで、おめっとさんでした!



なうでも発言しましたが、ただ今体調不良と鋭意製作中につき、しばらくの間お休みします。

アメンバー様と、ぐるっぽ申請の承認はしておりますが、更新はありませんのでご了承ください。


でも、もう少ししたら告知できるかな?

個人的に初の試みなので、うまくいくことを願って。

「ガラス絵」 結城翔太


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妄想小説?と呼べるのか否か


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「結城はん、ここに置いておきますえ」
「あ、ありがとうございます」


――……部屋に響く、翔太くんと花里ちゃんの声で目を覚ます。

肌を撫でる柔らかな感触が、自分が今、布団の上で横たわっていることを認識させている。


(んー……ここ、どこだー……?)


ぼおっとした意識のまま、頭を動かさずに、視線をきょろきょろと彷徨わせる。
二人の小さな話し声が耳を通り抜ける中、まず目に映るのは、見慣れた家具。それから、衣文掛けにかかった紫の着物や、机の上の文箱。窓の外は未だ暗いらしく、蝋燭の明かりだけが室内を――私の部屋を、ぼんやりと照らしていた。


「いえいえ。……では、明朝までごゆっくり」
「……っ!?な……っ!」


花里ちゃんの楽しげな声と共に、部屋の戸が閉められる音が、耳に届く。
それと同時に、私が起きたことに気付いたのか、翔太くんが声を掛けてきた。


「――…起きたか?」
「んー……ここ、どこ……?」
「お前の部屋だよ。玄関先でお前、倒れてさ。覚えてないのか?」
「うん……うん?」
「………………聞いてる?」


未だ私の頭は酩酊状態にあるようで、自分がどうしてここにいるのかなんて事よりも、何故ここに翔太くんがいるのか気になってしまって。だけどこんな頭じゃ、理由なんて思いつくわけもなく――……。


「……なんで翔太くんここにいるのー……?」
「え……っ。……さっき、ちょっと町に用があって出てたんだけど――……そしたら、『今日は島原で、藍屋の菖蒲がひっぱりだこになっている』って噂を耳にしてさ。
菖蒲さんがひっぱりだこってことは、○○も忙しいんじゃないかと思って。それに、朝からやけにお前はりきってたし、もしかしたら無理して倒れてるんじゃないかと思ったら、案のじょ……っ!?」


質問したのは自分のくせに、私は彼の手に手を伸ばし、今朝、翔太くんにされたのと同じように指先をきゅっと捕まえる。


「翔太くんの指って、細くて長くて……羨ましいなあ……」


そのまま掴む指を離して、今度はスルリと指と指とを絡め合う。
ほんの少しだけひんやりとした彼の掌の体温が、火照った身体にはとても気持ち良くて。
思わず、ぎゅっと手に力を込めて握りしめた。


「……○○、まだ酔ってるのか?」
「んー……?酔ってないよー…?」
「…………。ここまで説得力のない言葉もないと思うけど……。……っていうかさ、とりあえず、手、離さないか?」
「……繋ぐの、嫌?」
「……嫌っていうか……その、それ以上触れてると……うわっ!?」


ぼそぼそと何かを呟く翔太くんの腕を引っ張って、無理矢理私の上に覆い被させ、そのまま、彼のほんの少し冷たい手の平に頬ずりする。
すぐ目の前には、翔太くんの顔。私が引っ張ったせいで、着崩れた着物からちらりと見える、彼の胸元。
普段なら、それだけでも緊張して顔が熱くなってしまうのに、今の私には怖いものなど、何一つとしてなかった。


「えへへ……翔太くんの匂いがする」
「……なんだそれ」
「なんかねー……すごく安心するの。こうやって翔太くんに触れてると」


もう一度、彼の掌に頬ずりをし、指先に軽く口づける。


「ほんとはね、ずっと翔太くんにこうして触れてたいんだよ」
「…………っ」
「でも、そんなの無理だってわかってるから。……だから、今だけ」


お酒のせいなのかなんなのか。私の中に枷と呼べるものは最早存在していないに等しくて。
普段押し込めていたものが、次々と口から溢れていく。態度で示していく。
だけどそんな私を余所に、翔太くんは一度溜息を付くと、ほんの少しだけ目元を赤らめたまま、こちらを真剣な眼差しで見つめていた。


「……お前さ。この状況、わかってる?」
「んー……?」
「……俺、お前の上に覆いかぶさってるんだけど」
「うん、そうだねえ」
「……この部屋、俺達以外、誰もいないんだけど」
「うんうん。夜も遅いもんねえ……皆もう寝ちゃったかなあ……」
「……だからさ」


 


ふいに、翔太くんと目が合う。そんな彼から私は目を逸らすことが出来なくて。


(あれ…?なんか、近い?)


気が付けば段々と、彼と私の顔が徐々に距離を無くしていく。
そうして、翔太くんの長い睫毛が。すっと通った鼻筋が。艶やかな唇が、私に触れそうになったその時――…。



「……こういうこと、出来ることもわかってる?」


彼の吐息が唇にかかる。あと、僅かに顔をずらせば、互いに触れることが出来るのに、顔を動かすことなんて出来なくて。


「しょ……うたく……ん……」


かろうじて出来るのは、彼の名前を呼ぶことのみ。
だけど、名前を呼ぶだけで、心臓が五月蠅いぐらいにどきどきと高鳴っていた。







涼しくなった窓の外で、鈴虫の音色が響き渡る。
普段なら、それすらも「綺麗だな」と、「素敵だな」と感じることが出来るのに、今は何も耳に入ってはこない。


緩く掴んだ手を離されて、再び私の掌に彼の掌が重なる。
やわらかく握りしめられたその手を、いつしかまた、私もきゅっと握り返す。
それを合図と受け取ったのか、もう一度翔太くんと至近距離で目が合って。
普段はこんなこと恥ずかしくて、目を背けてしまいそうなのに。間違って飲んだお酒のせいもあってか、私は自分からそっと瞳を閉じたのだった。


―――……が、しかし。どれだけ待っても、何かが唇に触れる気配はない。
それどころか、なんだか――……翔太くんの気配がしないような……?いや、手は繋いでるし、いるのは分かっているんだけど……。


このまま瞑っていても仕方ないので、そっと瞳を開ける。


(……あれ?)


あれだけ近い距離にいた翔太くんが、眼前から消えていた。
それどころか彼は、私と手を繋いだまま、身体を起こして私とは反対の方向を見ている。


「あ、の……翔太くん?」
「………………」


問いかけても何の反応も返ってこない。それどころか、手を離して、余計に私に背を向けてしまった。
そこまでされると、さすがに何かがあったのかと、不安に駆られる。
……もし、本当は私としたくなかったというのなら、しょうがない話だとは思う。
本当は他に好きな人がいるのに、雰囲気に流されてこんなことになってどうしよう、とか。
はたまた、目を瞑って、キスを待っていた私の顔がちょっと―……だった、とか。
……それだったら、流石に凹むけど……でも、もしそうだったのなら、仕方ないのかなとは思うけれど……でも……。


そんなことを考えていた刹那。背を向けたままではあったけれど、ようやく彼が口を開いた。


「……ごめん……ごめんな。別にしたくなかったとかじゃないんだ」
「…………そう……なの?」
「それはそうだけどさ。……だけど、―なか――られな――いうか……」


(……ん?何……?)


とりあえず、考えていた理由とは違っていたから、少しは安堵はしたけれど……本当の理由の部分が、ただでさえ後ろを向いているというのに、段々と尻すぼみになって上手く聞き取れない。
仕方がないので、布団から体を起こして、四つん這いのまま翔太くんの全面へとまわる。


「ごめんね、上手く聞こえなかったの。もう一回言って?」
「~~~~~~~~~~っ!?」


私の姿を認めると、彼は頬を急激に赤らめて、手近にあった掛布団を私の方に投げつけてくる。それをキャッチすると、翔太くんはようやく一つ溜息をついて、膝に肘をつきながら話し始めた。


「…………流石に、あそこで止まる自信はなかったんだよ」
「(あそこって……キス、のこと、だよね?)……止まってた……と思うんですけど」
「違っ!……そうじゃなくて、なんていうか……」
「…………?」
「……その…」


彼は歯切れ悪そうにもごもごと喋りながら、私の方をちらりと見ては、恥ずかしそうに視線を逸らす。それを何度も繰り返してるから、何か私の体に付いているのかと思って、自分の体に視線を落とした。


「…………そんな恰好のお前にキスしたら、自分を止めることなんて出来ないと思ったんだよ」


私が自分自身に目をやるのと同時に、翔太くんの言葉が降りかかる。
何故、どうして。いつからこんな格好だったのかと思い返しても、記憶には浮かんでこない。
そもそも間違いなく、置屋に着いた時は、私は着物を着ていた。
だけど、その着物は今、丁寧に衣文掛けに掛かっている。
そして今の自分は、肌襦袢一枚な訳で。……百歩譲って肌襦袢姿を良しとしたとしても、誰がこんなに襦袢自体を苦しくないように、緩めてくれたんだろう。
そして、誰が着物を脱がしてくれたんだろうか。


「……○○?」


この部屋にいるのは、間違いなく、私と翔太くんだけ。多分、この部屋に連れてきてくれたのも、翔太くんだとは思う。
大体彼がここに居るのは何故だ?……確か、さっき、私が倒れているんじゃないかと思ってとかなんとか言っていた気がする。ってことは心配してきてくれたんだよね。
……ということは。ということは……っ!?


「しょ、翔太くん……」
「ん?」
「……その、私の着物脱がしたのって、翔太くん?」


ただ少し気になっただけなのに。翔太くんは私の顔を見つめたまま、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をする。そうして、急激に頬を赤く染めたかと思うと、私から距離を取った。


「そっ、そんな訳ないだろ!?脱がしたのは花里さんで、俺はその間、部屋の外に居たから!!部屋に戻って来た時には、お前布団の中に居たし!!」
「そ、そうだよね……ごめん」


そう、真っ向から否定されると、なんだか恥ずかしいというか、いたたまれなくなってしまって。
とりあえず襦袢の乱れを直して、布団を深くかけたまま、顔を掛布団に埋める。だけど、謝罪の言葉より後に何か言葉を発することなど出来なくて。
翔太くんもまた、同じように恥ずかしいのか、何も喋ろうとはしなかった。






互いに無言のまま、部屋には虫の声に混じって、蝋燭の燃える音が微かに響く。
そちらに目をやると、ふと、布団の横にある、紫色の小さな四角い風呂敷包みが目に入る。
――……私の部屋で見た事無いから、多分翔太くんが持ってきたものなんだろうけど……。
喋るにはいい機会かもと思い、その包みに手を伸ばした。


「これ、翔太くんの……?」


そのまま、それを彼の方へと差し出す。
だけど、翔太くんは少し微笑んだまま、「もう、俺のじゃない」と、首を横に振った。


「○○にあげようと思って持ってきたんだ」
「……私?」
「そう。開けてみて」


言われるがままに、その風呂敷包を膝に乗せ、結び目をゆっくりと丁寧に開く。
そうして、現れた中身に、私は思わず息を飲んだ。


「これ―……ガラス?」
「そう。ガラス絵……こっちでは「びいどろ絵」って言うらしいんだけどさ」


中に入っていたもの。それは、真っ白な花が描かれた、紅樺色の額縁にはめ込まれたガラスの板だった。
ステンドグラスの様な、その美しさに魅せられて、そっと花の絵に指を滑らせる。だけど指先には、絵、本来の凹凸が感じられることはなくて。
不思議に思っていると、翔太くんが「それは裏面に漆とか膠が塗ってあるんだ」と教えてくれた。確かに裏面を触ると、焼きつけてはあるものの、何重も顔料を重ねてあるのか、書いた跡が分かる。


「……それ、龍馬さんの知り合いから譲ってもらえたんだ。お前が今日一日、頑張ったの分かったから、何かプレゼントしてやりたいと思って……」
「……ご褒美?」
「ご褒美って言ったら、なんだか偉そうだけどな。それに、俺が買ったものじゃないし……」
「ううん。……私にとって一番大事なのは、翔太君がくれたっていうことだから」


割れない程度に、そっと小さなそれを胸に抱きしめる。
こんなご褒美がもらえるなんて、夢にも思わなかった。だからこそ、それが嬉しくて、嬉しくて。


「ありがとう、翔太くん。私、大事にするね」
「……ああ。……今日一日お疲れ様、○○」


そんなねぎらいの言葉を受けながら、私はしっかりとガラス絵を胸に抱きしめる。
そうして、どちらからともなく、もう一度手を繋ぎなおしたのだった。




それからどれくらい経ったのだろうか。
皆が寝ているだろうから、と、ひそひそ話をするかのように声を極小に絞って、他愛もない話をする。
それはまるで、小さい頃に両親に聞かれないようにとしていた時のようで、なんだかくすぐったい空気が、私達を包みこんでいた。


声が小さければ、互いの距離は再び近づくのは当たり前の話な訳で。ふとした瞬間に、指先が触れる。肩が僅かに触れる。
その度に視線を合わせて微笑みあうことはあったけれど……先ほどの雰囲気のようになることは、決してなかった。


「……ん……」


お酒のせいか、それとも話疲れたせいか、話している最中に、唐突に眠気が襲ってきてしまって、段々と瞼が下がっていく。

私は、しっかりとガラス絵を落とさないようにしながらも、ごしごしと目元を擦った。


「……眠い?」
「ん……ちょっと……」
「じゃあ、ちゃんと布団に入って」


彼に促されるまま、翔太くんの元を離れて自分の布団に戻る。
そうして、枕元にガラス絵を置いて、もう一度それを見つめなおした。


(……今日、頑張って良かったなあ……)


自分が思っている以上に、よっぽど嬉しかったのか、自然と頬が緩んでしまう。だけど、それを隠そうなんて気も起きなくて。そのまま私は翔太くんの顔を見る。


「……おやすみ、○○。また、明日な」
「ん……おやすみ……ありがと……う……」


翔太くんの掌が、もう一度私の掌と重なって、ぎゅっと握りしめられる。
だけどもう、眠さのあまり、私は握り返すことができなくて。
繋いだ手のぬくもりだけを感じながら、私の意識は夢の中へと落ちていく。


「…………○○?」
「………………」
「……寝たなら、いいんだ。独り言だと思って聞いてて」


翔太くんの声が、心地よく耳に響く。だけど、その言葉すらも夢と混じり合いかけて、きちんとは聞き取れない。


「……お前にキスしなかったの、本当はもう一つだけ理由があったんだ」
「きちんと、お前に俺の気持ちも伝えてないのに、順番吹っ飛ばして、キスなんかしたくなかった」
「……だから、今度はきちんと言うからさ。そうしたら……」


(しょ……た、く……)


手を繋がれたまま、翔太くんの体が少しだけ動く。――そうして。


「……でも、これぐらい、いいよな?」



 
  


意識が完全に途切れる直前。その声が聞こえたと同時に、私の額に何か柔らかい物が触れたような――……そんな気がした。




『微酔なる君との戯れを』 二幕 結城翔太    終わり。


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他の旦那様との逢瀬もお楽しみください。



茶碗………………………物語を読む


亥の子餅…………………物語を読む


ガラス絵…………………物語を読む


舶来品のルージュ………物語を読む


御香………………………物語を読む


扇子………………………物語を読む


万華鏡……………………物語を読む


箱枕………………………物語を読む

微酔なる君との戯れを 


・第??弾・        

    

9月29日(土)21:00~

?月??日(?)0:00マデ     

 

誰かの為に頑張ること  

その行為の結果とは・・・・・?

 


花里のブログ

※今回のイベントは二幕構成です。




一幕を読む

※次ブログ以降、「その1」からお楽しみください。





遊び方・説明


まずは【第一幕】を「その5」までお楽しみください。




【第二幕】イベント限定アイテム


選択したアイテムに応じて、違う相手との物語(第二幕)をお楽しみいただけます。





アイテムを選択する


※リンク先の第二幕は9月30日(日)21:00頃公開予定です。




【獲得アイテム一覧】

   


茶碗………………………物語を読む


亥の子餅…………………物語を読む


ガラス絵…………………物語を読む


舶来品のルージュ………物語を読む


御香………………………物語を読む


扇子………………………物語を読む


万華鏡……………………物語を読む


箱枕………………………物語を読む



注意事項


①第一幕を読むには、気力と根性が必要です。

②イベントシナリオは当イベントの期間内のみ閲覧が可能です。

③イベント期間は予告なく、短縮する場合がございます。


          



藍屋 秋斉
「くれぐれも、向こうの方には迷惑をかけんように――……」


暦はもうすぐ白露を迎え、朝晩の風が涼しくなってきたある日の朝。
掃除へ向かおうと、秋斉さんの部屋の横を通る。すると、彼が、誰かと話している声が聞こえてきた。
誰か、来客中なのだろうか。
そう思いながらも、聞き耳を立てるのもよくないと考え、なるべく早めに通り過ぎようとする。
だけど、中から聞き覚えがある声が聞こえてきて、私はそこで足を止めた。


??
「わかってます。後は何か伝えることはありますやろか?」
藍屋 秋斉
「いや、後はええ。気いつけてな」
??
「へえ。夜には戻ります」


その言葉を境に、畳の上を歩く音が、だんだんと近くなっていく。
それに気付いた時には、既に彼女が部屋から出てきた時で――。


花里
「……○○はん?どないしたん、そないなところに隠れはって……。誰かとかくれんぼでもしてはったん?」

○○
「う、ううん。何でもないよ」


慌てて二階へと続く階段の下に隠れたものの、あっという間に彼女に――花里ちゃんに、見つかってしまったのだった。





○○
「祇園の方へ……。すごいね、花里ちゃん」
花里
「せやろ?うちの努力が認められたようで、ホンマに嬉しくて」


あの後。花里ちゃんだけではなく、秋斉さんにも見つかってしまった私は、「話があるから」と、再び花里ちゃんと共に彼の部屋へと呼び出された。
そこで聞かされたのは、花里ちゃんが祇園へ――いわゆる出張のようなものをすることになったという話だった。なんでも、揚屋で花里ちゃんを気に入った人が居たらしく、その人が彼女を祇園に呼び出したらしいのだけど――……。


藍屋 秋斉
「そないな話をもろてしもたら、ホンマはわても一緒に挨拶に行かんとならへんのやけど……」
○○
「……?行かないんですか?」
藍屋 秋斉
「話を聞いたんが、昨日の晩やったさかいに……どうしても今日は外せん用があるんや」
花里
「大丈夫どすえ、秋斉はん。わてやったら、秋斉はんがおらんでも上手くやりますよって」
藍屋 秋斉
「……まあ、他にも店のもんが付くから、あんさんにそこまで心配はしてまへんけど……人としての礼儀や。ちゃんとその文も渡すんやで」


よっぽど嬉しいのか、彼女は秋斉さんの言葉も聞こえていないようで。
はあ、と溜息をつく彼をよそに、幸せそうに微笑む花里ちゃんを見ていると、私もつられて笑顔になってしまった。


○○
「あ……そういえば、私に話ってなんですか?」
藍屋 秋斉
「……ああ、未だ話してまへんどしたな。
花里が一日だけとはいえ居なくなるいうことは、同じ菖蒲付の○○はんに、ほんの少しやけど負担が増えることになる。……ホンマ急な話で申し訳あらへんけど、一応、他の新造達にも手伝うようには声を掛けとくさかい、何かあったら便り、と。そう伝えたかっただけや」

○○
(ああ、なるほど。……でも、いつもお世話になっている花里ちゃんに、お礼をするいい機会かもしれないな……)


事情を飲み込むと、私は背筋を伸ばして、秋斉さんと花里ちゃんをしっかりと見据える。


○○
「わかりました。私じゃ花里ちゃんの穴は埋められないかもしれないですけど、精一杯頑張らせてもらいます!」
花里
「……おおきに、○○はん。せやけど、わてがやってることなんて大したことあらへんのやから、そんなにきばらんでもええよ」
藍屋 秋斉
「花里の言うとおり、あんさんが一生懸命やりすぎて倒れてしもたらかなわへんさかい。あんまり根を詰めたらあきまへんよって」
○○
「大丈夫ですよ、ちゃんとやりますから!じゃあ私、お先に玄関の掃除してきますね!」
藍屋 秋斉
「え……ちゃんと、て……」
花里
「ホンマに無理したら……」
○○
「大丈夫だよ。立派に花里ちゃんの代わりを務めてみせるから!!」


それだけ言うと、私はさっと立ち上がり、踵を翻す。
そうして、秋斉さんの部屋を出ると、玄関へと向かったのだった。




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