頂き女子って凄すぎる | 記録

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頂き女子というものの実態を今更ながら知った。

昨年一世を風靡し、世のおじさんたちを震え上がらせた【りりちゃん】だ。


何の気なしにツイッターを徘徊していたら、なんとりりちゃんが自分で作成販売していた”頂きマニュアル”の完全版に出会ってしまった。


どんなもんじゃい、と思って軽く読み始めたのだけれど、これがどうして、めちゃくちゃタメになる内容だったのだ。

特に、私のように「人に頼るな」「甘えるな」「迷惑をかけるな」と叩き込まれてきた人間にとって、

つまり”甘える”とはどういうことかノウもハウも知らない人間にとって、

りりちゃんのマニュアルは手取り足取りすべてを教えてくれる教科書だったのだ。



考えてみれば、見ず知らずのおじさんからウン百万円を引き出したうえで円満に別れる、というのは、甘えの中でも相当にわがままな部類であるはずなのだ。

しかし、マニュアルを読んでいくと、そこに登場する女の子(りりちゃんが設定したお金を引き出すためのかわいそうな背景を持った女の子)が、あまりにもかわいそうで健気で、なんだか応援したくなっちゃって、知らず知らずにお財布のひもが緩んでしまいそうになるのだ。

マニュアルを読んでいるのに、作られた設定だという自覚があるのに、である。




もしかして、これは我が物にすべき技術なんじゃない?

りりちゃんの場合は「見ず知らずのおじさんから」「ウン百万円も」もらっちゃったから詐欺になっているのであって、

これがもしも「彼氏」「旦那」「会社の上司や同僚」から、「家事をやってもらう」「ちょっとしたプレゼントをねだる」「仕事を代わってもらう」「有休を取る」とかだったら、何の問題もないんじゃない?


人に後腐れなく甘えるという技術を、遅ればせながらアラサーも学んだほうが良いんじゃない?

その方が今後の人生、スムーズに回っていくんじゃない?


というわけで、ツイッターに流れていたりりちゃん頂きマニュアルの全文を、改めて自分でワードにまとめ、我が物にせんと試行錯誤している。





マニュアル内で私が一番驚いたこと、それは、相談や甘えを持ち掛ける際の、情報提供の仕方だ。

どういうことかというと、りりちゃん曰く、

「相手がこちらの話を聞ける姿勢になってから話す」ことが大事で、

さらに「情報は一度に開示しない。相手の理解度を見ながら、1つずつ遠慮がちに情報を与えていく」ことが成功の秘訣だと書いている。


まず「相手が聞けるときに話す」とは、相手が仕事で忙しくしている日中にLINEを送るのではなく、仕事が終わった夕方以降に話し始めることだ。


これは例えば彼氏や旦那さんなら、これから仕事に出かける慌ただしい朝ではなく、ゆっくり晩酌をしている夜21時にすべき、ということだろうし、

会社の上司や同僚なら、相手が急ぎの仕事に臨んでいる時や終えた直後ではなく、一息ついているときや比較的余裕がありそうな時を選ぶ、ということになる。


当たり前っちゃ当たり前だが、こちらが自分のことで精一杯になっている時には見落としがちな観点だ。




そして、「情報は小出しに開示する」というところ。

こちらは実例を持って説明されるとよくわかる。


<ダメな例>

「コロナで仕事がなく家賃の支払いが2カ月滞ってしまって管理会社から強く催促されている」


<よい例>

「あのね…」「本当に言いにくいんだけど…」

「実は家賃をね、払えてなくて」「2カ月分」

「そうなんだ、バカだよね」

「払おうとしてたんだけど」

「コロナで仕事減っちゃって」「新しいお客さんも取れなくて」

「なんでこんなことになっちゃったんだろう」

「自分が情けなくて」「ごめんね、こんな話して」

「嫌いになった?」

「何とか払いたいんだけど」「最近電話がいっぱいかかってきてて」

「管理会社から」「すごく強い口調で、怒られて」

「怖くて」「払えないなら出ていけ、とか」

「払えない私が悪いんだけどどうしようもなくて」

「怖いよ…追い出されちゃうのかな?」「どうしよう…」




……この違い、わかるだろうか。

私は正直、めちゃくちゃ刺さった。


<ダメな例>だと、内容自体は伝わるものの、業務連絡のようなサッパリした感じになってしまい、困っている状況自体は頭で理解できても、困っている心情までは理解できないのだ。

「あー大変だね」で終わってしまう。


しかし<良い例>のように、一語ずつ、相手の相槌を挟んでもらいながら説明するとどうだろう。

ほぼ同じ情報量しか伝えていないのに、どのように困っているのかが手に取るようにわかる。


<ダメな例>では相手が勝手に困っているだけだったはずなのに、<良い例>ではなぜかこちらの心が動くのだ。

なんなら「きっと大丈夫だよ、一緒に考えよう」とか言ってしまいそうになるのだ。



これ、すごい。これ、すごいよ。

言いにくいことや無理めなお願いも、このやり方ならするっと通りそうな気がする。

私のような甘え下手の人間って、そもそもが「相手に甘えてはいけない」という先入観から無理やりお願いをしに行っているスタンスなので、

どうしても「相手に分かりやすく説明しなければ」「相手の時間を奪ってはいけない」とか思ってしまって、<ダメな例>みたいな簡潔業務連絡相談をしてしまいがちなのだけれど、

こと相手の心情を動かした方が良い場合においては、圧倒的に<良い例>のほうが気持ちが動き、成功率が高くなるのだ。

相手に人の話を聞く心の余裕がある状況なら、なおさら。




少し前に”カワイイは、作れる!”というCMが波紋を呼んだが、

それと同じように”素直な甘え上手は、作れる!”のだ。

明確なノウハウがあるのだ。


多くの人間が天然で幼少期に学んでくるはずのこれを、アラサーになった今、遅ればせながら私も学んでいきたいと思う。


そして、家事や育児やデートの希望や仕事の調整や有休や、その他、人生における数多の話し合いの時、

これをスムーズに駆使できるようになったら、もっと無駄な遠慮なしに生きられる。



身の周りの人に上手に甘えるために、そして受けた優しさを恐縮で申し訳ながるのではなく、素直に感謝できるようになるために。

りりちゃん、ありがとう。

詐欺は悪いことだけど、ノウハウ自体は今の私にとってとっても役に立ちそうです。