弾丸沖縄ツアーの飛行機機内誌で、「スキップとローファー」の宣伝ページを見た。
Peach航空のサービスとして、自分のタブレット等で視聴できるとのこと。
兼ねてより面白いと話題になっていたし、石川県が舞台のお話(作者の方も石川出身)で、年始の能登震災にてアニメをYouTube無料公開&収益を全額寄付していたことは知っていた。
が、何となく機会がなくて観ていなかった。
「スキロー」の他に案内されていたのは、かの有名な「大豆田とわ子と3人の元夫」。
えっ、大豆田と対張るくらい面白いの?人間模様が深い感じ?
これは多分、いや絶対、見た方がいいやつ。
というわけでU-nextで全話視聴してきました。
のみならず、原作も全部読みました。
非常~~~~~に面白かった。大豆田と対張るわ。
舞台は都内進学校で、石川県のド田舎出身の主人公が奮闘するお話なのだけど、
主人公も都内出身同級生たちも、それぞれがめちゃくちゃ自分の生傷と向き合って葛藤し、成長していく。
彼ら彼女らったら、高校生だというのに自己分析ができすぎ。自分の弱いところと真摯に向き合いすぎ。
大人もぜひとも見習いたい。
もうね、ぜひとも全人類に原作を読んでほしいしアニメも視聴してほしい。
教科書に載せたいまである。
どこがそんなにすごいって、主人公と仲良しグループの面々の悩みや不安感が身に覚えがありすぎて心が痛いのだ。
ミカちゃんのくだりなんてぼろぼろ泣いた。
上履きで上級生の名前を覚えるシーン、表現がうますぎてにくい。
そういえば私は、“君届”ではくるみとあやねに傾倒し、“明日のナージャ”では性格の良い主人公ナージャで
はなく、したたかあくどい庶民出身・ローズマリーを本気で応援していた。
ミカちゃんの「こんな私を誰が選ぶ?」「私、恋とかしていいんだ」のところ、アラサーでも未だに思ってますからね。
自分が恋愛なんて、気持ち悪くてしょうがないよね。
罪犯してる気分だよね。
あと、オタク陰キャの私にとって、まこっちゃんの悩みは学生時代の私そのもの。
自分がかわいい恰好をするのって、自己肯定感がないとできないよね。
そして確かに“かわいいは作れる”けども、一朝一夕では作れないんだよね。
美はノウハウの勉強の賜物。トライ&エラー。
で、そこまでしてどんなに当社比でかわいくなったとしても、本物の美人の足元にも及ばないんだよね。
なんか、本物って骨格からして違うんだよな。
そして性格が良い。
さらに、私は中学時代は謎に“ぶりっこ勉強できる子”ポジションだったため、ゆずちゃんの悩みも他人事ではない。
恋愛ごとで女子に睨まれない唯一の方法は、そもそも男
子との接触を一切断つこと。
吹奏楽部で男子との関わりもそんなになく、そもそもコ
ミュ障で他人と会話も続かず、それをいいことに男子の一切から逃げ回っていたら、
確かに女子からのいじめやハブはぱたりと止んだ。
そんなわけで、アラサーにして未だに男友達の一人もいないという状況に。
しかし最近では、相手が結婚してこっちになびくことは100%ない(かつ既婚を盾にグレーな関係を断れる)ので、かえってフラットに話せるようになった人は数名いる。
君とは人間として関わりたいんだよ、すぐに恋愛ごとに持っていこうとすな。
原作では八坂ちゃんという子も出てくるのだが、
「他人からの評価なんて関係ないと言い切れるほど愛されて育ってきたんだね」
のところ、頷きすぎて首がもげるかと思った。
自分の気持ちを何も考えずリアルタイムでありのまま表現できるのは、それをしても大丈夫な環境がずっとあったから。その家庭環境、単純に羨ましいよね。
で、ずっと人の顔色を窺って育ってきた人間には、八坂ちゃんみたいに自分と同じような家庭環境の人間を見抜く能力が備わる。
だからみんなのアイドル志摩くんに微塵もなびかない。
超わかる。八坂ちゃんとも握手したい。
・・・とこのように、ちょっと読んだだけで十二分にこちらの古傷をえぐってくる神作品が「スキロー」です。
忘れたと思っていた気持ち、蓋をしていた傷とちゃ~~んと向き合わされます。
ぜひ。