「ここから先は、箱学とか背中のゼッケンとか関係ねぇ。
東堂尽八と巻島裕介の、二人の男の戦いだ。」
このセリフ、ずーっと引っかかっていて、
チームを背負ってインターハイを走っているのに、無責任じゃない???と思っていました。
でも、改めて読み返してみると、
3日目荒北靖友の「この先の領域」
でストーンと腑に落ちました。
純粋な気持ちだけにならないと行けない領域。
だから、東堂と巻島はそれぞれのジャージ、背中のゼッケンを置いていき、
自分の体と「こいつより前へ!」という気持ちだけで登っていったと思いました。
山頂に到達するには、そういうものを次々に置いていって、
からっぽになっていかないと、たどり着けないのかなぁと。
そして、山頂に辿り着いたクライマーが空を仰ぐのは、
そこに自由があるからなのかなぁと。
誰よりも自由になるために、
クライマーは自分の身一つ、思い一つで登っていくのかなぁ。
東堂は巻島に、
巻島は東堂に、
「こいつにだけは負けたくない。」
けれど、
「こいつにだけは、負けても感謝できる。」
のではないかなぁと思います。