『報道特集』(TBS)が、
今年5月、愛知県で妊婦が死亡する交通事故がありました。赤ちゃんは帝王切開で生まれましたが、重い障害が残っています。実はこの赤ちゃん、事故の「被害者」として認められていません事件
を特集しています。
この議論、実は、この事件の契機に始まったものではなく、昔の水俣病胎児傷害事件(=工場排水に含まれるメチル水銀によって母体を通じて胎児がメチル水銀に暴露し、出生後に様々な障害を持つことになる胎児性水俣病患者が発生した事件)から議論されているものです。
私は、法律上の「被害者」と「実際の被害者」とは異なるだけのことと理解すればよいと考えています。
例えば、我が子を、我が夫を、我が妻を、我が父を、我が母を、殺された人は、法律上は「被害者」とされていません。しかし、例えば、我が子を殺されたお父さん、お母さんは、どう考えても被害者なのです。
これとは局面が異なりますが、刑法に限らず法律上、胎児は「人」とされていない(例えば民法3条1項)ので、被害者(=被害を受けた「人」)と扱えない、それだけのことなのです。
他方、法律上「被害者」とされないと、救済を一切受けられないのかというとそうではなく、「被害者等」の「等」の中に含まれて、様々な救済を受けることはできるのです。
というわけで、この事件の父親は、生まれてきた子は被害者であると思っておけばよいのです。
参照条文
民法3条1項 私権の享有は、出生に始まる。
☜私法上の権利義務の主体になるのは、母体から出て、「人」となってからであると規定しています。