交通事故をめぐる民事裁判(損害賠償請求訴訟)で、被告(加害者)または証人(例えば、事故の目撃者)が虚偽の陳述(証言)を行い、その後、判決が出で、それが「確定」(=判決が動かせないものとなること)した場合、原告(被害者)は、再審を起こせるか、との相談がありました。

 民事訴訟法338条1項7号が「証人、(中略)宣誓した当事者(中略)の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと」を再審事由としていますので、上記の場合は、再審の訴えを提起できそうです。

 しかし、同条2項が、「前項第4号から第7号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき(中略)に限り、再審の訴えを提起することができる。」としています。

 ということは、虚偽の陳述をした証人が偽証罪で起訴されて、有罪判決を受けて、その判決が確定したこと、虚偽の陳述をした当事者(被告)が過料を科されて、その裁判(決定)が確定したことが再審提起のために必要となるのです。

 しかし、実際には、証人が偽証罪で有罪判決を受ける、当事者が過料の制裁を受けることはほとんどありません。

 ということは、民事訴訟法338条1項7号を基に、再審を提起することは実際にはできないのです。

 民事再審は刑事再審より「開かずの扉」なのです。

 

参照条文

 (再審の事由)
第338条 

1 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
三 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
四 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
六 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
七 証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
八 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
九 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
十 不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。

2項以下 省略