たなばた | 季節のひとこと ~サロンレポートとライフスタイルデザイナーの仕事~

たなばた

今年は入梅したものの雨がなく、当初水不足も心配されましたね。
自宅そばの河川も、六月中には、アオモが繁殖し、水は干上がり、魚もなんとか深みを見つけて泳ぐのでしょうが、背びれが水面に見え隠れしていました。


ところが、七月に入って、やっと梅雨模様。恵みの雨ですが、せっかくの七日には、 牽牛と織姫の逢瀬がかなわなかったようで残念でした。


 最近では、笹の枝に結ぶ短冊の願いも「お金持ちになりたい!」など、夢のないもの?が多いように聞きます。


笹に短冊の風習は江戸時代には広く庶民も行なっており、屋根の上にその高さを競うように立てられたといいますが、当時の人々がこんな願い事を幼子達が書いていると知ったら驚くでしょうか・・・


では、ここで、七夕について少し振り返ってみましょう。

「たなばた」とは、中国から伝わったロマンティックな星の伝説から生まれた乞巧奠(きっこうでん)という行事と、日本固有の心身の穢れを水辺で払う、盆迎えの儀式である棚機(たなばた)が結び合った日中融合の行事です。そして、五節供のひとつにも数えられています。


乞巧奠は五色の布に五色の糸を通した7本の針を供え、里芋の葉に置いた露で墨をねり、願い事を書き、裁縫、芸事、歌の上達を祈ります。
たらいに水を張り、織姫と牽牛が出会う様子を水に映しつつ梶の葉に和歌を書く風習もありました。


一方、棚機は、水辺に棚を建て、乙女が機で神の御衣を織る盆前の禊払えと、米の豊作を祈る祭事でした。この機織の糸をそうめんに見立て、”七夕には素麺を食べる”という慣わしが生まれたようです。
とにかく子供達のための行事ではありませんでした。


旧暦7月7日は、新暦では8月の日付け、秋の訪れを告げる行事です。今年は8月11日です。なるほど、まさにお盆の前ですし、立秋の頃ですね。


ぜひこの夜には、夜風を楽しみながら空を仰ぎ、天の川をへだてて輝き合う織姫と牽牛を見つけてみようと思います。そして長い長~い間変わらぬ愛を持ち続ける二星のような夫婦でいられる様お祈りしましょう。