メルマガ「正しいハラール&イスラームを知ろう!」

こんにちは!
「アラブでお仕事を成功させるコンサルタント」の岩口昇龍(龍児)でございます。
今回は私の大学の後輩で、現在マレーシア・クアラルンプールで働いている小川奈穂に
ハラールについてのレポートを書いてもらいました。
皆様のハラールやイスラームに関する理解が深まることを願っています。
(なお、メルマガに写真を添付できないので、別途私岩口のブログにて参照する写真を紹介できればと思っています)

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【宣伝】
来たる3月27日(日曜日)午前10時から
埼玉県川越市にある総合複合施設ウェスタ川越で、
『知らないままでは済まされない。世界宗教の潮流を知る!勉強会@川越』というタイトルのイベントを開催します。
南関東の方は遠路はるばるという形になると思いますが、ピクニック気分でお越し頂ければと思います。

<詳細>
『世界宗教の潮流を知る!勉強会』@小江戸・川越

・ハラールって結局なに?
・宗教を信じている人ってなんで信じてるの?
・海外ビジネスをする上で、宗教ってどうしたらいいの?

勧誘、お説教一切なし!日頃不思議に思っている「宗教」への素朴な疑問に何でもお答えします。
プレゼンターとしてイスラーム教圏とのビジネスコンサルティングを行っている岩口氏、ゲスト講師としてキリスト教圏に詳しい實淨氏を迎え、気軽に何でも聞ける和やかな会にしたいと考えております。


【開催のきっかけ(岩口)】
海外進出が当たり前になった昨今、毎日当たり前のように日本人が海外でビジネスを行う時代になりました。

私岩口もマレーシアやサウジアラビアで就業し、現在アラブ・イスラーム圏のビジネスコンサルティングを生業にしております。
仕事柄イスラームの専門知識を活かしながら活動してきて疑問に思ったことがあります。 
我々日本人は仏教や神道などの多神教を前提に思考して、一神教ビジネス圏対象にビジネスを行っているか?と。

例えば、キリスト教圏でビジネスを行う時、またユダヤ教圏でビジネスを行う時、私たち日本人は彼らの流儀でしっかり対応しているだろうか?

そのようなことを考えていきたいセミナーを開催したいと思いました。

☆このセミナーは2014年11月に東京・飯田橋の株式会社ケイツー・インタラクティブ主催のイベントにて開催致しました。大変反響があったので川越でも開催する運びとなりました。また、第2回目として2015年1月に大阪・道頓堀にて開催も致しました。

講師:
岩口龍児氏 アラブ・コンサルティングサービス東京 代表
實淨和沙氏 筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻 キリスト教と文化遺産を研究

岩口の仮題「世界は『一神教』で回ってる~アナタがそれを望まなくても~」
實淨氏の仮題「宗教遺産から考える宗教理解」

日時:2016年3月
参加費:
 《特別料金》通常4000円のところ、
   今回は特別に『1500円』!!!
会場:ウェスタ川越 第5会議室(埼玉県川越市内・JR川越駅徒歩5分)埼玉県川越市 新宿町1-17-17

申し込みは、こちらの↓のリンク先からお願いします。
https://www.facebook.com/events/639536052815813/

宣伝は以上になります。
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【マレーシアで広まるNon Halal表記レポート】 

こんにちは。KL在住の小川と申します。
今回は近年マレーシアで広まるNon Halal表記についてご紹介いたします。

1, ショッピングモール、『Pavilion』における日本食レストランでのNON HALAL表記

クアラルンプールにはショッピングモールがたくさんあります。その中でもPavilionは外国人観光客や富裕層向けのモールで、
Tokyo Streetという日本をテーマにしたフロアがあり、日本食レストランも多数出店しております。

1、2 最初の写真はとんかつ屋さん。なんと店先に堂々とNON HALALとのサインを出しております。

写真1

写真2



3 続いて山頭火。こちらもNon Halal表記があります。

写真3
 

4、5 続いてこちらは日本でもおなじみのカフェのチェーン店。豚肉やお酒は特に扱ってなさそうでしたが、こちらもNon Halalだそうです。しかしキッチンの従業員はヒジャブを被った人がいましたし、お客さんもムスリムが来るそうです。



6、7 こちらはいわゆる居酒屋さん。Non Halalですね。メニューに豚肉もあります。



8、9 こちらのお店は特にHalalの表記がなかったので聞いたところNon Halalだそうです。
このお店は豚肉のメニューはありません。ただしチキンカツ丼だけ調理にお酒を使っているのと、アルコールを扱っているとのことでした。
ちなみにこのお店は会社のディナーで1回来たことがあってムスリムの人もいました。




10、11続いてこちらのお店も特に表記がなかったので聞いたところ、Halalだそうです。
しかしよく見るとメニューにアルコールがあるではないですか!確かに豚肉を使ったメニューはありませんでしたが。店員が言うには「日本食レストランだからお酒も扱っているんだよ♪」とのこと。さっきのお店と言ってることが違う・・・これはHalalと言えるのだろうか・・・。



ここまででわかったことは、必ずしも全ての日本食レストランがNon Halalの表記をしているわけではないということ、またNon Halalでも豚肉やお酒を扱ってなければムスリムも利用しているということです。
しかし一方でお酒を出しているのにHalalといってみたり、 Halalの定義があいまいなようにも感じました。
ハラール認証マークのように飲食店に関してもNon Halalレストランの基準のようなものがあるのでしょうか?

2, マレーシアの寿司チェーン店、『すし金(すしきん)』はHalal? それともNon Halal?

すし金とはマレーシアで有名な寿司チェーンなのですが、実はハラルではないとの噂を聞いたので、さっそくお店の人に確認しました。
まず店員さんに「このお店はHalalレストランですか?それともNon Halal?」という質問をしました。
そうしたら店員さんが理解していないようだったので「豚肉やお酒は提供してますか?」と聞き方を変えたところ、「全てのメニューは豚肉お酒も使ってないからムスリムの食べられるよ。」との回答でした。そして従業員もヒジャブを被った人が働いてました。(空いている時に行ったので客層はよくわかりませんでしたが。)
私がここで感じたのはおそらくマレーシアのムスリムにとってすし金はHalalであるということ、またHalalレストランという認識がお店の人にはないのでは?ということです。
というのもPavilionで日本食レストランを調べた時もすし金の店員さんと同じようなリアクションをされる時があったのです。私はHalal、もしくはNon Halalレストランのような概念があるのかと思っていたのですが、あくまで「NON HALAL」というのはキャッチコピーのようなもので、お店の人にとっては「ここはNon Halalレストランだ」(あるいはHalalレストランだ)という認識はないのかな?という気がしてきました。

3, マレーシアのスーパーは豚肉が別会計!?
そのまた後日、日本人の同僚とスーパーに買い物へいったのですが、豚肉はレジの会計方法が違うという話を聞きました。というのもマレーシアのスーパーにはNon Halalコーナーがあって、ひっそりと豚肉を売っていたりするのですが、その同僚は豚肉を買う時にチケットのようなものを渡されて、レジにそれをもって行って会計を済ませてから、再度Non Halalコーナーに戻り商品を受け取ったとのこと。私はスーパーで豚肉を買ったことがなく、知らなかったのでびっくりしました!
マレーシアンチャイニーズの友達と会った時にその話をしたところ、豚肉などはレジを分けているスーパーは他にもあるとのこと。私が「めんどくさいね。お肉はパッケージされているのに。ちょっとやりすぎじゃない?」と言うと、友達も「最近色々ちょっとやりすぎね(苦笑)」とのことでした。(※あくまで個人の意見です。) まだ1人としか話してないのでわかりませんが、チャイニーズはめんどくさいと思いつつも従っている、というところでしょうか・・・。

4, Non Halal表記が意味するもの
ではこのNon Halal表記はいつから広まったのでしょうか?
私は2009~2010年にかけてKLに留学していたのですが、当時は今ほど日本食レストランはなく、Non Halal表示も見かけなかった気がします。そして最初にご紹介したPavilionですが、Tokyo Streetがオープンしたのが2011年7月、またとんかつ屋さんがオープンしたのがその数か月前のようです。なのでNon Halal表記が広まったのは2011年頃ではないかと考えられます。

また、なぜわざわざNon Halalの表記をするのでしょうか?
1つはマーケティングの観点から。日本食レストランの中でも豚肉やお酒を提供するお店がターゲットとする客層は日本人や非ムスリムの外国人、そして中華系の人たちです。ローカルのマレーシア人向けの飲食店はたいていHalal対応しており豚肉のメニューはありませんので、豚肉を食べたければ提供しているお店を選ぶ必要があるのです。そういった意味でNon Halal表記は非ムスリムにとって「豚肉もお酒も思う存分楽しめますよ!」というアピールになるわけです。

そして2つ目はイスラム教の保守化を進める体制に対する抵抗なのでは?という考えです。
イスラム教保守化の動きは世界的に広まっていますが、マレーシアにおいても20~30年前に比べてヒジャブを着用する女性が増えていますし、最近では電車の女性専用車両ですとか、女性専用駐車場なども作られており、その兆候が見られます。食に関してもハラール認証の普及や豚肉のレジ会計を分ける状況は、こういった世の中の流れの延長にあるのではないかと考えられます。
しかしここへきてNon Halalの表記が広まるということは、保守化の流れと逆行するような現象が起きているのではないかと感じました。

以上。