山口惠以子さんのおいしいシリーズ3部作の1つ、『食堂のおばちゃん』の16作目。

 

 

 

    

おいしいシリーズ3部作は、『食堂のおばちゃん』『婚活食堂』『幽霊居酒屋』があり、私が勝手に命名しているだけで、著者の山口さんご自身は「食」と「酒」シリーズとしている

 

 

先に17作目を読んだのだが、こんな風に順番が前後しても楽しく読めるのが、このシリーズの良いところ。

そして同じ作家さんが書いているシリーズだからこそ実現できるのが、小説の舞台を超えて互いの小説に登場するのは、ファンとしてはうれしい。

 

第1話は唐揚げなのだが、なんと『婚活食堂』の恵と真行寺が来店するシーンから始まる。

たったこれだけのことでも嬉しくなってしまう。

 

YouTubeで流れてきて知ったのだが、『婚活食堂』はドラマ化もされていたらしい。

恵を菊池桃子さん、真行寺を渡辺いっけいさんが演じていた影響か、お2人が食べているシーンを思い描いて読んでいると、なんとも臨場感が出てきて読んでいても面白い。

 

真行寺は「はじめ食堂」の名物でもあるタルタルソースが気に入ったため、店で追加注文した上に、テイクアウトまでしていた。

 

 

 

 

 

 

私が山口惠以子さんのおいしいシリーズが好きなのは、単に私が食いしん坊だから、という理由だけではない。登場人物がみんな優しいのだ。

もちろん詐欺を働こうと悪だくみをしてくる人や、人を陥れようとする人が登場しないわけではない。災難ともいえるような出来事も起こる。

そんな悪い人や悪い出来事があっても、みんなで支え合い、励まし合ってのりこえていく。そんな人情味のあるストーリー展開が大好きなのだ。

なんてことのない日常にも、必ず小さな喜びや悲しみなどがあって、そんな現実世界の、どこにでもある日常生活を送っている、人々の描写が読んでいてホッとするのだ。

 

 

それにしても単価が安すぎる「はじめ食堂」

この値段で食べられる店なんて、東京にはないと思う。

お昼の定食メニューは一択ではなく、日替わり、焼き魚、煮魚、揚げ物にワンコインにテイクアウトなど、メニューの種類も豊富だ。

値上げをしたとしても、はじめ食堂なら通ってしまいそうだ。

同じようにメニューが豊富なチェーン店の定食屋ですら、「はじめ食堂」の価格には適わない。

この価格設定だけは、小説の世界だからこそ実現できるのかもしれない。