山口惠以子さんのおいしいシリーズ3部作の1つ、『食堂のおばちゃん』の17作目。

 

 

 

    

おいしいシリーズ3部作は、『食堂のおばちゃん』『婚活食堂』『幽霊居酒屋』があり、私が勝手に命名しているだけで、著者の山口さんご自身は「食」と「酒」シリーズとしている

 

 

 

餅は子どものころから大好きで、1~3月頃までは自宅の冷凍庫に常備されている。

正月もとうに過ぎてしまったが、表題作にひかれて手にとった。

この作品は、シリーズで読んでいるのもあるが、最近では登場人物も少しずつ増えてきている。それもそうかもしれない。何気なく生活していても、人の付き合いには変化はつきものだ。

 

 

 

姑の一子と嫁の二三が営むはじめ食堂は、昼はランチ、夜は居酒屋で、常連達に支えられて、おいしい食事を提供している。

長らくランチの定食を700円で提供してきた「はじめ食堂」で、ついに値上げの波がやってきた。

元々は小鉢2品がついていたのだが、1品に減らして、50円の有料小鉢として提供することにしたのが最初の値上げ。

だがついに限界となり、ランチは800円になる。

それでも小鉢2品とサラダと味噌汁、漬物がついて800円でランチが食べられるのは安いのではないか。

しかもご飯はお代わり無料。

 

長年やってきた700円ランチを値上げせざるを得ないことに申し訳なさを感じた一子と二三は、今まで支えてくれたお客様達に何かを還元したいと考え、全国のお雑煮を5日間限定ではあるが汁物の代わりとして提供することにした。

 

 

 

日本はとても小さな島国なのに、お雑煮の種類は47都道府県ごとあるらしい。

当たり前だが、生まれ育ったお雑煮ばかり食べてきただけに、他県のお雑煮には興味津々だ。

 

地域によってベースとなるお雑煮も違うのに、そこに家庭ごとに特徴を加えると、お雑煮のバリエーションは幾通りにも膨らんでいく。

 

こんな楽しい企画を思いついて実行できるのも、一子や二三がいつもお客様を大事に考えるだけでなく、自分たちも一緒に楽しめるようなことを考えるからこそ、協力者も現れるのだろう。

 

ご縁が繋がるのも皆さんのご人徳。

 

ホテルの元社長で現在は名誉顧問を務めている三原もまた、この「はじめ食堂」の常連お1人である。

 

大物がやってくる「はじめ食堂」は食事だけでない隠れた穴場スポット。

実在はしない食堂だが、私にとっても癒しの食堂の場となっている。

 

1年に1度しか食べないお雑煮。

年々月日が過ぎるのが早く感じる。時々は立ち止まるために、正月にこだわらずに食べてみるのも良いのかもしれない。