ここ最近読み進めているシリーズ本

『真夜中のパン屋さん』

午前0時に開店し、5時で閉店するパン屋さんに、居候をしている希実を中心とした周囲の人たちと、物語は進んでいく。

 

シリーズとなっている場合、1、2と数えていく場合が多いが、この本は開店時刻に合わせて0時がスタート

その後、1時、2時と数えていく。

 

奇想天外のストーリーに思えるのだが、実は身近にある親子問題やLGBTQに関連していたり。

パン屋のブランジュリークレバヤシが舞台に、物語は展開されていて、様々な問題があるにも関わらず、不思議と全てにまとまりがある。

物語の軸となるのが、希実だからだろうか。

 

シリーズものにありがちな、登場人物が増えてはいくのだが、各々の生い立ちから現在の状況に至るまでの心の内面が、それぞれの視点で描かれている。

 

誰もが一度は経験するであろう孤独感や虚無感、挫折感。

それをどう穴埋めして、歩き続けてきたのか。

毎回物語の世界に引き込まれる。

 

 

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今回は、5冊目の『真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者』

 

この中に、心に突き刺さった一節があった。

 

氷の上に立つ人というのが、あんがい多いという現実を。凍てついた世界の中で、ぽつんぽつんと人々は立ち尽くしていて、身じろぎも出来ずにたいていそこから動けずにいる。あるいはおそるおそる、どうにか前に進もうともがいている。

(中略)

半ば強引に、、やっと足を踏み出したのだ。

 

 

どうしようもなく苦しい状況に陥った時、泥水の中をもがいているような気分になる。

何とか岸に上がりたくても、重たい泥が邪魔をして、私の衣服や体にこびりつき、前へ進もうとさせてくれない。

 

そんな時は、いつも選択肢を考える。

 

泥が沈むのを待って歩くか

もがいて泥をかけ分けて岸に進むか。

もがいて泥と水をうまく中和させて進むか。

 

表現は違えど、苦しい状況に陥った時、皆同様に、動けずにいたり、どうにかしようとしたり、強制的に歩もうとする。

その選択肢が正しいのか間違っているのかは、後の自分にしかわからない。

 

過去は変えられないが、未来は変えられるというが、

変えられないからこそ、前に進むことに躊躇し、立ち止まるのだ。

 

まだまだ人生で多くの選択肢を迫られる場面があるだろう。

過去を振り返る事振り返ることで、自分が苦しくなるなら振り返らない方がいい。

でも振り返ることで、前に進めることもある。

 

以前、ドイツに関連した番組に中にあった言葉

 

Es geht sowieso weiter.

どちらにせよ進んでいく


 

大きな事だけでなく小さなことまで、日常生活の中には選択肢が溢れている。

どの選択肢を選んだとしても、時間を止めることも巻き戻すこともできないため、進んでいくしかない。

 

いつか振り返った時、その選択肢は間違っていたと思うことだけはしたくない。

その選択肢を選んだのは自分。

間違っていたと思うことは、今、自分の周りにいる人の存在を否定することになると思う。

 

いずれにせよ、前を向いて歩いて行きたい。