今日は山形県山形市にある山形美術館にて開催中の「水木しげる百鬼夜行展」を見に行ってきました。


山形美術館は山形新聞・山形放送グループの社長が中心人物となり設立、以後地元の豪商である長谷川家や吉野石膏のコレクションを収蔵・展示するという、所謂「山形商人」が主体となった“民”主導の全国でも珍しい地方美術館。なので県立でも市立でもなくただ「山形美術館」なんですね。






展示作品は撮影禁止だったので撮影可能な部分だけ。こちらは画像認識型のアニメーションARバナー。


アマビエがキラキラしたパーティクルが舞って綺麗だったけど残念ながらタイミング悪く撮影できず。アニメーションARはこういうのが難しい。





ARではガシャドクロが一番モーションのギミックが面白かったです。平面ではあるんですが、回り込んで見たりもでき、草が風になびき、その動きとは別にガシャドクロが出現して動く凝った演出でした。




ARを全部見ると最後に水木先生の周りに今まで見た妖怪が全部現れます。


会場には妖怪の(おそらく)フルスケールのプロップも展示されており、いずれも凄く出来が良かったんですが、撮影可だったのはこの塗り壁のみ。


以下はミュージアムショップの限定グッズコーナー。




河童の三平のタヌキは本当にかわいい!


タオル地の肌触りの良いねずみ男の抱き枕。こっちもかわいい!



展覧会では水木先生の元がだけでなく、掲載誌や水木先生の人生をたどる写真パネル、さらに水木先生自身が神保町の古本屋街で集めた貴重な江戸期からの妖怪関連の書籍、妖怪デザインのイメージソースになった各種コレクションが展示されており、水木先生の創作活動そのものを知ることができる内容になっていました。

面白かったのは、水木先生の妖怪のデザインの基本になっているのは江戸時代に描かれた妖怪の絵草紙で、基本は模写であるものの、オリジナルの絵草紙はただ妖怪のみを描いているのに対し、水木先生は背景を細かく描き込み、さらに妖怪に出会って驚いている人と擬音をコミカルに描いて加えたため、それらがより妖怪それぞれの個性と、それにより生まれる物語を表現していたことです。その背景がもう超絶技巧で、会場内に流れていたインタビュー映像の中で京極夏彦先生も仰っていましたが「もはや背景が主役」と言ってもいいくらいでした。なお、水木先生はモノクロで描いた原画をコピーしてさらに水彩で着色していたそうで、同じ絵で2枚の原画が存在するのだとか。

また説明のキャプションで面白かったのは、水木先生の創作スタイルは「ブリコラージュ」であるという記述。前述のように水木先生は江戸時代の妖怪の絵草紙をもとに妖怪画を描いていましたが、それ以外に祭や能の面、民芸品、地方のお土産品、さらに各国の先住民族の手工芸品まで妖怪デザインの元ネタにし、それを日本各地の地方の山中など自然の風景と組み合わせて描いていました。様々なものを見、集め、ピックアップして組み合わせ妖怪の「正解」を探る…それはまさにブリコラージュ的な制作手法と言え、そうした水木先生の創作の裏側を知って改めて妖怪画を見ると、その背景にあるものが分かり一層解像度が増すように思えました。


あと私的には、水木先生には西洋絵画や悪魔学、キリスト教文学の素養もあったのではと思います。「ゲゲゲの鬼太郎」の海外の妖怪や「悪魔くん」の描写なんて絶対それらがないと描けないだろうし。