日本のプラモデル市場の歴史を振り返る新書「日本プラモデル60年史」を読みました。

如何せん新書サイズなので内容はかなり端折り気味でしたが、前半にて日本へのプラモデルの流入・伝播の歴史、主なプラモメーカーの勃興、そして消滅と詳細に書かれていました。特にメーカーごとに倒産の理由まで言及されているのが細かく、その時々の人気に全突っ込みするのは危険だとつくづく思いました。


その一方でミニ四駆ブーム以後は爆速で駆け足の印象が否めませんでした。いくらなんでも美少女フィギュアとエヴァがこれだけで収まるわけがない。まあ美少女フィギュアはガレージキットでプラモではないからというのはあるでしょうが、エヴァはプラモデルでも一時代を築いています。従来のプラモとフィギュア、メカとクリーチャーの違いを埋めた存在としてもっとページが割かれてもいいのにと思ってしまいました。


あと萌えキャラ×ミリタリーモデルのコーナーも駆け足というか食い足りなさがあり。ガルパンと艦これで確実にミリタリーモデルの製作人口は増えたし、あとこの2作品を挙げるならストライクウィッチーズにも触れるべき。これでも戦闘機プラモに手を出した人は結構いたでしょう。まあここら辺は著者の範疇ではなかったのかもしれません。


しかし1番貴重だったのは巻末に収録されていた故・田宮俊作会長のインタビュー記事。ミニ四駆の成功の影に一過性のスロットカーブームとその失敗が生かされていたというのが面白いです。大ゴケして消滅するメーカーとそうでないメーカーの違いは、その失敗を次の製品に活かせるかどうか、また活かすだけの余力を残しているかどうかではないかとつくづく実感しました。